2013年7月11日 (木)

7月10日は吉原による「アジアのコトの奏法を使ったワークショップ」を行いました。

このワークショップは「音楽づくりの授業アイディア集」音楽之友社出版、坪能由紀子、味府美香、他著より、P、66「箏から広がるアジアのコト」を参考に実施したものです。

洗足学園音楽大学では初めての試みのワークショップでしたが、新しい発見がたくさんありました。また、学生が頑張っていろいろな奏法を駆使して音楽づくりをしてくれたおかげで、素敵な作品が出来上がり、そこから見えてくるアジアのコトに着目する意義の深さを感じました。

内容は以下です。

実施日2013年7月10日

ワークショップリーダー:吉原佐知子

対象:洗足学園音楽大学 学生 8名

使用楽器:箏8面

調弦:E,G,A.C,D,E,G,A,C,D,E,G,A

目的:

・日本の箏と同じ、アジアのコト類に着目して、日本とアジアのコト類の類似点と相違点を知る。

・日本、中国、韓国のそれぞれのコトの奏法に親しむ

・3つの国のコトの奏法を使って音楽づくりをすることにより、同じコト類としてのアジアの楽器を身近に感じる。

内容:

①日本の箏のさまざまな奏法を知ってもらうため、吉原による宮城道雄作曲「虫の歌」の演奏を聴いててもらった後、全員で日本らしいの奏法を練習する。

*かけ爪、割り爪、平爪、トレモロ、輪連(サーラリン)etc.

②韓国の楽器のDVDをみて奏法をまねしてみる。

*カヤグム

 特徴 指ではじく。

     押し手(韓国語でシキムセ)を多用

*アジェン 

 特徴 弓でこすり、左手は押し手

 

③中国の楽器のDVDを見て奏法をまねしてみる。

*古箏

特徴 グリッサンド 押し手 金属弦

*楊琴

特徴 バチで弦をたたく、トレモロのように連打する。

④今まで出てきた奏法を使って

*好きなタイミングでいろいろな音を出してみる

*対話をする。

*重ねる

*パターン重ねの上でソロまわしや対話をしてみる。

⑤2つのグループに別れて音楽づくり

⑥発表

アジアの奏法によるワークショップ 邦楽ワークショップ
YouTube: アジアの奏法によるワークショップ 邦楽ワークショップ

アジアの箏の奏法によるワークショップ 邦楽ワークショップ
YouTube: アジアの箏の奏法によるワークショップ 邦楽ワークショップ

⑦講評&感想

<作品について>

一つ目のグループは国別の音楽づくりであった。流れは、日本(遅めの4拍子)→中国(早めの3拍子)→韓国(普通の速さの4拍子)

という、とてもしっかりした構成による音楽づくりをしてくれ、よくまとまっていた。

二つ目のグループは奏法ごとにパターンミュージックをしてくれ、フリーで即興性の高い素敵な音楽ができた。

全く雰囲気の違う音楽がうまれ、対称的でとても興味深い結果になった。

<生徒の感想>

* 楽しかった。

*日本のコトで3つの国のコトを体験できて良かった。

*初めは音楽づくりをするのがためらわれたが、やってみたら簡単に色々できて良かった。

*違う国の奏法まで体験できて良かった。

<吉原感想>

今までは調弦を中国風にしたり、都節にして日本らしく、アリランが弾ける調弦にして韓国風に、というように、調弦を変えて各国の音楽を表現することはあったが、調弦を統一して奏法のみで国別の音楽づくりをするというのアプローチは初めてで、新しい試みであった。

3つの国のコトは素材は違えど、どれも木に弦を張った弦楽器である。形も少しずつ違うが、ルーツが一緒なので、音楽づくりもし易いと思う。

左手はどれも押し手を多用する所が共通している。右手は爪をはめたり、指で弾いたり、弓でこすったり、バチを使ったりと相違点が多く見られた。

今回の参加学生はほとんど箏が弾けないのだが、たくさん音を出して果敢に音楽づくりにチャレンジしてくれた。参加者が日本の箏についても初心者だったからこそ、日本の楽器とアジアの楽器を同じレベルで見ることができ、結果、躊躇なく自由に音楽づくりができたのかも知れない。

