2019年10月17日 (木)

■テーマ
ミュージックコンクレートによる音楽づくり体験
 
■実施日
2019年10月16日

■ワークショップリーダー
音楽音響デザインコース学生3年生

■実施概要
”サウンドスケープ(音風景)”や”ミュージックコンクレート(具体音の組合せによる音楽)”の概念説明や作品例の鑑賞から入り、実際に短いミュージックコンクレートの作成を試みた。予め用意した具体音源10種類の中から5つの音源を選択し、音を組合せて簡易的ではあるが、音楽作品を作った。

Onsozai


                                                                                                                            用意した音源

下記の譜例のようにグループで話し合って、簡単な楽譜を作成し、これに基づきパソコンで音源を構成し、音を聴きながら修正、追加などの作業を行って作った。
 

Hurei



                                                                                                          
譜例


YouTube: ミュージックコンクレートで音楽づくり体験


■まとめ
日本の伝統音楽作品には、例えば宮城道雄 作曲「谷間の水車」にある水車の軋む音を模した尺八の演奏箇所や「虫の武蔵野」の中で虫の鳴き声を描写したと思われる箏の表現などに見られるように、自然の音や音風景を音楽の中に取り入れた作品がある。そう言った意味で、身の周りの音と自分たちの関わりや環境音と文化の関係を改めて考えることは、音楽作品のより深い理解や鑑賞にも役立つと考えられる。ミュージックコンクレート作品の試作体験は、その創作過程を通じて、環境の中で音と私たちのかかわり考えるきっかけとなる良い教材になったと思われる。
当初の計画では、ミュージックコンクレート作品で使用する音素材の採取作業から始める予定であったが、時間や当日の天候のよる理由でワークショップリーダーが予め用意した音源を使用することとした。90分1枠では時間的制約により、まずはそれぞれの音素材をじっくり聞いてみるステップを省略せざろう得ず、充分な音選択の吟味ができなかったが、一応短い作品でも形にすることができたのは意義深い。作品をつくる過程で、それぞれの音素材の持つイメージや意味、象徴に思いを巡らしたり、音によるストーリーを推考する貴重な体験の場を設けることができた。
1954年に設立されたNHK電子音楽スタジでやっていたような内容が、今や学生が一台のパソコンを使って模擬授業形式で、気軽に作って体験できる時代になりテクノロジーの進化を示す授業であったと感じた。充分に時間を確保し、中学生くらいを対象とする教材カリキュラムにまとめると面白いと思われる内容である。

■執筆
山口賢治

2019年9月25日 (水)

◆実施日 2019年9月25日
◆担当ワークショップリーダー:邦楽コース学生
◆テーマ:日本の箏と中国の箏による音楽づくり 〜箏の音色の違いを体感する〜
◆用意した楽器:箏、古箏、打楽器(桶胴、鈴)
◆実施概要:今年度最初の学生によるワークショップは現代邦楽コース所属の中国からの留学生が担当。古箏(中国箏)の奏者で日本の箏を勉強するために来日し、研鑽を積んでいる。音楽づくりを通じて、日本の箏と比較しながら古箏について知ってもらい、日本の箏との合奏も試みた。打楽器と組み合せることにより箏の即興演奏をしやすくする工夫が行われた。

Img_0001













古箏と日本の箏の組合せは邦楽ワークショップの授業では初めてであり、絃、爪、楽器の構造、奏法などの違いを知ることができ、参加学生の興味を惹くことに成功した。下の写真は古箏の爪を装着している様子。日本の箏は爪に装着された皮の輪っかに指を押し込むの対して、古箏は爪をテープで指に巻き付ける装着する。

Img_0004


   
   
   
   
   
   
 

  
  
  


事前に資料(プリントや視聴覚資料)を事前に用意して、分かりやすい解説とワークショップリーダー自身による古箏の見本演奏があれば、より充実した内容になったと思われる。このワークショッププログラムを完成させれば、日本では古箏、中国では日本の箏について知ってもらえる教材として活用が期待出来る。


