2012年11月

2012年11月30日 (金)

2012年11月28日に行われた授業の様子です。
今回は担当予定だった学生さんがお休みだったため、急遽私が授業を行いました。

授業担当:中香里 記

テーマ:図形楽譜で音楽づくり~三味線ver.

対象:大学生

使用楽器:三味線6挺(本調子)

目的:三味線の基本奏法の見直しと同時に、三味線でどんな音が出せるのか、独自の音を見つける。また図形から様々に連想して音に結びつけることで、音の表現の可能性を模索・追求する。

①基本奏法の復習
三味線の構え方・弾き方の基本を見直し、基本奏法(スクイ・ハジキ・ウチ・コキ)を確認した。

②特殊奏法の復習と新たな奏法の紹介
今までに授業で採り上げて学んだ特殊奏法(コスリ・アテハジキ・ウラハジキ・コキ爪・スリアゲ・スリサゲ)を復習し、新たにソトオサエ・消音・完消音の特殊奏法を紹介し、練習した。

③特殊奏法が効果的に使われている作品の試聴
参考資料として杵屋正邦作曲《浮拍子》の動画を試聴し、奏法の使われ方を一例として確認した。

④独自の奏法を発見・発表
三味線でどんな音が出るか自分で開発し、発表してもらった。
☆三味線に慣れていない学生さんほどユニークな発想をして、みんなを驚かせていました。

⑤図形を声や体、三味線で表現
ホワイトボードに学生さんに好きな図形を書いてもらい、スタート地点と進行方向を決め、私が時間軸を担当してまずは声と体を使って全員で自由に表現してもらった。次に、この図形のこの部分は三味線ではどんな音で表現できるかをみんなに意見を出してもらい、それから三味線で図形を演奏した。
☆同じ図形でも人によって連想するものが違うため、お互いの意見や音を興味深そうに聴いていました。

⑥グループ実習
3人1組の2チームに分かれてチームごとに紙に好きな図形を書き、進行方向や表現方法などを話し合ってもらった。

⑦発表
まずは自分達で書いた図形楽譜を演奏した。
グループ1:図形A


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり①

グループ2:図形B


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり②

そのあとお互いのチームの図形楽譜を交換して演奏してもらった。
グループ1:図形B


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり③

グループ2:図形A

この部分はどのような表現をしたか、図形から連想したものは何だったのかをみんなで発表し合い、授業終了。(80分)

両チームとも今まで学んできた奏法や独自で編み出した奏法を存分に生かした演奏をみせてくれました。同じ図形楽譜でも他のグループが演奏すると全く別物になり、表現は無限にあるんだということをみんな再認識したようでした。しかし、三味線でどんな音が出せるかを追求するあまりに発表では奏法に偏った演奏になってしまったので、ドローンや対話などの音楽づくりの要素も採り入れられるようにもっとアドバイスをすべきでしたし、音楽づくりというよりは音づくりの授業になってしまいました。ここからどのように音楽づくりへ結びつけていくかを今後の私の課題としようと思います。
ありがとうございました。
上:図形AA_3  下:図形B                               
B_3
2012年11月25日 (日)

11月14日は現代邦楽コース、箏専攻4年のMさんによる「特殊奏法を用いての音楽づくり」でした。

Mさんは邦楽ワークショップの履修が今年で3年目なので、ワークショップリーダーぶりも板に付いていて、安心して見ていられました。お話の仕方もはっきりしているし、時折ユーモアのある雰囲気もかもしだして、とても和やかで臨機応変でスムーズな流れでした。

1面の箏を三人で使って発表したのですが、3グループともそれぞれの使い方でした。(さくらの音以外の調弦を変えても良いと言ったせいもあるかもしれません)創作中もMさんがアドバイスしたりしていて、とても良かったです。

