2017年10月27日 (金)

今回は5音音階で弾ける「夏祭り」を題材に、箏と打楽器で音楽づくりをしてみました。

曲の伴奏づくりではなく、夏祭りの一部分をモチーフにして音楽づくりができるように指導しました。

そうすると5音音階のありものの曲ならどんな曲でも全曲弾けなくても音楽づくりをすることによって親しめるということが実感できれば良いとおもいました。

授業担当 吉原佐知子


YouTube: 箏で「夏祭り」による音楽づくり

今回はピアノ科2年生のK君によるワークショっぷです。

内容は以下です

箏を使った「もみじ」を題材にしたワークショップ

対象、小学校六年生

目的、
・箏に親しむ
・みんな仲良く、親睦を深める。
1,秋のイメージを1人五個ずつあげる。
2,様々な箏の技を復習
3,1であげたイメージを箏で弾いて表現してみる。まずは1人ずつ、次に二人で重ねてみる。最後に3人で重ねてみる。(メロディ、ベース、合いの手)
4,もみじの曲を練習
5,「もみじ」による音楽づくり。どんな情景のもみじなのか話し合いながらつくる。もみじの曲を必ずいれなくても良い。
6,発表、感想を言い合う。

https://youtu.be/HLJHNSULpow

私も一緒に作品づくりに入ったので、イメージにかたよって、情景を音楽にすることで終わってしまいそうだったので軌道修正して盛り上がる部分をいれて発表しました。

最初の秋のイメージを1人ずつ箏で色々な手法で発表するところまでは素晴らしいアイディアでしたが、それを数人で音楽づくりにするところの誘導が難しい、ワークショップリーダーの腕のみせどころ、と再確認して終わりました。
でもとても進め方は良かったのでまたKくんがワークショップリーダーをする機会があればよいな、と思いました。

授業担当 吉原佐知子

2017年10月12日 (木)

■実施日:2017年10月11日 

■担当:山口賢治 

■ゲスト:山本和智(作曲家)

■テーマ:扇風機による音探し、音楽づくり 〜尺八と扇風機で《鹿之遠音》〜

■想定対象者

演奏家、作曲家やそれを目指す人。もしくは実験的、先鋭的な試みに興味がある者。

 

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■実施のねらい

 1931年フランス生まれのアメリカ人作曲家Edgard Varèseが西洋音楽史上初のパーカッション・アンサ ンブル曲とされるイオニザシオンにおいて打楽器に加えてサイレン音を楽曲に取り入れた。また1940年代 からPierre Schaefferらにより音響・録音技術を活用し、人工音や自然界から発せられる音などを録音、加 工し、再構成して作品化するミュージックコンクレート(具体音楽)が生み出されるようになった。 通常、音楽は声や楽器から発せられる音(楽音)によって音楽が組み立てられているが、楽器以外の物体 から発する音や環境音、機械音などの噪音を音素材とする音楽が生み出されるようになった。現在はテクノ ロジーの発展により容易にサンプリングによって様々な音素材を音楽の中に組み込むことができる。

 こうした具体音楽の歴史を紐解けば、古くはベートーヴェン 作曲「ウェリントンの勝利」(1813年)や チャイコフスキーの序曲「1812年」(1880年)では式典楽曲として大砲や小銃が使われ、エリック・サティ 作曲のバレエ音楽「パラード」(1917年)ではピストルやラジオノイズ、タイプライターなどから発せられる音が楽曲中で使用されている。

 一方、日本の伝統音楽では、とりわけ尺八音楽の中でムラ息やカザ息のノイズ音等の非整数次倍音を含む音が積極的に音楽表現に取り入れられいる。尺八では一音成仏という言葉があり、たったひとつの音にも宇宙が存在するとされる思想があり、これは音楽を構成する一つの音自体に多くの情報量が含まれることを意味している。そのような性質を有する尺八と具体音楽にはある種の共通点や親和性があると思われる。