このワークショップは、アジアのコトについてや、コト類の中の一つとして日本の箏を見ることができるという点で、大いに意義のあるものであった。これからもたびたびアジアのコトを多方面からアプローチして題材として取り上げていきたいと思う。

授業担当:吉原佐知子 記

 

2013年6月25日 (火)

6月19日は洗足学園音楽大学教員で作曲家の佐藤昌弘先生をお招きしてジャズのワークショップをして頂きました。

内容は以下です。

授業報告:吉原佐知子 記

〈ジャズにチャレンジ~佐藤昌弘先生をお迎えして~〉

実施日: 平成25年6月19日

実施目的:

・ジャズの音階を知り、音階やリズムに親しむ。

・箏でジャズのベースやアドリブにチャレンジ

ワークショップリーダー:佐藤昌弘先生(作曲家、本学教授、日本現代音楽協会事務局長)

ワークショップサポーター:吉原佐知子(箏)、細山隆(尺八)

監修:坪能由紀子(音楽教育)

参加学生:6名

使用楽器:箏6面、17弦4面

調弦: 箏は二種類 

Cドリアン 一から C,D,E♭,F,G,R,B♭~(ベースはC,G,B♭,D)  

Dドリアン 一から C,D,E,F,G.A.B~(ベースはD,A,C,E)

17弦 は一から C,D,E,F,G,A,B♭~

内容

1.本日使う、ジャズの音階を説明(今回はCドリアンとDドリアンを交互に演奏)。

2.学生はベースの17弦とアドリブの箏に別れて奏法練習。

3、3拍子の17弦のベースの上で箏のアドリブをする。Cドリアン→Dドリアン→Cドリアンと、それぞれ一人4小節ずつアドリブ回し。




YouTube: jazz 邦楽ワークショップ、練習

4、吉原一人が17弦のベースを担当し、学生は箏に移動してアドリブをする。全員で3拍子のジャズにチャレンジ!




YouTube: 邦楽ワークショップ  jazz 三拍子

5、4拍子にして全員で通して演奏。最後は佐藤先生の素敵なアドリブで終わり!

6、感想、講評

以上です。

〈授業後の感想〉

専門の先生をお招きして、箏でジャズの音楽づくりワークショップをするなんて、もしかして世界初かも知れない、貴重な授業でした。

参加人数は気候のせいか、いつもより少なくて残念でしたが、みんな思い思いに箏をかき鳴らし、ジャズの世界に引き込まれていきました。触っているうちにどんどんアドリブが出来ていくのが良くわかりました。やはり何事も経験。やってみることが第一だと思いました。

学生も「最初はジャズは初めてでとまどったが最後は楽しかった」という意見が多かったです。

ジャズのアドリブのコツは間をいれるとか、ベースが命!とか、実際体験して良くわかりました。

また来年度も是非ジャズのワークショップをして頂きたいとい、今度はブルースで!という声もありました。

佐藤先生の優しく丁寧でソフトな授業、素敵でした。

ありがとうございました。また是非お願いしたいです。

吉原佐知子 記

2013年6月20日 (木)

■実施日:5月29日   ■担当:山口賢治 ■ゲスト: 山本和智(作曲家)

■テーマ:山本和智 作曲「Doldrums Ⅲb ~尺八と聴衆のための協奏曲~」を題材に

■概要

AIC/Mostly Modern国際作曲コンクール第一位、JFC作曲賞受賞、 武満徹作曲賞第2位等、数々の作曲コンクールで受賞経歴を持ち、邦楽器の作品も斬新なコンセプトで多く手がける気鋭の作曲家 山本和智 氏を招きワークショップを行った。

山本和智ブログ

山本和智 作品動画

6月19日(水)舞台初演に先立ち 山本 氏の作品「Doldrums Ⅲb ~尺八と聴衆のための協奏曲~」の試演も兼ねたワークショッププログラムを実施した。

■狙い

 ① 演奏家と作曲者が組み共同でワークショップを行う。

 ② ワークショップを通じた演奏試行により、新しい作品が産み出される過程を

   体験し、また作曲に対する作曲家の考えを知る機会を提供する。

■実施スケジュール

1、 山本和智 氏と氏の作品の紹介。

2、 紙を使っていろいろな音 (擦る、振る、叩く、丸める、破る 等)

