2021年4月

2021年4月30日 (金)

■実施日 2020年9月23日

 

■担当 山口賢治

 

■テーマ 

オンライン上でパターンミュージック 

~通信遅延の問題と時間の共有をテーマに~

 

■概要

コロナウィルスの蔓延状況下において、近日は中学、高校でクラスター感染が広がるなど事態の収束が見込めていない。今後、PCR検査陽性者数の増加に伴い、オンラインによる授業の常態化の可能性もある。

現在の通信環境下でオンラインによる学校教育を実施する場合、最も障害を受ける科目は音楽となる。歌唱や器楽演奏を行う場合、特殊な作品を除き通常はリズムすなわち時間の共有を前提とするが、オンラインの場合は通信遅延や音質の問題があり、大きな制約を受ける。

現在でもヤマハのSYNCROOMなどに代表されるデバイスを介することにより、通信の遅延時間を小さくして、オンライン上でのアンサンブルは可能である。しかし学校の音楽教育の現場においてこのような音楽デバイスを生徒全員に配備することは現実的でない。

今後5G,6Gと通信技術が進めば、特別なデバイスを用意しなくても通信遅延が限りなく小さくなり音質の向上も見込め、オンラインでの音楽活動や教育も制約なく行える環境が整えられると考えられる。しかし、暫くは通信環境の制約を前提とした音楽オンライン教育プログラムの研究と実践が求められる。

昨年度の「~ メトロノームで音楽づくり ~」続いての音楽づくりオンラインワークショッププログラムの試行になった。

 

■準備

ストップウォッチ、各自が声や音が出せる環境

■課題

ストップウォッチによる時間共有の中で音声通信の遅延を織り込んで上で、どのような音楽づくりが可能か探る。

■実施プログラム

①リーダーの合図で手拍子を打つ 

確認事項として遅延時間、遅延時間のズレを調べた。全員同じようにズレるのか、つまり同じ遅延時間で手拍子が揃うのか、それとも受講学生ごとに遅延時間が異なり、手拍子がバラバラに

なってしまうのかを確認した。結果は判然としなかった。手拍子が揃う場合とバラバラになる場合の両方があり、揃わない原因が通信の遅延時間の違いなのか、手拍子を叩くタイミングそのものが合っていないのか、もしくは両方なのか判断できなかった。 

リーダーの合図に対して手拍子を叩く人数を変えて試したが、現在の大学のmeetのシステムだと3~4名くらいまでの妥当な参加人数だと判断した。

②リーダーの合図でストップウォッチのスタートスイッチを押し、10秒後に手拍子を叩く試行を行った。

③ ②でストップウォッチで時間を共有する方法がある程度うまくいくことがわかったので、10秒後、12秒後、14秒後、16秒と2秒毎に手拍子や掛け声を出してみた。これによりオンライン上でのパターンミュージックの実施が可能である判断できた。

④ リーダーと3名の参加者(A,B,C)で次のルールでパターンミュージックを試みた。

   A…10秒から0,1を繰り返しカウントする。

   B…15秒から0,1,2,3,4を繰り返しカウントする。

   C…20秒から0,1,2,3,4,5,6,7,8,9を繰り返しカウントする。

⑤ ④で0の時に手拍子を入れたり、数字を唱える声質をかえてみた。

オンラインの場合、声の強弱変化はマイクのミュートやブースト機能によりあまり効果が出ないので、避ける方が無難に思えた。

⑥ ④や⑤の試行に以下のDの要素を加え、さらなる変化のヴァリエーションを加えた。

   D…30秒、1分、1分30秒、2分になったら数秒拍手を入れる。

⑦適宜即興的に音程を変化させて数字を唱えた。但し、0の時は必ずDの音程にすることをルールとした。その際にD音程が確実に捉えられるようチューナでDの持続音を鳴らす対応をした。このような仕組みにより様々な変化が生じ、かつ音楽的な秩序を感じさせる構成の音楽が表出された。

■考察

ストップウォッチによる時間共有は上手く機能した。各自の遅延時間が同じであれば問題は生じない。もし遅延時間が受講者によって異なる場合が生じた時には、遅延時間が僅かに長い参加者はリーダーの合図より少し早めにスタートボタンを押す対応方法が考えられる。受講生は音楽大学学生で訓練されているので、僅かな始動タイミング調整の能力は有している。

メトロノームを使わずストップウォッチを用いた理由は、メトロノームの場合、スタートボタンを押してから作動するまでに幾ばくかのタイムラグがある機種があるためである。

大勢の参加者の場合、全員が同時に参加することは難しいか、少しずつルールを変えたり加えたりして、ローテーション制を取れば対応できる。

数字を唱える代わりに音具を用いることも考えられ、今後の課題としたい。