YouTube: 日本の箏と中国の箏による音楽づくり 〜箏の音色の違いを体感する〜

      

ワークショップリーダーを務めるのは今回が初めてであり、不慣れな点が見受けられたが、経験を積めば古箏および日本の箏の両方を弾く奏者としてオリジナリティのあるワークショップが実施できると感じた。将来母国中国での実施を望む。

記載:山口賢治

2019年9月19日 (木)

【実施日】2019年9月4日  
【担当】山口賢治
【テーマ】打楽器を使って音楽づくり 〜コール&レスポンスとその応用〜
【概要】
手拍子および現代邦楽コースの備品として保管してある様々な打ち物(太鼓、鼓、木鉦、木魚 等)を使って音楽づくりを行った。コール&レスポンスの手法を使い、徐々に小節の拍数が減じてゆく構造やランダムにアドリブを指名する等、参加者の緊張感を誘う工夫を試みた。


YouTube: 打楽器を使って音楽づくり 〜コール&レスポンスとその応用〜

【実施プログラム】
① 0:00〜0:18
A,Bの二つのグループに分け、4/4拍子で2小節(8拍)づつA,B交互に自由なリズムで手拍子を叩いてた。
② 0:18〜0:40
A2小節(8拍)→B2小節(8拍)→A&B1小節(4拍)の繰り返しで手拍子を叩いた。
③0:40〜1:00
 A(8拍)→B(8拍)→ A(4拍)→B(4拍)→ A(2拍)→B(2拍)→ A(1拍)→B(1拍)の区切りで手拍子を試みた。交互の手拍子の拍数を順次縮めることにより集中力が求められる工夫をした。
④ 1:00〜1:24
A(8拍)→B(8拍)→ A&B(4拍)→A(4拍)→B(4拍)→  A&B(4拍)→ A(2拍)→B(2拍) → A&B(4拍) → A(1拍)→B(1拍)と叩いた。 ③の発展系で、拍数の変わる境に A&B(4拍)を挿入した。
⑤ 1:24〜2:22
A(8拍)→B(8拍)→ A&B(4拍)→ A(7拍)→B(7拍)→ A&B(4拍)→ A(6拍)→B(6拍)→ A&B(4拍)→ A(5拍)→B(5拍)→ A&B(4拍)→ A(4拍)→B(4拍)→ A&B(4拍)→ A(3拍)→B(3拍)→ A&B(4拍)→ A(2拍)→B(2拍)→ A&B(4拍)→ A(1拍)→B(1拍)。順次拍数が減じる形式とした。
⑥2:22〜3:05
A(8拍)→B(8拍)→ A(7拍)→B(7拍)→ A(6拍)→B(6拍)→ A(5拍)→B(5拍)→ A(4拍)→B(4拍)→ A(3拍)→B(3拍)→ A(2拍)→B(2拍)→ A(1拍)→B(1拍)。⑤の構成から A&B(4拍)を抜いた形。
⑦ 3:05〜3:17
打楽器選び。
⑧ 3:05〜3:39
打楽器を使って②を実施した。
⑨ 3:39〜4:22
打楽器を使って⑥を実施した。
⑩4:22〜4:55
 全員で4拍→aさん個人の8拍のアドリブ→ bさん個人の8拍のアドリブ→全員で4小節→ cさん個人の8拍のアドリブ→ dさん個人の8拍のアドリブ→全員で4小節→以下同様。アドリブを行うaさん、bさん、cさん、dさんはランダムに指名した。何時自分にアドリブの順番が回ってくるか予測出来ないので、各自緊張感を持って演奏に参加できる仕組みとなっている。アドリブ奏者の指名が1人に重なることがあるが、その際は8拍×2回=16拍のアドリブを行うこととした。