   を出す音探し。

3、 紙や息音を使って、音を重ね合わせ音響づくり。「風」、「雨」、「雨風」

4、グループに分かれて創作発表1

  ルール:「風」、「雨」、「雨風」をメンバーの共通認識に置いて、

        音楽づくりを行う。

5、グループに分かれて創作発表2

  創作1に尺八・リコーダー上部管、ペットボトル等を加える。

  音色のヴァリエーションを拡げる。

6、聴衆参加型の作品例の紹介

  坪能克弘 作曲

  「”みんなのコンチェルト”~チェロとオーケストラと市民参加による~」

7、「Doldrums Ⅲb」の試演。

授業ダイジェスト動画


YouTube: 邦楽ワークショップ 作曲家 山本和智 氏を招いて

■ワークショップを振り返って

作曲家として様々な指摘や発言が加わることにより、音楽づくりに対する取り組みに新たな視点を得ることができたことは大きかった。また、作曲家にとっても新しい発見や次に繋がるヒントや材料が得られたようであった。集団での音づくりの場面において様々な音色を組み合わせによって音に立体感を出す等、学生達の課題対応力や表現力、音楽的センスについて非常に高い能力を有していると山本 氏より評価された。「Doldrums Ⅲb」はワークショップの題材としても活用できることを前提に作られた作品なので、初演後も様々な場所でコンサートやワークショップでの活用が期待出来る。今年度初の外部ゲストを招いての授業だったが、学生からは好評だった。授業終了後も作品の仕掛けなどについて何人かの学生が山本 氏に質問があり、刺激的な授業にすることができた。

初演の動画


YouTube: DoldrumsⅢb ~尺八と聴衆のための協奏曲~山本和智 作曲

演奏指示書は下記からダウンロードできます。

ensou_shijisyo.pdfをダウンロード

2013年6月19日 (水)

■実施日:6月12日
■担当:山口賢治
■実施概要:「邦楽器を用いた音楽づくりワークショップの歴史」
邦楽ワークショップの授業は今年度で9年目を迎える。音楽づくりの手法に基づくワークショップ活動の黎明期の説明から、その活動が邦楽器にも及んだにも経緯および現在まで至る歴史を過去の映像資料を見ながら講義を行った。
・1960年代終わり、カナダの作曲家マリー・シェーファー 
                      サウンドスケープ(soundscape)
・1970年 著書「音楽の語るもの」 ジョンペインター(John Paynter) 
                      イギリス 音楽学教育学者 作曲家
・1980年   西武美術館主催で音楽教育をテーマとした企画を実施
       星野圭朗(当時:東京学芸大学附属附属竹早小学校)
       児童による自作自演の打楽器アンサンブル曲を披露
・1989年 第6次学習指導要領(小・中・高校)で
       創造的音楽学習が導入される。
・1991年 日本現代音楽協会 主催「童楽」開催
・1994年 日本現代音楽協会 主催「童楽2」開催
・1995年 現代邦楽研究所開講。
           邦楽器による創造的音楽学習の研究や活動が始まる。
・1997年 越谷コミュニティーセンター 主催 
       ロンドン・シンフォニエッタとともに
      ワークショップ参加者とロンドン・シンフォニエッタによるコンサート
・1998年 越谷コミュニティーセンター 主催  青少年少女芸術祭 
・2001年 ISCM世界音楽の日々2001横浜大会 
                 こどもみらい2001 「ワガッキ バクハツ」
・2002年 江戸開府400東京 子どものための伝統文化ワークショップ見本市 
・2005年 日本現代音楽協会 主催
       尺八を中心とした音楽づくりと演奏のワークショップ・コンサート
参考資料
島崎篤子「日本の音楽教育における創造的音楽学習の導入とその展開」(論文)
ジョンペインター「音楽の語るもの」 (音楽之友社)
現代邦楽研究所修了コンサート/こどもみらい2001 コンサートプログラム 他
■今後の課題
今回は、邦楽ワークショップの現在までの流れを振り返った。次の課題として、ワークショップ活動やその実績が将来に向けて、教育環境や社会状況の変化の中でどうように活用され、音楽家(自分達)にとってどのような意味付けがあるのかについて考える必要があると思われる。今後機会があれば「邦楽ワークショップの未来」をテーマに学生同士のディスカッションや研究授業を行いたい。
【現代邦楽研究所第1回修了コンサートプログラム】
13061201