2番目のグループで音楽デザインコースのK君が素敵なコードを作って創作してくれて、みんな感嘆していました。

箏は特に奏法がたくさんあるので、そこに焦点を当て、さらに楽器が少なくてもみんなで楽しめるワークショップという点で、とても良い内容でした。

以下、Mさんによるワークショップ報告です。

授業担当 吉原佐知子 記

テーマ:特殊奏法を用いての音楽づくり

◆目的
ワークショップで親しまれやすい特殊奏法が実際に音楽にどのように使用されているかを学び、そこから自分たちで新しい奏法を見つけ音楽づくりを行ってもらう。

◆用意する楽器
箏三面・その他打楽器

◆対象
大学生

◆実施内容

1,基本的な箏の奏法の説明
スクイ爪、合わせ爪、押し手などの奏法を今までの復習の意味も込めて簡単に説明しながら実際にやってもらった。

2,資料提示①
上記から押し手をピックアップ。押し手の奏法を細かく分類してみると

・オシ
・ツキイロ
・アトオシ
・オシハナシ
・ユリ
・カケオシ

これだけの奏法がある。これらを多用した、池辺晋一郎作曲の「凍る」を観てもらい、どのように使われているかを確認。

3,音楽づくり①
・「さくら」を題材にし、まずはリーダーのドローンにのせ、パターンを重ねていく音楽づくりをしてもらった。
・次に、先ほど観た押し手の奏法を使い、四拍子を三拍子に変えてみたりしながら同様に音楽づくりを行ってもらった。




YouTube: 押し手による音楽ゲーム 11/14邦楽ワークショップ

4, 資料提示②
実際に特殊奏法を使った楽曲を観てもらう。杵屋正邦作曲「綺羅」、石垣征山作曲「和の韻(ひびき)」
「綺羅」では途中でスティックを取り出し、絃の左側を叩くという奏法、「和の韻」では冒頭に爪の輪の部分で龍角の先端部分をカチカチと叩くという奏法が出てきた。

5,音楽づくり②
先ほど観た資料を参考にし、今度は自分たちで新しい奏法を見つけてもらい、「さくら」を題材にして音楽づくりを行ってもらった。

制約として

・「さくら」は全曲弾かず、フレーズの一部だけを用いてもよい。
・自由にやってよいが、楽器を傷つけない範囲で行うこと。

を提示した。




YouTube: 箏の特殊奏法によるワークショップ① 邦楽ワークショップ




YouTube: 箏の特殊奏法によるワークショップ ② 邦楽ワークショップ




YouTube: 箏の特殊奏法による音楽ワークショップ③ 邦楽ワークショップ

以上。

2012年11月22日 (木)

11月21日の邦楽ワークショップは担当講師の山口賢治が行いました。

■テーマ: 箏を使ったトーンクラスタによる音楽づくり

■実施日:11月21日

■実施者:山口賢治

■楽器:箏+その他

■目的:現代音楽の重要な作曲技法のひとつであるトーンクラスタによる音楽づくりを試みました。トーンクラスタとは半音程や更に狭い微分音程の積み重ねによる、ある一定の音域の幅を有する密集音群を言います。1960年前後にペンデレツキやリゲティによる作曲家らがこの技法を全面的に活用して作品を書いています。箏は柱の位置によって連続的に自由に音程をつくることが可能であります。この箏の特性を利用して容易に密集音群をつくることができます。(写真1)

これらの仕掛けでつくられる音楽には、明確な旋律、拍節的な律動、和声学的な意味での和音の要素が基本的には現れません。音楽づくりを通じて”トーンクラスタ”の概念や音群ユニットの扱い方を体験し、音楽鑑賞の幅を広げることが狙いでした。

■想定実施対象

音楽系クラブ活動に所属する者や音楽愛好家等、一定の音楽的な知識や経験を有する人たちを想定しました。必ずしも箏の基本的な演奏技術を習得していない人でも演奏に参加できます。参加人数は少なくとも数名以上が必要で、人数が多ければ効果的です。

■実施スケジュール

① トーンクラスタの説明

② 作品例の鑑賞

「広島の犠牲にささげる哀歌」ペンデレツキ 作曲

「アトモスフェール」リゲティ 作曲

「累ー5×4箏群のためにー」池辺晋一郎 作曲

③ 箏を使ってトーンクラスタによる演奏試演

柱を互いに接するように並べた高音群、中音群、低音群の3群に箏を分けました。音はグリッサンドによって音響をつくり、順序と強さを下記のワークシートに従って音を出してもらいました。それぞれの群ごとの音の質感や強弱とその組み合せによってできる音空間を演奏しながら聴いてもらい感覚をつかんでもらいました。(写真2)