【考察】
今回はコール&レスポンスの応用の一つとして試みとして、様々な応答の枠組みでリズムによる音楽づくりを行った。参加者の音楽的レベルに合わせて応答の枠組みを設定することにより、様々な場で活用出来る方法論であることが確認できた。特に ⑩ の方法はある種のゲーム性があるので、参加者にとって良い意味で緊張感や緊迫感があり、場を盛り上げることができた。反省点としては、打楽器を選ぶ際に各自が自由に好きな楽器を選んでため、AグループとBグールプで音群として音色の違いが明確でなかったが悔やまれた。例えばAグループは高音、Bグループは低音の楽器でまとめるなど、予め音楽的効果を計算して楽器選択の仕掛けや準備をすることにより、より面白く構成が明確な音楽になると思われる。

2019年7月18日 (木)

◆テーマ
「3拍子 4拍子 5拍子」で音楽遊び
 
 
◆実施日
2019年7月17日
 
 
◆担当
山口賢治
 
 
◆概要
周期の異なるリズムや音形パターンの同時演奏を様々なバリエーションを試みた。単純の繰り返しでも周期をずらすことにより、より大きな周期で音楽的変化を自動的に得ることができる。3拍子、4拍子、5拍子の繰り返しパターンを素材や構成の枠組みとした。以前に同様の方法による授業は何回か行ったことがあるが(パターンミュージックの応用 〜各奏者の周期や時間進行の異なる音楽づくり〜 2013年7月17日 他)、今回はさらにこの方法を発展させたワークショッププログラムを実施した。
 
 
◆実施プログラム





YouTube: 「3拍子 4拍子 5拍子」で音楽遊び

 0:00〜0:40
3グループに分かれ、それぞれ3拍子、4拍子、5拍子で拍子頭で手拍子をする同時演奏を行った。
 

 0:40〜1:20
リズムに合わせて、下記に言葉を当てはめた。
Aグループ:きく◯│きく◯│きく◯│きく◯│←3拍子
Bグループ:さくら◯│さくら◯│ さくら◯│さくら◯│←4拍子
Cグループ:あじさい◯│あじさい◯│あじさい◯│あじさい◯│←5拍子
(◯は休み)

 
 1:20〜2:22
②を基に、4小節の繰り返しの冒頭に手拍子を入れた。フレーズの繰り返しの冒頭部分が明確にすることを狙う工夫をした。
 
 
 2:22〜3:27
③を基に、4小節に渡りfからpへディミヌエンドさせてくり返した。これによりフレーズ感をより出すことができた。
 
 
 3:27〜3:51
③を基に、4小節に渡りpからfへクレッシェンドさせてくり返した。
 
 
 3:51〜5:02
②の構造を基に各グループの繰り返しの後に1小節の休みを付け加えて、演奏した。休符小節が入ることで、無音の箇所が発生したり、音の厚みの変化を聴き取ることが出来るようになった。
Aグループ:きく◯│きく◯│きく◯│きく◯ │◯◯◯│←3拍子
Bグループ:さくら◯│さくら◯│さくら◯│さくら◯│◯◯◯◯│←4拍子
Cグループ:あじさい◯│あじさい◯│あじさい◯│あじさい◯│◯◯◯◯◯│←5拍子
 
 
 5:02〜6:24
③と同様の試みであるが、手拍子の代りにトーンチャイムを使用した。手拍子と異なり、和音の変化が周期的に表れるので、より音楽的な響きとなった。
 
 
 6:24〜7:34
②と似た構造を設定した。
Aグループ:きく 休│きく 休│きく 休│きく 休│ ←1ブロック3秒
Bグループ:さくら 休│さくら 休 │さくら 休 │さくら 休│ ← 1ブロック4秒
Cグループ:あじさい 休│あじさい 休│あじさい 休│あじさい 休│ ←1ブロック5秒
その上で、下記の設定条件を課し、試演した。
・各言葉の発音箇所は必ずブロックの先頭にする。
・設定単語の発音は1ブロック当り1回のみ。例えば1ブロック内で『さくら、さくら』と複数回単語を発声してはいけない。但しメリスマ的音の動きや『さ、ささ、くくく、、ら』などの分割や単語構成している音の繰り返しは許可とする。
・言葉はリズムに合わせても、合わせなくてもどちらでも良い。
・声の高低やニュアンス、声色は自由に作って良い。なるべく様々な表情をつくる。
・ブロック内で発声が終了したら、次のブロックの先頭になるまで休みとする。 必ずブロック内で発声を終了させる。ブロックを超えて声を繋げてはならない。
 