 

実施日:6月5日

担当:味府美香

実施概要:『音あそびするものよっといで』のアイディアを使って

 『Sound Fun』は、イギリスの作曲家トレヴァー・ウィシャートの19751977年の著書です。日本では坪能由紀子・若尾裕によって1987年に翻訳『音あそびするものよっといで(1)(2)』として出版され(2012年に再出版されました),学校現場や音楽づくりのワークショップなどで取り入れられてきました。今回は,『音あそびするものよっといで』のアイディアの中から「手拍子まわし」「穴うめゲーム」「くっつけっこ」をお箏(平調子)を使って挑戦してみました。お箏でやってみたことで新たなアイディアが生まれたり,お箏でやるからこその面白い音や音楽も出てきました。

 

1.「手拍子まわし」

 「手拍子まわし」は一人が1つの手拍子を順番にまわしていく音楽ゲームです。手拍子では,音をまわすスピードや,音の大きさ,音色,音をまわす方向,音を2つにするなど工夫して楽しむことができます。これをお箏でやってみました。

①一人1音をまわす→13弦の中から学生はなるべく人とかぶらない音を選んでいきました。しかし,13弦も使える音があるのに一人1音ではつまらない…ということで,音の数を増やし,自分の持ち音の間と自分の前の人と自分の間も工夫することにしました。音を複数にしたことで,単音だけでなく和音を使う学生も出てきて,一人ひとりの音が連なると素敵なメロディーになっていきました。

②音色の工夫(特集奏法)も入れ,さらにドローンを入れることにしました(ドローンは味府が担当)。

③一番音数の多いグリッサンドを順番にまわしてみました。ウェーブのように音が連なって,下から上へ,上から下へ,長いグリッサンド,短いグリッサンドなど色々な組み合わせを楽しむことができました。

Photo

2.「穴うめゲーム」

 「穴うめゲーム」は,リーダーのリズムの休みの拍に手拍子を入れる活動です。お箏を使うと音高が出てくるので,リーダー(味府)と学生で即興的に一つのメロディーができます。最初は,リーダーの休みの拍に音を1音だけ入れていた学生も徐々に1拍を複数の音やリズムを工夫して埋めるようになって,どんどん複雑な面白いメロディーができていきました。

Photo_2

 

 

3.「くっつけっこ」 

「穴うめゲーム」の発展として取り入れました。「穴うめ」では,1拍をそれぞれが工夫しましたが,「くっつけっこ」は,リーダーの前半のメロディーをうけてその続きを即興でつくってくっつける活動です。活動の節々に『さくら』のメロディーの断片が何度か出てきていたので,リーダー(味府)は「さくらさくら」を前半のメロディーとして,学生はその後にメロディーを足していきます。リーダーのメロディーと学生のメロディーがくっついて一つのメロディーになっていきますが,学生一人ひとりのメロディーが充実してくると,「さくらさくら」(のメロディー)を挟んだ一種のロンド形式のように展開してきました。

 

今回,取り組んでみたこれら3つの音楽ゲームを箏でやってみて,音高のある楽器での即興の可能性と即興的な音楽の広がりの二つがあったことに気づきました。それは,お箏が音高のある楽器でありながら,旋律を即興的につくる際に間違いが起こりにくいということ,使用できる13音に加え押し手や弾き色による半音,さらには特殊奏法を加えることができるために音楽的広がりをつくることです。そして,即興的な音楽をつくることができたのにはトレヴァーの音楽ゲームのルール(=音楽のつくり方)が大きなよりどころとなっていました。今後は,こうした音楽のルールをもっと学生と共有したり自分たちで見つけ出したりしながら,箏や他の邦楽器での即興的な音楽活動を展開していきたいと思います。

 

2013年5月28日 (火)

今回は図形楽譜をテーマに、図形楽譜読解からオリジナル楽譜の作成、演奏までをグループディスカッションに重点をおいて行いました。

授業担当:中香里 記

『オリジナル楽譜で音楽づくり』

実施日:2013年5月22日
対象:大学生13名
使用楽器:箏、三味線、笛、鼓、打楽器など
目的:図形から音を連想し演奏に繋げる。音の解釈の幅を広げる。グループ実習での交流をさらに深める。