④ A、Bの2グループに分かれてトーンクラスタによる音楽づくりと発表を行いました。グループごとに話合いながらワークシートに各演奏セクションにおける強弱、音高、奏法、ニュアンス等を書き込み、全体としての形式も考慮して演奏のための設計図を作成し、それに従い演奏してもらいました。(写真3)

⑤ ④でつくったワークシートを元にしてさらにAグループはトーンチャイム、Bグループは三味線を加えて再度演奏発表してもらいました。三味線は箏がつくる音響に合うようにD-As-Dの調弦を選びました。これは三木稔 作曲 三味線独奏曲「奔手」で用いられる特殊な調絃です。

■まとめ

トーンクラスタによる音楽は一般的な音楽の要素である旋律、律動、和声による組み立てに寄らないので、その他の音楽的要素について意識し、具体的に操作することが要求される課題でした。箏のグリッサンドや手で叩く奏法などは小学生低学年でもできますが、えてして散漫な一定の音響の持続に留まる事態が起こります。これを避けるために、どのようにすれば音響から音楽として成立させることができるのかについて音楽的な知識や考察に基づく応用力が必要となります。例えば今回AグループではGPを挿入することで区切りをつくり、音響と静寂の対立を持って形式感を生み出そうとしました。今日のワークショップは音楽の要素について考え、これを操作し、構造的に捉えるためのひとつのモデルになると思います。

ワークショップ実施前は半分の学生がトーンクラスタについて知りませんでした。また、③ の試演段階では全体的に戸惑いがありましたが、すぐに内容を理解し、音楽の形にすることができたのは流石でした。それぞれの音群のユニットに対して、どのようなキャラクターを持たせると面白くなるのかについて各人が工夫し、さらにそれをリーダーが上手くまとめてくれました。BグループにいたKくんは理論的に音楽を考えるのが得意なので、 ⑤の時に、どのように三味線を弾けば効果的かについて提言があり、それが結果に活かされた点が良かったです。

写真1(微分音調絃)

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写真2(試演のためのワークシート)

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写真3(Bグループの演奏ワークシート)

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YouTube: 箏を使ったトーンクラスタによる音楽づくり

2012年11月 9日 (金)

11月7日は、予定していた生徒が風邪で休みのため、急遽、担当の吉原が越天楽のテーマによる音楽づくりをしました。

授業内容は以下です。

テーマ「越天楽のテーマによる音楽づくり」

目的:・日本古来の越天楽のテーマに親しむ。

    ・箏の様々な奏法を習得する。

    ・音楽づくりをする過程をもう一度確認する。

 

対象:今回は大学生8人でしたが、小学校高学年以上でも可能。

使用楽器: 箏8面、三味線1丁

<内容>

1、アイスブレイク

手拍子回し ・早回し

        ・4拍のパターン回し。(前の人のを聞いて、それに合わせたリズムや音色を工夫する。)

        ・パターン重ねの上でソロをしたり、対話したり。

2、<平調「越天楽」による箏変奏曲>のDVDを見る

 宮城道雄作曲の越天楽変奏曲のビデオを見て、箏とオーケストラによる越天楽のテーマがどのように展開されているかを見て、聞いてもらう。

3、箏に移動して全体ワークショップ。

  ・基本奏法、特殊奏法を練習する。(かけ爪、割爪、すくい爪、平爪、トレモロ etc.)

  ・音探しゲーム(自分たちで発見した越天楽らしい音を見つけてもらい、吉原のドローンの上で対話してもらう)

  ・越天楽のメロディーを練習し、三味線のドローンの上でカノンで演奏してみる。

  ・越天楽らしい4拍のパターンを作ってもらい、箏はパターンと飾りに別れ、三味線にメロディーをひいてもらう。

4、グループに別れて音楽づくり。

  約束:始まり方、終わり方を決める。

      有拍と無拍の部分を作る。

      なるべく習った奏法や発見した奏法を駆使する。




YouTube: 越天楽のテーマによる音楽づくり① 邦楽ワークショップ




YouTube: 越天楽のテーマによる音楽づくり 邦楽ワークショップ

感想:1つ目のグループは、三味線が入っていて、自分たちで工夫して出来ていました。途中、箏柱が倒れてしまい、残念でした。

小学校にも1丁だけ三味線がおいてあったりするので、このように使えば効果的だと思いました。

生徒の感想も「三味線が一つはいっているだけでも雰囲気が違っておもしろい!」と言っていました。

(一つ目の録画が操作ミスで途中で切れてしまいました。すみません。)