 今回は具体音楽を導入にして、山本和智 作曲「翦断/歪」〜Violist & Percussionistのための〜を手掛かりに、風を起し、叩いたり擦るなど方法で様々な音色が得られる発音素材として扇風機を用いて、音探しから音楽づくり、そして尺八との合奏試演を試みた。このワークショップを通じて、楽音、噪音、自然音、人工音など様々なカテゴリーに分類される音や音響と音楽の関係を考える切っ掛けを与えることが本ワークショップの狙いであった。

 

■実施プログラム

①具体音楽の説明と参考音源を鑑賞した。

 【参考音源】

  エリック・サティ 作曲 「パラード」

  エドガー・ヴァレーズ 作曲「イオニゼーション」

  ピエール・シェフェール 作曲「Études de bruits 」

 

②山本和智 作曲「翦断/歪」〜Violist & Percussionistのための〜を鑑賞と作曲家による作品解説をして頂いた。扇風機からどのようにして様々な音を探し出し、その音がどのように記譜され、ヴィオラとの二重奏に結実したについて作品成立までの試行や思考過程についてお話し頂いた。

Photo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏法解説は下記

souhoukaisetsu.pdfをダウンロード

 

③扇風機演奏法の実演および受講学生達による扇風機による音づくりを行った。

 

④尺八音楽における音の特性と尺八古典音楽の代表である「鹿之遠音」の曲構成(2本の尺八の応答形式)の解説を行った。

 

⑤「鹿之遠音」を参考に扇風機と尺八で演奏を試みた。

 

⑥演奏家にとって音に対する向かい合い方について考えてもらった。


YouTube: 扇風機による音楽づくり 〜尺八と扇風機の為の《鹿之遠音》〜

■授業を振り返って

 音探しの題材が扇風機なので、ワークショップ受講者や後にワークショップ動画を見た人達からの反応は大きく二分された。とても面白く興味を持ってくれた人達がいた反面、まったく興味を示さなかったり拒否反応を示す人もおり、受講者や実施場所を選ぶワークショップテーマであった。しかしながら、今回は受講学生全員が具体音楽についての知識がなかったので、少なくとも具体音楽の概念を知る意味では、皆にとって意義ある授業になったと思われる。

 以前の授業で音や音響と音楽の違いについて考えたことがあった。少し視点を変え、世の中に存在する音について”音楽の音”と”音楽でない音”の曖昧な境界線をどのように捉えるかについて問題意識を持ってもらえたとすれば本ワークショップは成功である。その意味で、このプログラムは音楽に対する概念を広げるワークショプの一つに位置付けられるように思われる。

 今回はまったく初めての試みであった。尺八との扇風機の二重奏について、時間の制約や学生の躊躇いにより、充分な試行錯誤ができなかったため満足な演奏結果には至らなかった。しかし何度かの練習機会と適切なアンプリファイが得られれば、面白い音楽が産み出せそうな感触を得ることができた。

2017年7月14日 (金)

◎タイトル「ソーラン節による音楽づくり」

◎題材と音楽づくりについて

今回は民謡の「ソーラン節」を題材に箏を使った音楽づくりを行った。

ソーラン節は5音の民謡音階で構成されており、箏をその構成音で調弦すれば容易にメロディーが弾け、節づくり、即興なども、どの音を弾いても違和感なくなじむため、容易に音楽づくりができる。

学生には箏に親しみながら、五音音階のよさ、音楽づくりに取り入れる意義などを実感してほしい。

今までの音楽づくりのシーンでは、楽器に対する自信がないせいか、邦楽器に向き合うときに効果音や、場面を想定した擬音に走ることが多々あったが、今回は擬音に走らず、音楽的、構造的に音楽づくりができるように指導したい。

◎内容

1、荒川区の小学校4年生が同じ「ソーラン節」を題材にした箏による音楽づくりをしているDVDをみせて、子供たちがどんな工夫をしているかをみんなで意見交換をする。(音楽的、構造的な工夫に気付かせる)

・速さや音量の工夫・はじめ方、終わり方・音のない場面があった・役割分担の工夫

など

2、箏の調弦を楽調子(レソラドレミソラドレミソラ)にして一人1面用意する。

十七絃が好きな学生が一人いたので十七絃は1面(ドレミファソラシド~)用意

3、ソーラン節の節を弾いてみる

4、色々な技を練習(合わせ爪、押し手、輪連、トレモロ、ピッチカートなど)