 
 7:34〜8:34
下記の構成で⑧と同様の試演を行った。
Aグループ:きく 休│きく 休│きく 休│きく 休│全休│ ←1ブロック3秒
Bグループ:さくら 休│さくら 休 │さくら 休 │さくら 休 │全休│ ←1ブロック4秒
Cグループ:あじさい 休│あじさい 休│あじさい 休│あじさい 休│全休│←1ブロック5秒
 
 
 8:34〜9:14
各グループの繰り返しのフレーズの先頭にトーンチャイムを鳴らしながら⑨を行った。
 
 
 9:14〜10:05
②と同じ構成で「きく」「さくら」「あじさい」の言葉の代りにドレミファで歌唱した。リズムや音程のズレの音楽的効果を確認することができた。
 
 
 10:05〜
これまでの試行を基に学生のアイディアで音楽づくりをしてもらった。演奏の一例を示す。
 
 
◆まとめ
今回の方法はとてもシンプルであるが、手拍子、バディーパーカッション、声、器楽など様々な応用が期待出来る。このワークショップを通じて周期の概念や最小公倍数について考えることができるので、音楽と理科や算数教科と関連させれば、総合的学習の教材プログラムとしての活用も可能と思われる。
⑧ ⑨ ⑩については、初めての試みであったが、とても面白い結果となった。部分的にはリズムに嵌らず、フリーリズム的ながらも、大きな枠組みでは繰り返しの構造が把握できるので、今後はこの方法を発展させてプログラムを研究課題としたい。

2019年7月13日 (土)

◆テーマ
箏による音楽づくり 〜メタトナリティ(超調性)による音楽〜

◆担当
山口賢治

◆実施日
2019年7月10日

◆概要
フランスの作曲家、 Claude Ballif クロード・バリフ(1924年5月22日 - パリ - 2004年7月24日)が提唱したメタトナリティ(超調性)の手法を箏に援用した音楽づくりを試みた。メタトナリティとは、シリアスで無調的な音響と調性的な響きの中間的な音楽的性質を目指すシステムである。

◆目的
箏は柱を動かすことにより、様々な旋法や微分音程など自由な音律設定が容易に行えることから様々な音楽づくりワークショッププログラムが試され、実践されている。必要な音や求める音列配置を予めプリセットできるので、簡易的に演奏音の選択が可能である。箏のこの性質を用いれば、メタトナリティシステムも比較的簡易に具現化することができると考え、箏による音楽づくりプログラム教材をひとつ提供することを目的とした。

◆ メタトナリティシステムの解説
1、調性楽曲の主音ような中心となる基礎音を設定する。(今回はC)
2、設定した基礎音に対して増四度(減五度)の音程関係になる音(F♯)は除外し、11音を使って構成する。
3、基礎音に対して完全四度(完全五度)関係にある音(今回はFとG)を調的不変素と呼ぶ。この音が調的な部分を担う。
4、基礎音と調的不変素の間に挟まれた音を旋律的変素と呼び、旋律や旋法の性格を決める要素となる。

Photo




図1 メタトナリティの構成(下記よりダウンロードできます。)
fig1.jpgをダウンロード

◆メタトナリティシステムの箏への適応方法
箏2面で1セットとする。基礎音(C)と調的不変素(F、G)は共通とし、旋律的変素の組合せが異なる下記の3セットを用意した。

A









図2 箏調絃セットA(下記よりダウンロードできます。)
A.jpgをダウンロード
 

B


     

 
 
 
  
 