2つ目のグループは、音楽づくりの過程で、いろいろアドバイスを入れました。やはり、パターンやドローンの効果的な使い方が定着していないと実感しました。

たまにこのようなオーソドックスな邦楽ワークショップを入れたほうがいいかも、とおもいました。

生徒の感想は「越天楽のメロディーをくずしていたり、はずんだパターンのところがあったり、とってもクールだった!」というものでした。

今回の調弦は民謡音階でした。五音音階なので行ったり来たりするだけですぐに越天楽風になります。箏は様々なレベルの生徒が親しめる良い教材だと改めて実感しました。

吉原

2012年11月 5日 (月)

10月31日は現代邦楽コースで津軽三味線専攻3年生のIさんが担当しました。前期は「津軽じょんから節を弾いてみよう」をテーマにワークショップを実施してくれました。

https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/06/post-b027.html

今回はさらに自分の専門を活かして、 「阿波おどりの音楽に触れよう!」としてワークショップを行いました。

以下は Iさんの実施報告です。

◆テーマ

阿波おどりの音楽に触れよう!

◆目的

濃厚民族が多かった日本において、阿波おどりのような騎馬民族型のリズムは珍しいことである。今回はそのリズムに触れ、日本の珍しい文化を知ってもらう。また、太鼓の手や三味線の手にアドリブを入れてより身近に感じてもらう。

◆教具

三味線3丁(D一の三下がり)

カンカン(打楽器になるもの)

◆対象者

大学生以上

◆プログラム内容

1・阿波おどりの説明

  徳島県徳島市が本場。三大盆踊りと言われていること。かさや下駄を実際に見せながら説明。youtubeで若駒連、天水連の映像を鑑賞。


2・鳴り物の役割を知る

  太鼓の手を手拍子で叩いてみる。

  鉦の手を手拍子で叩いてみる。

  三味線の手を弾いてみる。

  役割を決めて合わせる。

  役割を替えてまた合わせる。


3・踊り方を知る

  基本の中腰、膝の動きを習得する。

  足を動かす。前かがみ体制で踊る。手の動きを習得する。(途中休憩を入れながら)

  掛け声を入れる。

   1かけ2かけ3かけて

   4かけたおどりはやめられぬ

   5かけ6かけ7(しち)かけて

   8っぱりおどりはやめられぬ

   ヤットサー  ヤットヤット

4・鳴り物組みと踊りを合わせる

  鳴り物にアドリブを入れる。

  例:(太鼓の手)どどんどどん→どどどどどどどど…など

  役割を替えて演奏。


5・踊りの動き方を知る

  一回転する、『くるっとぽん』、90度ずつ動く『ちょんちょんちょん』


以上のことを踏まえた上で全員で合わせる。

◆まとめ

今までのワークショップで体を動かすということはほとんどなかった。わたしが阿波おどりをやっているということもあり、今回この題材に設定したが、踊りのワークショップになってしまうのではと危惧された。最終的には音楽があって踊りが入るという形にまとめた。授業を終えてから「踊りがあって音楽のイメージが掴めた」と言う意見が出たので、結果的に踊りも取り入れて良かったと思う。今後の課題として、阿波おどりとは違った音楽、例えばジャズやクラシックなどでも阿波踊ることが出来るのかワークショップの中でできたらと思う。


YouTube: 邦楽ワークショップ「阿波踊り」

【担当教員からのコメント】

Iさんは高円寺の阿波踊りのグループに属しており、毎年開催される高円寺阿波踊り祭にも参加する程なので「阿波踊り」を題材にしたのことは良い着眼点でした。踊りが披露される祭りの現場や、踊りの種類、音楽と踊りの対応関係、装具やその身につけ方等について、経験者ならではの話が聞けたのはとても興味をひきました。

本人のまとめにもあるように、このワークショップ案について、計画段階では音楽づくりではなく踊りのワークショップになってしまう心配がありました。しかし、ジャンルによっては踊りや舞と密接に結びついた音楽もあるので、むしろ踊りの要素を除外する方が不自然な場合もあると思われます。なので、音楽とのかかわりに結びつけながら踊りについて触れるのであればテーマから外れることはないと判断しました。