5、色々な技を使いながら、パターンを重ねていく。

6、色々な技を使いつつ、即興で節づくり。

7、無拍のドローンの上で対話してみる

8、3つのグループに別れて音楽づくり。(2つ以上の場面を音楽的な工夫をしながらつくってみる)

9、発表、講評

まとめ

今回は3つのグループ全部が擬音に走らずに確実に音楽と向き合って作品をつくっていた。

特に良かったグループの作品を以下に挙げる。

やはり五音音階、特にテーマが簡単に弾けるものを題材にするとそれぞれは箏が初心者であるにも関わらず工夫次第で厚みのある素敵な作品ができるということが、学生自身も実感できて、達成感もあったようである。実践してみて、五音音階だと本当に簡単に音楽づくりができるんだな、と気付いてくれた。

これからも今回の経験を生かし、擬音に走らずに自信をもって音楽づくりをしていってほしいと思う。

授業担当 吉原佐知子


YouTube: ソーラン節による音楽づくり

2017年7月 6日 (木)

■テーマ

声、ボディーパーカッション、ピアノによる音楽づくり

〜山根明季子 作曲「水玉コレクション」を参考に〜

 

■担当:山口賢治  ■実施日:2017年7月6日

■概要

パターンミュージックのヴァリエーションとして 山根明季子 作曲「水玉コレクション No. 6」の構造形式を流用して音楽づくりを行った。


YouTube: Dots Collection No 06 - Akiko YAMANE 《水玉コレクションNo.06》山根明季子

リズムや音列を動機単位として反復循環させるパターンミュージックの概念を発展させて、音響ユニットを単位として、漸次紡ぎ出される音響を変容させる音楽づくりを試みた。

 │A│休│A’│休│A’’│休│A’’’│・・・・

様々な音の重なりが全体として音響Aになる過程を体験し、音響Aを変容させながら音楽として導き、構成するひとつの方法論を示すことを目的とした。

 

■実施プログラム


YouTube: 声、ボディーパーカッション、ピアノによる音楽づくり


① 0:00〜0:34

 │ピアノ│休│ピアノ│休│ピアノ│休│・・・・

ピアノが鳴っている枠内に声やボディーパーカッションの音を漸次的に重ねて音響を作った。

 

② 0:34〜1:48

1人ずつ音を重ねてゆき、全員の音が重なったら、次に1人ずつ抜ける音の変化を試行した。

 

③ 1:48〜3:26

全員の音が重なった状態から1人ずつ音を変えて少しずつ音響を変化させてみた。

 

④ 3:26〜4:27

各人が約50%の確率で音を出す(音を出さない)ことにより、音響に変化をつける試みを行った。

 

⑤ 4:27〜6:10

a,bふたつのグループに分け、aグループのメンバーは音を出す確率を100%→75%→50%→25%→0%、bグループのメンバーは0%→25%→50%→75%→100%と変化させた。全体の響きの動きとしてaグループの音響から始まり、次第にaにbが混じりながらaの響きが減じてゆき、最終的にbグループの音響に収斂する様を意図してみた。

 

⑥ 6:10〜9:40

 │A│休│A’│休│A’’│休│A’’’│・・・・の響きの中で、一人のみ独立して自由に声を出す声部を加えた。

 

⑦ 9:42〜

言葉による応答の要素を加味した。前の人から投げかけられた言葉に対して、次の人にその言葉に対する応答を回していくこととした。

 

■まとめ

今回の試みでは音響を単位として音楽をつくったが、参加者が10名のため、もう少し参加人数が多いと、より音楽的効果が音響群として表出するのでなないかと思われた。音響をつくる際に、ピアノの和音の性質や音響を構成する各人の発音の発想の共通のベース(例:怖い暗いなどの抽象的なイメージ、鳥のさえずりなどの具体的な題材)をコントロールすることにより音楽の性格が様々な様相を示せるのではないかと感じた。

