2012年11月 1日 (木)

クラブミュージックの音楽づくり

10月17日は、音楽デザインコース4年のK君による、「クラブミュージックの展開を用いた音楽づくり」でした。

彼は前期も面白いテーマでワークショップをしてくれていて(確か制限事項をきめて音楽づくりをしてみるとどうなるか!?というものでした)、今回もとても斬新で楽しいワークショップをしてくれました。

前期にリーダーをした時は「どうしようどうしよう」「え~っと」みたいな時間が多かったのですが、今回は流れもスムーズで立派なリーダーぶりを見せてくれました。

音楽づくりはメンバーを入れ替えて、2グループを2回やりました。

生徒達もとても楽しんで、興味深々でやってくれました。

内容は以下です。

授業担当 吉原佐知子 記

テーマ:クラブミュージックの展開を用いた音楽づくり

アイスブレイク
1、bpm120程度で4拍1小節のパターンの手拍子を繰り返し、4小節毎に次の人が重ねていく
2、上と同じだが8の倍数小節目だけ奇数番目に手拍子を叩いている人は手拍子を1小節間だけやめ、次の小節で手拍子を再開する
3、ずらしてもう一度(奇数番目にやっている人がやめることが重要)
4、上記のパターンの休み1小節を、休みではなく「激しい1小節」に変えてもらう(具体的には音の数を増やす)
5、さらにずらしてもう一度行う




YouTube: クラブミュージック、アイスブレイク 邦楽ワークショップ

ワークショップ
1、クラブミュージックの展開について解説する
・クラシック音楽とは全く違うもので、本来はDJが曲と曲を繋ぐ為の展開になっていること
・音を変形させるのではなく、ループされているパートを付け足したり消したりする事で展開すること
・「ビートのみ→ベースとなる音→コードやアルペジオ→ブレイク(殆どのパートが消え、特徴的なリフなどのソロになり、サビのようなメインの役割となるパートへ向かって盛り上がる)→メインのパート→パートを減らして盛り下げていく→ビートのみになって終わる」が基本だが、ブレイクは大抵の場合何度か訪れるうえ、この基本形は組み替えたり、組み合わせの自由度が高い
・大切なのは徐々に盛り上げていくことと徐々に盛り下げていくことだが、ブレイクでは大胆にソロにしたほうが好ましい
2、実際に曲を聴いてみる
・Syntheticsax - Ky Ky (Funky Truckerz Remix)
・Jamiroquai - Cosmic Girl (Tom Belton Remix)(冒頭の展開が早い)
3、グループに分かれてアイスブレイクを思い出しつつクラブミュージックの展開を使った音楽づくりをしてもらう
(リズムを刻むパートがあると楽)




YouTube: クラブミュージック 作品① 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック作品② 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック 作品③ 邦楽ワークショップ




YouTube: クラブミュージック 作品④ 邦楽ワークショップ 洗足学園音楽大学

→今回は上記の音楽づくりに「徐々に展開していく」「展開にブレイクを設ける」といったような条件を加えて発表をしてもらいました。2グループに分かれて各2回演奏をしてもらいましたが、どの発表でもクラブミュージックの盛り上がりを表現出来ていて、自分自身演奏を聴いていて楽しかったので本当に驚きました。
特にグループ2の1度目の発表は打楽器がなく邦楽器ばかりだったのに展開が美しく、既存の曲であるかのような完成度だったと感じるほどでした。
 
まとめ
クラブミュージックにはとてもシンプルなパターンのみで構成されている曲も少なくありません。それなのに退屈しない理由は「展開」に秘密があるのです。
始めのアイスブレイクや展開の説明で行った事は「引き算による展開」です。基本徐々にパターンが積み重なるだけの構成の中に、瞬間的に音数が減る部分が現れると、それがコントラストとなりシンプルなパターンを引き立てるのです。
特に「ブレイク」はこの展開の中で一番音数が少なくなる要素です。この「ブレイク」の役割は、一番の盛り上がり所への期待を聴いている人に感じさせるためにあります。そして期待通り(または期待を超えるもの)のものがブレイクの直後に来ると人は音に快感を感じるはずです。
今回このワークショップを行って、これからのクラブミュージックの聴き方が変わったかもしれない、という言葉を頂きました。しかし自分が一番主張したかった事は「クラブミュージックの展開はどんな音楽づくりにでも簡単に応用出来てしまう」という点です。
これから音楽づくりで迷った時にはどんどんこの方法を使っていい音楽を作って欲しいです。

 

 

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