図3 箏調絃セットB(下記よりダウンロードできます。)
B.jpgをダウンロード

 

C



 
 
 
 
 
 
 
 
図4 箏調絃セットC(下記よりダウンロードできます。)
C.jpgをダウンロード

演奏効果を考慮し、箏Ⅱは箏Ⅰより一オクターブ低く調絃した。
 
◆実施プログラム





YouTube: 箏を使ったメタトナリティ(超調性)による音楽づくり


①各箏セット(A 図2、B 図3、C 図4)の旋法を提示した。0:00〜1:41

②各セットごとに試演。箏Ⅰの4小節アドリブ→箏Ⅱの4小節アドリブ→箏Ⅰと箏Ⅱの4小節アドリブを行った。ピアノによる基礎音Cの連打音を背景音とした。
 Aセット…1:41〜2:25 Bセット…2:25〜3:09 Cセット…3:09〜3:51

③ピアノに変わり基礎音(C)をトーンチャイムで鳴らしながら、各セットごとに点描的もしくは無拍節的な演奏をしてもらった。
 Aセット…3:51〜4:21 Bセット…4:21〜4:55 Cセット…4:55〜5:26

④これまでの試演を踏まえて各グループごとに自由に創作発表を行った。もし可能であれば、システムの主旨を尊重し、アドリブ旋律を奏でる際には中心の基礎音を留意してもらうよう伝えた。
 Aセット…5:26〜6:46 Bセット…6:46〜8:36 Cセット…8:36〜10:54

Aセットの演奏では、中心となる基礎音をドローンとし、箏Ⅰと箏Ⅱの各旋法が共に明確に伝わる演奏だった。Bでは、主に箏Ⅰが旋律的アドリブと担い、箏Ⅱが装飾的音を絡める構成になった。Cでは前半は中心音(基礎音)感じさせない無調的な音空間を形成させ、後半は旋律感を全面に出し、システムを巧みに活用した演奏であった。

◆考察
メタトナリティをテーマとした授業は今回が初めてであった。無調と調性の中間的な響きを求めるシステムなので、演奏の際、音の選択の仕方や抽出方法により旋法感を出したり、十二音技法的な音楽にもすることもできた。この方法論による音楽づくりでは、音楽的効果を明確にするために、演奏者がシステムを良く理解し、演奏をコントロールするためのある程度の技術や知識が必要となると思われる。邦楽ワークショップ受講生は当然、音大学内学生なので、このプログラムに対応できた。ワークショップの内容としては高度な分類になると思われる。

日本の伝統的な旋法には陰旋法、律旋法、民謡旋法、琉球旋法の4種類があり、どれもが完全四度からなる二つのテトラコルドの全音連結からなっている。テトラコルドを成す各音は核音と呼ばれ、核音で挟まれたテトラコルド内に音がひとつ配置される。この配置音の音程の違いにより各種の旋法に特徴づけられる。メタトナリティも基礎音と調的不変素の音程関係が完全四度で、且つ全音で連結されてる部分では日本の伝統音楽の旋法と共通である。なので日本の音楽の旋法から発展させてメタトナリティに繋ぐ教材プログラムへの応用も期待出来る。

今回は参加人数の関係もあり、調絃の組合せセットを3つ選んだが、組合せは全部で36通り考えられる。この試みは視点を変えればポリモードによる演奏になるが、主眼は無調的響きと調的な音響の中間的な音楽を実現することなので、そのための工夫や仕組みを考えることが今後の課題である。

◆参考文献
「はじめての〈脱〉音楽 やさしい現代音楽の作曲法」
 木石岳 編著/川島素晴 監修/自由現代社 刊

2019年7月 4日 (木)

7月3日 邦楽ワークショップ

今回は、箏を全音音階に調弦して、拡大と縮小をテーマにして音楽づくりをした。
最近の学生の作品を聴いていると、フィーリングだけで音楽をつくっている傾向になっているので、構造に着目したテーマを与えて音楽をつくってみた。