今回は「阿波踊り」の音楽から入り、踊りも加えられたましたが、逆に踊りから入り音楽へ繋げる方法も考えられます。近年、中学校において武道と合わせてダンスを必修課題としている点や若い世代でダンス文化が浸透している現状を考慮すると、踊りを入口として日本の伝統音楽に触れる機会をつくる方法論として、Iさんのワークショッププログラムはひとつの手がかりになると評価できます。(担当:山口賢治)

2012年11月 1日 (木)

10月17日は、音楽デザインコース4年のK君による、「クラブミュージックの展開を用いた音楽づくり」でした。

彼は前期も面白いテーマでワークショップをしてくれていて(確か制限事項をきめて音楽づくりをしてみるとどうなるか!?というものでした)、今回もとても斬新で楽しいワークショップをしてくれました。

前期にリーダーをした時は「どうしようどうしよう」「え~っと」みたいな時間が多かったのですが、今回は流れもスムーズで立派なリーダーぶりを見せてくれました。

音楽づくりはメンバーを入れ替えて、2グループを2回やりました。

生徒達もとても楽しんで、興味深々でやってくれました。

内容は以下です。

授業担当 吉原佐知子 記

テーマ:クラブミュージックの展開を用いた音楽づくり

アイスブレイク
1、bpm120程度で4拍1小節のパターンの手拍子を繰り返し、4小節毎に次の人が重ねていく
2、上と同じだが8の倍数小節目だけ奇数番目に手拍子を叩いている人は手拍子を1小節間だけやめ、次の小節で手拍子を再開する
3、ずらしてもう一度(奇数番目にやっている人がやめることが重要)
4、上記のパターンの休み1小節を、休みではなく「激しい1小節」に変えてもらう(具体的には音の数を増やす)
5、さらにずらしてもう一度行う




YouTube: クラブミュージック、アイスブレイク 邦楽ワークショップ

ワークショップ
1、クラブミュージックの展開について解説する
・クラシック音楽とは全く違うもので、本来はDJが曲と曲を繋ぐ為の展開になっていること
・音を変形させるのではなく、ループされているパートを付け足したり消したりする事で展開すること
・「ビートのみ→ベースとなる音→コードやアルペジオ→ブレイク(殆どのパートが消え、特徴的なリフなどのソロになり、サビのようなメインの役割となるパートへ向かって盛り上がる)→メインのパート→パートを減らして盛り下げていく→ビートのみになって終わる」が基本だが、ブレイクは大抵の場合何度か訪れるうえ、この基本形は組み替えたり、組み合わせの自由度が高い
・大切なのは徐々に盛り上げていくことと徐々に盛り下げていくことだが、ブレイクでは大胆にソロにしたほうが好ましい
2、実際に曲を聴いてみる
・Syntheticsax - Ky Ky (Funky Truckerz Remix)
・Jamiroquai - Cosmic Girl (Tom Belton Remix)(冒頭の展開が早い)
3、グループに分かれてアイスブレイクを思い出しつつクラブミュージックの展開を使った音楽づくりをしてもらう
(リズムを刻むパートがあると楽)




YouTube: クラブミュージック 作品① 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック作品② 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック 作品③ 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック 作品④ 邦楽ワークショップ 洗足学園音楽大学

→今回は上記の音楽づくりに「徐々に展開していく」「展開にブレイクを設ける」といったような条件を加えて発表をしてもらいました。2グループに分かれて各2回演奏をしてもらいましたが、どの発表でもクラブミュージックの盛り上がりを表現出来ていて、自分自身演奏を聴いていて楽しかったので本当に驚きました。
特にグループ2の1度目の発表は打楽器がなく邦楽器ばかりだったのに展開が美しく、既存の曲であるかのような完成度だったと感じるほどでした。
 