授業の最初は学生に戸惑いが感じられていたようだが、こちらのコンセプトを理解してくれてからは様々なアイディアを出し合うようになり、最後は大いに盛り上がった。今度はこの方法論を活用して楽器を使った音楽づくりに挑戦してみたい。

2017年6月21日 (水)

先週に引き続いての三味線の授業はさらしをモチーフにしました。さらしの原曲は説明のみにして曲視聴はせず、説明とさらしの音型から自由にイメージを膨らませて音楽づくりを行いました。

2017年6月14日
授業タイトル「さらしモチーフで音楽づくり」
使用楽器:三味線(HEH)
対象:大学生8名

①楽器準備
②手の練習
③さらしモチーフ(HF♯GF♯)練習とさらしモチーフを使って4拍のパターン作り・パターン重ねと展開
④グループに分かれてテーマを決め、さらしモチーフを使って自由に音楽づくり
⑤発表・講評


YouTube: 洗足邦楽WS さらしモチーフで音楽づくり「梅雨と蛙とかたつむり」


YouTube: 洗足邦楽WS さらしモチーフで音楽づくり「お祭り」



グループ1は「梅雨と蛙とかたつむり」というテーマでした。雨が降ってジメジメした感じを消し音と音階で表現し、雨降りしきる中に現れる蛙とかたつむりをそれぞれアテハジキとさらし音型のハジキ音で登場させ、重音の雷が鳴って終わりました。

グループ2は「お祭り」のテーマのもと、さらし音型をリズミカルにアレンジして掛け声を随所に入れ、お祭りが始まる前の雰囲気から大にぎわいになる様子を楽しく表現してくれました。

前回授業で力を入れたイメージの表現の工夫を自ら進んで行っていたことと、声を音楽づくりに採り入れてくれたことが素晴らしかったと思います。
お互い聴き合いながら、リーダーになる人だけではなくそれぞれが自分の音楽を展開していけるようになれたらいいなとも思います。
さらしの音型一つで音楽の幅がこんなにも広がるのかと驚きの授業でした。

担当:市川香里

久しぶりの三味線の授業では楽器の扱いと基本奏法を復習してしっかりした音を出すことを目標とし、音楽づくりではイメージを音にする表現方法の工夫と自分たちで決めたテーマをどのように音楽にするかを時間をかけて行いました。

2017年6月7日
授業タイトル「さくらモチーフで音楽づくり」
使用楽器:三味線(HEA)
対象:大学生8名

①楽器準備
②基本奏法、特殊奏法復習
③さくらモチーフ(BBH)練習とさくらモチーフを使って自分のイメージする桜を4拍でパターンで表現
④グループに分かれてグループ内で桜に関するテーマを決め、それを表現するための方法を話し合い、グループ毎に発表
⑤それぞれのテーマでさくらモチーフで音楽づくり
⑥発表・講評


YouTube: 洗足邦楽WS さくらモチーフで音楽づくり「上野でお花見」


YouTube: 洗足邦楽WS さくらモチーフで音楽づくり「歌舞く桜」

グループ1は「上野でお花見」というテーマでした。様々な桜の木がある風景(単音や重音で表現)から始まり、徐々に宴会が盛り上がり(音量と楽しげな符点のリズムで表現)、朝になって昨夜とはうって変わった静けさに包まれて終わる(音量で表現)という、風景が目の前に見えるような演奏を聴かせてくれました。

グループ2は「歌舞く桜」という面白いテーマで、風に揺られる桜(スリによる音階の上下)の横にある歌舞伎座でまさに歌舞伎が上演中(三味線らしい奏法)、外ではしだれ桜(低音で幹の太さを・スリでしだれ具合を表現)も風にそよいでいて、桜の曲と共に歌舞伎も一番の見せ所となり盛り上がって終わるという、それぞれの役割がハッキリと分かれた音楽でした。

話し合いの時間を長く設けて表現の工夫を相談し、グループ毎の中間発表でもお互いどのようにしたら良くなるか意見を交換し合い、いい雰囲気で音楽づくりができた授業でした。せっかくの面白い展開だったのでもう少し長めの曲づくりをできたらよかったかなと思いました。