内容は以下です。


使用楽器 箏10面 発表の時に一人はピアノにまわった。
調弦 全音音階 A B C♯ D♯ F G A~
参考楽曲 ドビュッシー作曲 「映像」第2集 1曲目

内容
1、全音音階の紹介
2、上記の参考楽曲をピアノ科の生徒に弾いてもらう
3、箏で拡大(2倍ゆっくり弾く)と縮小(2倍速く弾く)を練習して、重ねてみる。
4、逆行(音型を逆に弾く)を練習して、さらにそれを拡大、縮小して重ねてみる。
5.箏の奏法の確認
6、独自の奏法を考えて、それを使って対話してみる。
7、今までの技を使って、拡大縮小をテーマに2つのグループに別れて音楽づくり
8、発表、感想を言い合う


YouTube: 箏による「全音音階」による音楽づくり

感想
2つのグループのうち、拡大縮小をわかり易く発表してくれたグループの作品のみアップした。
ピアノ科の生徒がピアノで参加してくれて、音楽的に幅が広がった。
拡大縮小をテーマにしたことで、いつもはフィーリングのみで作ってしまいがちな学生たちがちゃんと構造を考えて良く聴き合って、それぞれの役割がはっきりした音楽ができた。
これからの音楽づくりにも是非役立てていただきたい。

授業担当 吉原佐知子 記

2019年6月 6日 (木)


6月5日邦楽ワークショップ

題名「巣ごもり地による箏ワークショップ」

対象 大学生五名
使用楽器 箏五面
調弦 平調子
題材 「松竹梅」

内容
1、邦楽曲の古典曲に用いられる地(繰り返しの伴奏パターン)の一種である巣ごもり地(ツルテンツルテン~)の説明と練習をする。
2、学生の一人に巣ごもり地を弾いてもらい(二ス三の繰り返し)、その上で吉原が古典曲「松竹梅」の手事を重ねて弾いて聴かせる。
3、古典奏法の練習(すくい爪、割り爪、かけ爪、流し爪、引き連、後押し、割連、サーラリン、コロリンなど)を練習。
4、習った技を使いながら、巣ごもり地の上でメロディを作って重ねてみる。
5、巣ごもり地の上で対話したり、メロディのほかにも飾りを足してみる。
6、巣ごもり地の速さを色々変えてみて、それに反応して音を重ねてみる。
7、グループで巣ごもり地がどこかでなっているという約束で曲づくり。
8、発表と感想。





YouTube: 巣ごもり地による 箏ワークショップ

感想

今回の作品は巣ごもり地とメロディを一人ずつ交替でまわしてつくりました。良く聞きあってたくさんの技を駆使して古典的でありながら現代の感覚も感じられる作品となりました。
巣ごもり地h、同じく古典の地の一種で良くワークショップで使われる「さらし」より単純なパターンなので、より簡単に音楽づくりができるような感覚でした。
学生も、巣ごもり地があると作りやすかったという感想でした。
三味線でもすぐ弾ける手なので、今後もまた色々な場面で取り入れてみたいと思います

授業担当 吉原佐知子

2019年4月29日 (月)

箏による「さらし」による音楽づくり

実施日2019/4/24

前回は初めての箏による音楽づくりを体験した学生たちでしたが、今週はまた基本的な「さらし」をモチーフにした音楽づくりをして、更に箏に親しんでもらいと共に独自の奏法を使いながら、拍のない音楽も作ってみようという目的で音楽づくりをしてみました。

内容
1.前回の復習で基本奏法の練習、「さらし」の音型練習やさらしを変形して弾いてみる。
2.特殊奏法の復習
3.独自の奏法を発表したり、それを使って対話してみる。
4.さらしのドローンの上で拍ありで重ねたり、拍なしで重ねたりして盛る
5.グループに別れて音楽づくり。(さらしがどこかで鳴っていることと、拍のない部分も必ずいれることを約束とする。)
6.感想を言い合う