1、アイスブレイク
①黒板に曲線を書いて声で表現する。②二分割して上下で同時進行してみる。
③それに好きな図を学生に入れてもらい声とボディ・打楽器を使って表現する。

2、図形楽譜を読む
①2グループに分かれ、既成の図形楽譜(2種類)をどう読解するかディスカッションする。そのあと声と体・打楽器で演奏してみる。
②図形楽譜を交換して読解法をグループごとにディスカッションし、好きな邦楽器を準備して声・打楽器とともに演奏。

3、オリジナル楽譜の作成・読解
①個人で好きな図形を書き、それをグループ内でつなげて一つの楽譜を作る。
②作成した楽譜をどのように楽器で表現するか話し合う。→奏法や調弦、音楽づくり要素も入れられるようアドバイスをしました

4、発表

グループ①


YouTube: オリジナル図形楽譜①

グループ②


YouTube: オリジナル図形楽譜②

グループ①は「美術の歴史」という壮大なテーマをつけて、まるでメロディーが楽譜に書いてあるかのように流暢な音楽を聴かせてくれました。邦楽器の様々な奏法を積極的に採り入れた点もすばらしかったです!本番ではやっていませんでしたが三味線の斬新な弾き方を学生さんが開拓していたので、ぜひ次回実践してほしいと思います!一方のグループ②は全員が順番に指揮者となって時間軸を担当し、箏の調弦も無調、打楽器や笛を駆使しての個性あふれる音楽でした。打楽器を箏爪で軽くたたく新たな方法も採り入れて、お互いの音を聴きながら音楽づくりしているところもよかったです。

今回はグループ実習に重きをおき、学生たちでの話し合いの時間を多くとったため、自発的に音楽づくりしようという意識がより高まったように思います。また、学生同士でお互いの良いところを音楽づくりでどんどん採り入れて活用していたのがすばらしいと思いました!好きな楽器を使っての音楽づくりだったので、鼓や笛なども積極的に採り入れて生き生きと音楽を楽しむ姿がうれしかったです。リーダーとして活躍する洋楽の学生さんも出てきて、とても頼もしく感じました。

上:グループ①図形楽譜、下:グループ②図形楽譜

Photo Photo_2

2013年5月16日 (木)

今回は箏曲の原点である組歌に焦点をあて、組歌に出てくる音型や古典奏法をモチーフに音楽づくりをしました。

授業担当:中香里 記

『組歌をモチーフに音楽づくり』

実施日:2013年5月15日
対象:大学生12名
使用楽器:箏(平調子)
目的:箏曲の原点である組歌に触れる、箏の古典奏法を習得する、古典奏法を音楽づくりに採り入れる

①箏準備・調絃

②基本・特殊奏法復習

③組歌楽譜解釈
☆楽譜資料:八橋検校《雲の上》六歌目
まず箏の楽譜をどのように読むか、自分なりに解釈しながらみんなで話し合い、そのあと正確な読み方を学習しました。

④組歌に出てくる古典奏法・音型の習得
カケ爪、ワリ爪、ワレン、ヒキレン、コーロリン、ヒキイロ、アトオシなど

⑤古典奏法・音型でパターン作り
パターンを重ねて、それにのせてソロまわしをしました。

⑥音楽づくり
1、テーマを決める
2、音階は何でもOK
3、終始を決める
4、組歌に出てくる古典奏法・音型を入れる

グループ①テーマ「春」


YouTube: 春の組歌

グループ②テーマ「夏」
⑦発表

古典奏法の習得ではみんな難しそうにしていましたが、音楽づくりではたくさん採り入れてくれて、お箏を弾いたという充実感が得られた様子でした。しかし組歌の最重要音型であるカケ爪は難しかったみたいなので、展開の例などもっと提示して音楽づくりにも採り入れやすくなるよう指導できればよかったという反省点もありました。
今回は古典の雰囲気満載だったテーマ「春」平調子チーム、現代邦楽チックなテーマ「夏」琉球音階チームと対象的な音楽ができ、声やプリントを小道具として使用するなど、みんなの成長がみられたうれしい授業でした。
次回は色々な楽器を使って音楽づくりをしていこうと思います。
2013年5月11日 (土)