次回も三味線をメインに音楽づくりを展開します。

担当:市川香里

2017年5月17日 (水)

■テーマ

スティーブ・ライヒ 作曲「クラッピングミュージック」を基にした音楽づくり

 

■担当:山口賢治   ■実施日:2017年5月17日

 

■ねらい

音楽づくりにおいてパターンミュージックは基本的な手法のひとつである。この手法による音楽づくりを進めていく上で、音楽の持続性を保ち音楽的質を高めるためには、様々な音楽的要素(音形、リズム、強弱、音色、表紙、組合せなど)を展開し、構造化することが必要である。ワークショップリーダーはワークショップ参加者の音楽的レベルに合わせて、音楽を展開させるための仕組みや手順を提示し、導く役割が求められる。今回はスティーブ・ライヒ 作曲「クラッピングミュージック」について作品構造の検討し、さらにその構造を利用した音楽づくりを一例を示した。

 

■使用楽器:手拍子、ボディーパカッション、トーンチャイム

 

■実施したプログラム

1、パターンミュージック(ミニュマルミュージック)について説明した。

 

2、4/4拍子で、一小節単位の繰り返しで、手拍子やボディーパカッションによる音楽づくりの復習を行った。音形パターンをくり返すことにより、音楽的周期や秩序が生じることを確認した。

 

3、同じ状態が続くと飽きて来るので、演奏者は音楽の状態の変化を求めるようになる。そこで、音楽の状態を変化させるにはどのような音楽的要素(リズム、強弱、周期、音色、速度など)に着目し、変化させれば良いか、学生に考えてもらった。学生からの意見をもとに様々な試行演奏を行った。

 

4、音楽的状態変化をシステマティックに行う方法の一例として、 スティーブ・ライヒ 作曲「クラッピングミュージック」を鑑賞し、作品構造を解説した。この作品は手拍子による作品で2つのパートに分かれている。6拍で一小節のリズムパターンが基本モチーフとなっている。手拍子1は終止この基本モチーフが繰り返される。手拍子2は繰り返しのモチーフを順次変化させていく。手拍子2のモチーフの変化は、基本モチーフを半拍づつスライドさせたリズムとなっている。指定のテンポよりも遅くして「クラッピングミュージック」を実際に演奏してみた。

 


YouTube: Steve Reich - Clapping Music (Scrolling)

 

5、「クラッピングミュージック」は演奏が難しい場合もある。そこでもう少し容易に演奏ができるようし、また声やパーカッションとの組合せにも可能となるように、「クラッピングミュージック」の構造を借用し、下記の楽譜を作成した。リズムパターンに”せんぞくだいすき(洗足大好き)”の言葉を当てはめた。

Gakuhu

 

 

 

 

 

 

 

 

 gakuhu.pdfをダウンロード

6、メトロノームに合わせて、声による楽譜の演奏を行った。各パートの分離を明確にさせるためパート別に高い声と低い声にする工夫を行った。言葉の要素を加えることにより、繰り返しの変わり目のところで言葉の語呂が変化し、面白い効果が生じた。例えば楽譜の④から⑤に移るところで”せんぞだいすき(先祖大好き?)”となり演奏しながら笑いが出た。

 

7、さらに楽譜の中の赤☆部分で手拍子を入れた。演奏テンポも遅い場合、早い場合を試した。

 

8、音楽的な響きを広げる目的で、トーンチャイムをひとり2本持ち、赤☆部分でトーンチャイムを打つことにした。”せんぞくだいすき・”の言葉の”せ”の部分で2本の内どちらか好きな方のトーンチャイムを鳴らし、”だい”のところでは2回任意の選択で鳴らすこととした。トーンチャイムは移調の限られた第2旋法(G A B♯ C C♯ D♯ E F♯ G)を用意し、この中から適当に選んでもらった。トーンチャイムをいれることで音楽的変化の幅が広がり、複雑で豊かな音響が得られた。

 