YouTube: 箏によるさらしの音楽づくり 2019,4-3


YouTube: 箏によるさらしの音楽づくり 2019,4-2


YouTube: 箏によるさらしの音楽づくり 2019,4-1


授業者感想
1番目のグループは箏専攻の学生が混ざっていたのでとてもきっちりした作品でしたが、筝専攻の学生もすすんで面白い奏法を加えていて画期的だった。まわりの学生も負けずに旋律を重ねていたし、終わり方もまとまっていた。
2番目のグループは全員箏は初心者でしたが、かえって既成概念にとらわれず、独自の奏法も自分の音楽の表現にたくさん取り入れていて、とても感性豊かでよく聴き合っていて良かったと思う。
3番目のグループもほとんど初心者でしたが、2番のグループと同様に、さらしのモチーフの速さを工夫したり、音色を工夫したり、最後に無拍の部分も良く聴き合って素敵な作品ができた。
画像が途中で反転してしまい、失礼いたしました。
先週よりさらに箏を自在に使っている作品ができ、これからますます楽しみになりました。

授業担当 吉原佐知子記

「初めての!箏による音楽づくり」
実施日2019/4/17

まず、2019年の授業は1回目の4/10はオリエンテーションを行いました。
邦楽ワークショップの概要と手拍子や声、ボディを使った音楽ゲームで大いに盛り上がり、にぎやかなスタートをきりました。

そして本時、2回目の4/17は初めて箏を用いての授業で、オーソドックスな「さくら」を導入とした音楽づくりを行いましたが、グループ発表では、さくらのメロディーは一切使用するグループはなく、学生独自のメロディーや奏法が満載の素敵な音楽が出来ました。

内容
1.箏の準備説明
2.基本奏法の練習(さくらを弾いてみる)
3.特殊奏法の練習
4.独自で考案した奏法の発表
5.今までやってきた奏法を重ねたり対話したりしてみる。
6.グループの別れて音楽づくり(「さくら」のメロディーは入れても入れなくても良い)
7.感想を言い合う






YouTube: 箏によるさくらによる音楽づくり 2019,4-1






YouTube: 箏によるさくらの音楽づくり 2019,4-2






YouTube: 箏によるさくらの音楽づくり 2019,4-3


授業者感想

3グループとも、既存の「さくら」のメロディーは使わずに独自のメロディーを使っていること、また、こちらでなにも言わないのに柱を動かして調弦を変えたり(1番目の画像)、同じ奏法で音楽を構築したり(2番目画像)、踊りを入れたり(3番目画像)と、とても個性的な作品が出来ました。
来週からもどんどん新しい音楽が生まれることが期待できて、好調なスタートで乞うご期待です!


授業担当 吉原佐知子 記

2018年11月17日 (土)

サウンド・ペインティング

■実施日:2018年11月14日
■ワークショップ担当:音楽音教デザインコース学生3名
■テーマ:「サウンド・ペインティング」による音楽づくり
■概要:サウンドペインターと呼ばれる指示役が様々な演奏サインを出して、音楽を紡いでいく音楽創作の方法論をサウンド・ペインティングと呼ぶ。受講学生に様々な楽器を持参してもらい、段階を踏みながら、多様な音響や音楽を産み出すことを試みた。


YouTube: サウンド・ペインティング


■まとめ
ロングトーン、点描音、パターン音形、音量や音密度の変化、即興演奏など今まで邦楽ワークショップで学んできた様々な要素の組合せであり、集大成的な意味合いを持つテーマであった。今回は多くの種類の楽器を持ち寄ることにより豊かな色彩感の音響を実現できたところに興味を持てた。またワークショップリーダーが段階を踏んで分かりやすく全体を導くことができていた点で評価できた。各自が持っている音楽性を発揮しつつ、今までの音楽づくりの体験を活かすことができる方法論であることが確認できた。
サウンド・ペインティングを行うに当たり、前提初期条件として使用できる音やモードを指定することにより、音楽の方向性を明確にすることを今後、機会があれば試したい。[担当教員:山口賢治]