今回は今年度初めての箏のワークショップということで、箏の準備から好きな調弦を選んで音楽づくりまで盛りだくさんの内容でした。

今年度は箏専攻の学生は皆無で、ほとんど箏は初心者の学生でしたが、みんな一生懸命取り組んでくれたおかげで、ここまで盛りだくさんの内容ができたと思います。

最後にはみんな楽しかったといってくれたので、とてもうれしかったです。

内容は以下です。

授業担当;吉原佐知子 記

『箏入門~調弦バイキング~』

実施日2013年5月8日

参加者:洗足学園音楽大学学生15名

使用楽器:箏15面(最初は平調子)

目的:①箏の準備、基本奏法、特殊奏法の習得

    ②箏によるパターンミュージックの基本を習得

    ③箏の調弦の特性を知る

内容

1、箏の準備

2、「さくら」を弾きながら基本奏法の習得

3.吉原による「さくら変奏曲」の実演を聴いた後、特殊奏法の習得

4パターンかさねの練習

5即興の練習

6独自の音探しをしたのち、対話の練習

 

7平調子、琉球音階、民謡音階から好きな調弦をえらんでもらい、音楽づくり

8、発表&感想

<琉球音階>




YouTube: 箏入門!調弦マジック!

<平調子>




YouTube: 箏入門!調弦マジック!

<民謡音階>

http://youtu.be/C4gElcqBFjU

〈授業後の感想〉

前回まで三味線や尺八でグループによる音楽づくりをしてきたので、どのグループもあまり戸惑いなく上手に話し合って、また聴きあって発表してくれて感心しました。

今回提示した調弦は、箏の初回だったので主に日本の五音音階のみでしたが、次回は世界の音階を提示してみようと思います。

ちなみに今回は琉球音階が1番人気で、平調子が一番不人気でした。

やはり明るい音階が好きなのですね。

次回からは、箏、三味線、尺八、どれを使っても大丈夫になりましたので、また新たな発見が期待できることでしょう!

乞うご期待!

以上。

2013年5月 2日 (木)

■テーマ:尺八による音楽づくり 〜音響から音楽へ〜
■担当:山口賢治 ■実施日:5月1日
■ワークショップの狙い
 ①尺八を実際に演奏し、尺八の楽器特性を知る。
 ②限られた音素材を用いて、音楽の材料となる音響をつくる。
 ③音響から音楽へのするための方法を考える。
今期は昨年からの継続受講学生が少ないので、音楽づくりについて基本的に立ち返って授業を行った。一般的に未経験者にとって尺八の場合、旋律を演奏するのための楽音をすぐに出すことは難しい。さらに音楽づくりに必要な音材料が箏や三味線ほど最初から比較的容易かつ豊富に用意できない問題や、吹奏するための体力の問題も有する。従って、今回は尺八を使って極めて限られた材料で音楽を作るためのはどうしたら良いかについて考える機会を提供した。また、この尺八を使った音楽づくりの方法論はリコーダーにも応用できると考えられる。
■実施プログラム
1、尺八を吹いてみる。
尺八の基本奏法の説明と練習を行った。音が出ない人にはアダプターを装着してもらい、自分が出せる音を各自で探してもらった。
2、尺八の楽器や音楽の特徴を知ってもらう。
尺八の特性についての説明と見本演奏を行った。廣瀬量平 作曲「鶴林」を抜粋で実演し、尺八の特徴としてポルタメント奏法と音色の変化や多彩さを知ってもらうことを意図した。
 
3、集団で音響を生成させる。
尺八の風息音などをベースに音を集団で重ねて一定の音響をつくった。耳を澄ませて聴くと、音響の中に様々な音色の生成消滅があることが聴き取ってもらうことを意図した。
音響から音楽へと移行する準備として尺八の風息、箏と三味線の軋みや擦れ音など非楽音を主体とした音楽作品も存在すること示すために細川俊夫 作曲「断章」1~尺八,箏,三絃のための〜の一部分をCDで鑑賞した。
4、音響から音楽へ
ここで、音響から音楽にするためにはどうすれば良いか、暫く皆に考えてもらった。手がかりとして作曲家、湯浅譲二 氏が著書や曲解説で述べている言葉『音楽とは音響エネルギーの推移であり、コスモロジーの反映である』を紹介し、この考え方の前半を借用し音響現象のパラーメータを具体的に決めて、そのパラメータを時間軸に対して変化させてることを試みた。学生からの意見でまず音量を推移させる提案が挙った。しかし個々の奏者が音量を制御することは今回は難しいので、一人ずつ音を重ね、音源数を増減させる方法を採用した。
 