まとめ
クラブミュージックにはとてもシンプルなパターンのみで構成されている曲も少なくありません。それなのに退屈しない理由は「展開」に秘密があるのです。
始めのアイスブレイクや展開の説明で行った事は「引き算による展開」です。基本徐々にパターンが積み重なるだけの構成の中に、瞬間的に音数が減る部分が現れると、それがコントラストとなりシンプルなパターンを引き立てるのです。
特に「ブレイク」はこの展開の中で一番音数が少なくなる要素です。この「ブレイク」の役割は、一番の盛り上がり所への期待を聴いている人に感じさせるためにあります。そして期待通り(または期待を超えるもの)のものがブレイクの直後に来ると人は音に快感を感じるはずです。
今回このワークショップを行って、これからのクラブミュージックの聴き方が変わったかもしれない、という言葉を頂きました。しかし自分が一番主張したかった事は「クラブミュージックの展開はどんな音楽づくりにでも簡単に応用出来てしまう」という点です。
これから音楽づくりで迷った時にはどんどんこの方法を使っていい音楽を作って欲しいです。

 

 

2012年10月24日に行われた授業のご報告です。

今回はフルート専攻4年の間嶋祐未さんによるワークショップでした。授業では良い点もあり、反省点もありと間嶋さんにとっていい経験となる授業でした。大変素晴らしかったのは、授業終了後に作成してもらった報告書です。なぜこのテーマにしたのか、授業の反省点や改善点などが明確に記されており、きちんと自分を見つめ直している様子がよく伝わってくる報告書でした。

担当:中香里

以下、間嶋さんの報告書です。

◆テーマ

音楽で◯◯を表現しよう

◆目的

音楽で絵、ストーリーを表現する

◆対象

大学生以上

◆使用楽器

箏 6面、三味線、フルート、サックス

◆調弦

ドレミ調弦

◆授業の流れ

⓪これまでの復習として、音楽で「秋」を表現する。

1秋といえば、どんなイメージがあるか全員に聞く。

→運動会、落ち葉が舞う様子、紅葉などさまざまな意見。

2 一人一人、思い描くイメージを箏で表現する。

① 音楽で「情景」を表現する。(教科書『中学生の音楽 1』を参照)

1 3枚の絵を見て、イメージを膨らませて簡単なストーリーをつくる。

2 場面ごとにグループで音楽づくり。

→今回は、1枚の絵につき2人で音楽づくりを行いました。

3 全体で繋げて発表

② 音楽で「絵本」を表現する。

1 おはなしコンチェルト(絵本に音楽を加える活動)の映像を観る。

2 全体で絵本に音楽を加えていく。

→今回は、皆さんにも意見を聞いて「ねずみくんのチョッキ」という絵本を選びました。動物が沢山出てくる絵本なので、動物ごとに担当を決め、それぞれどんな音がほしいか言ってもらうことにしました。

3 発表


YouTube: 邦楽ワークショップ「音楽で○○を表現しよう」

4 まとめ


    今、音楽教育の中で「日本の伝統音楽」が重視されると共に、「創作」の活動も大切にされています。その「創作」を授業で行う際に、全ての生徒が演奏出来る楽器があるわけでもなく、ピアノも1台という環境の中でどうやって行なうのか?とここ2年ほど、ずっと考えていました。そして、この邦楽ワークショップの授業を通して、箏であれば、比較的誰でも音を出すことができ、学校が所有している数が多いのではないかと思うようになりました。今回は、その音楽教育の「創作」を意識して、私が絵本に音楽を加える活動をしていることもヒントにしながら「音楽で◯◯を表現しよう」というテーマにしました。

    実際にワークショップを行ってみて、心残りはみなさんを上手く導くことが出来なかったことです。この授業を通してこれまでにいくつもワークショップに参加して、ある程度ベースとなる音であったり、リズムであったり、ルールや縛りがあると音楽づくりがしやすいと学んでいたにも関わらず、私の頭の中で上手く整理出来ていなかった為に、みなさんに的確な指示が出来ませんでした。人の前に立つ時、臨機応変に対応できる力も必要ですが、事前に頭の中でもっと具体的に反応を予測して、準備しておくことが大切だと改めて思いました。音楽づくりは、参加する人によってどんな化学反応が起こるかわからないという面白さがある反面、自分で進み方を全てコントロール出来ない難しさがあると痛感しました。

    反省点は沢山ありますが、先生や皆さんの音楽的センスの支えによって、素敵な音楽がつくられました。ストーリーと共に、音楽に変化があって面白かったです。ありがとうございました。

ねずみくんも、素敵な音楽が加わってきっと喜んでいるようようにおもいます♪