2022年5月 3日 (火)

宮島達男のデジタルアートから音楽を考える

■実施日 2022年4月27日
■担当 山口賢治
■テーマ
宮島達男のデジタルアートから音楽を考える
〜《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》の作品構造から音楽づくり〜
■概要
発光ダイオードカウンターなどのデジタルデバイスを使用した作品が代表作がある現代美術家である宮島達男の作品構造をヒントに音楽づくりを試みた。
宮島達男


YouTube: SOPH.20th Project "SOPHNET. x 宮島達男"

宮島作品の《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》はデジタルカウンターが平面上縦横に配置されており、一定の周期で1から9までのカウント表示とブランク(数字表示がオフ)を繰り返す。表示周期は各々のカウンターごとに異なり、巨視的には赤い光による表示と明滅の揺らぎが立ち現れる。


・音楽構造と数列の関係について、フィボナッチ数列(1 1 2 3 5 8 13 21)によって組み立てられたバルトーク作曲『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』を鑑賞し、参考とした。


YouTube: Béla Bartók Music for Strings, Percussion and Celesta

・音楽づくりでは最も単純な等差数列であり《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》の「1から9までのカウントとブランク」の構造を活用して音楽づくりに取り組んだ。

【授業記録動画】


YouTube: 宮島達男の作品をもとに音楽づくり
コロナの状況でのマスクを着用のため聞こえるように大きな発声ができないためあまり聞き取れない点はご了承ください。
 ①0’00”〜0’29”
  全員で「1から9までのカウントと休符」を繰り返し唱えた。音楽づくりのベースとなる構造
  の確認作業となる。 
 ②0’30’”〜1’19”
  「1から9までのカウントと休符」を繰り返しを各々異なる周期で唱えた。
 ③1’20”〜1’55”
  ②を背景に声のによる自由な掛け合い(コールアンドレスポンス)を行った。
 ④1’56”〜2’44”
  ①で休符のかわりに楽器の音を挿入した。
 ⑤2’45”〜3’19”
  リズムドローンを加えて④を行った。
 ⑥3’20”〜4’03”
  ②の方法で休符のかわりに楽器の音を挿入した。
 ⑦4’04”
  「1から9までのカウント」に合わせて、数字が増えるにつれて音数、音程、音量がなどが
  漸次的に増大する発音イベントを重ねる試みを行った。あまり狙い通りの効果を実現する
  前に時間切れになってしまった。

■授業を振り返って
 音具や楽器を持参して参加したくれた学生が多かった。トーンチャイムに三味線、ヴァイオリン、ベースipadなどに加えて北欧の楽器であるニッケルハルパも加わった。様々な音色が混じり合い、とても色彩感のある音響を実現できたことに興味が持てた。
 この授業では単純なカウントに基づく音楽づくりであった。そのため子供でも老人でも、楽器がまったく演奏できない人でも参加できる方法論であり、様々な応用が可能なプログラムであると同時に、音楽と美術作品の関連について学ぶことができる話の流れも組み立てることができた。
 音楽づくりのテーマや手法は同じ音楽の世界の中から見つけ出すことが多いが、音楽以外の芸術分野から音楽づくりのコンセプトを取得することも考えられる。遊び、美術、さらには広くは建築や工芸とも音楽との相互関係を見出し、文化的に共通する背景を探ることによって新しい音楽教育プログラムを拡げることができる。音楽づくりワークショップ教育の研究や実践が普及している現在、さらなる発展のためには隣接する分野や文化にも目を向ける段階ではないと思った。
 

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