次の音程を推移させることを提案があったので、トレモロを主体に音程を上行させてみた。リーダーを決めて、リーダーの音の動きに全員が同調することとした。
5、音楽づくりの様子と発表
2つのグループに分かれて、音響から音楽にすることを試みてもらった。具体的に時間軸に対して推移される要素と変化のさせ方を共有してもらうことを約束ごととして、あとは自由に5分でつくってもらった。

YouTube: 尺八をよる音楽づくり 〜音響から音楽へ〜4

5、授業を終えて
出席者全員が邦楽ワークショプを今年度はじめて受講する学生であり、開講して日が浅いので、当初は戸惑いの雰囲気があった。しかし、要所要所でリーダーを指名したところ、指名された者は的確に課題に沿って、音楽をつくりまとめることが出来た。当然ながら音楽づくりの手法をまだ多く有していないため、短い音楽の断片しかまだ作れなかったが、経験を積めば優秀なワークショップリーダーがこのクラスから何人も輩出されるであろう。
授業終了後に尺八に興味を持ってくれた学生が何人かが質問に訪れ、希望者には楽器を貸し出した。また今月末から行われる末長小学校の出張ワークショップにも早速、参加希望者がいるなど意欲や積極性があり、今後にとても期待が持てる。
2013年4月25日 (木)

三味線第2回目となる今回は特殊奏法と無拍・対話に着目して、三味線でどんな音が出せるかみんなで探求し、その音を使って音楽づくりをしました。
その様子をご報告させていただきます。

授業担当:中香里 記

『三味線でおしゃべり♪』

実施日:2013年4月24日
参加人数:大学生18名
使用楽器:三味線(本調子、DGD)
目的:三味線で独自の音を創造して音楽づくりに採り入れる、音楽づくり要素の拍と対話を理解し実践する

1、三味線準備、基本奏法の復習

2、特殊奏法の実践
スクイ・ハジキ・スリ・ウチ・アテハジキ・ウラハジキ・コスリ・ケシ・完消音・トレモロ・ソトオサエ・コキ爪
オトシ→邦楽の特徴的な無拍の音型として紹介

3、独自で奏法開発、発表

4、邦楽におけるパターン「地」の紹介
さらし地・砧地・虫の音など。
特殊奏法を採り入れながら展開していく例も提示。

5、対話の実践
例として玉木宏樹作曲『ジャワリ』の冒頭部分を中と三味線の学生で演奏。
前出の地にのせて無拍の対話を実践。

6、3グループで音楽づくり
独地(自)でおしゃべりしよう
約束①オリジナルの地を作る
約束②
特殊・独自の奏法を入れる
約束③無拍の部分を作る
約束④対話する
7、発表


YouTube: 三味線でおしゃべり①


YouTube: 三味線でおしゃべり②


YouTube: 三味線でおしゃべり③

独自奏法の開発では特殊奏法同士を組み合わせたり、絃の裏をコスってみたり、バチを絃に挟んで指でかき鳴らしてみたりと、今までにない斬新なおもしろアイデアがたくさん生まれました!

音楽づくりでは地も凝っていて、おもしろ奏法を採り入れながら楽しくおしゃべりをしてくれました。有拍部分の導入をもっとアドバイスすればよかったかなという反省点もありますが、素晴らしかったのはアイコンタクトでお互いをよく聴きながら対話していたところです。自分が弾くので必死になりがちですが、相手がどんなことをやっているのか、相手の音を聴きながら音楽づくりしようと前回から伝えていたのがアイコンタクトに現れて、その分どのグループも団結力が前回に比べ格段に上がっていました。

次回は山口先生による尺八の授業です!お楽しみに〜♪