9、3グループに分けて演奏した。Aグループは楽譜の上のパートを終止演奏、Bグループが下のパートを担当し、同じく下のパートをCグループはBグループ4小節遅れで演奏した。最初は基本モチーフがユニゾンで奏され、やがてこれがバラけて複雑な響きとなり、再度基本モチーフのユニゾンに収斂されていく過程が聴き取れ、これも面白い効果が得られた。

 

■まとめ

今回は実施したプログラムの8でトーンチャイムの選択を移調の限られた第2旋法としたが、トーンチャイムの選び方を工夫することにより、今回とは別の響きや音楽的効果が得られることも考えられるので、今後の検討としたい。

今回、とても興味深いサウンドとなったがビデオに記録を行っていなかったことが残念であった。

参加学生については全員が前向きでスムースに授業を進めることができた。

2017年4月10日 (月)
2016年10月 5日 (水)

9月28日は音楽音響デザインコースの学生にワークショップを担当してもらいました。以下に学生による実施報告を記します。

 

◆ワークショップのタイトル

「“YO,YO”は卒業!」日本語ラップ概論WITH邦楽器

〜邦楽器を使って日本語ヒップホップに挑戦〜

 

◆ワークショップのテーマ


現代の音楽文化であるラップを体験し日本語とは?普段とは異なる視点で再認識する。

 

◆用意する楽器や人員


邦楽器なら何でもよい。打楽器もあればなおよいが、なくても十分にワークショップができる。事前に韻用の単語を準備しておく必要がある。4単語を1くくりになるように制作する。たとえば、(スイカ、追加、着いた?、六日)など4つほど用意しておく。

 

◆実施対象


中学生以上

 

◆実施プログラム


◎ラップhiphopに関する説明 10分(導入)


ラップとは何か、HIPHOPとは何か、どこからどこまでがラップなのか、どうしたらラップになるのかについて簡単に説明し、この際に音源など聞いた。ここでは、韻を踏むことがラップでは重要であり、韻とは何か(すいか=SuiKa、追加=TSuiKa)以上のような例を出して母音の共通な順序を伝えた。さらにトラックメイカー、とラッパーの2人制の音楽であることを説明した。


◎リズム作りゲーム  10分 (アイスブレイク)


円になりキック、スネア、ハイハット、邦楽器一人が一つ役割を持ちビートを作った。 一人ひとつに分担し(人数は多い場合グループで分ける。)、各チームでリズムを作り聞かせあった。

◎ビートに言葉を乗せるゲーム 15分 (ラップの形を覚える)


「たらたらたら」などの擬音語で他チームが奏でているリズムにラップのように載せていった。これはFLOWと呼ばれている言葉の音形を習得するのに役立つ。


◎作詞作曲タイム   15分


こちら側で用意した韻に数字を振り、グループにひとつ選択させた。選んだ番号の韻をグループに与え前後に作詞をさせた。韻と韻の意味がつながるように空欄を埋めてもらうと考えるとやりやすい。 


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◎発表タイム   10分


二つのチームに分かれて一つはビート、一つはラップをし、それを交互に発表した。

 

◆ワークショップ実施によって得られた効果


ラップは、韻ありきなのだと実感してもらえる。ラップとはなんなのかを理解することができ、「言葉でこれほど遊べるのか!」との実感を持ってもらえたと思う。


 

◆実施してのさらなる改善点


実施する参加者にゆかりのある言葉や楽器を使い韻、リズム作りができれば参加者により親しみを持ってもらえると思う。


YouTube: 邦楽器を使って日本語ヒップホップに挑戦

【担当講師からのひとこと】

自分の得意な分野の題材と邦楽を結びつけたところが評価できる点であった。自分が詳しく好きな分野を中心にワークショップの流れを組み立てているので、リーダーが自信を持って話をし、進行できていた。受講生の殆どが私も含めて”ヒップホップ”について知らなかったのでヒップホップ入門としての意味合いもあり有意義であった。日本の音楽や歌とヒップホップについての関連性について、具体的な例を挙げられれば更に邦楽ワークショップのテーマに沿った内容になったと思う。例えば日本の伝統音楽の枠を広げて、ヒップホップの影響を受けたと思われる演歌やJポップの作品紹介などがあるとより興味深い内容になると思う。(担当:山口賢治)