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2013年10月 9日 (水)

2013年9月25日の授業の模様をご報告いたします。
今回はフルートコース2年のSさんによる、楽器と奏法に着目した授業でした。
Sさんは授業の組み立てにだいぶ悩み、なかなか授業案がまとまらずに前日まで変更を繰り返しましたが、邦楽器で季節の音楽を作りたいという核があったので、それに沿って沢山アドバイスをし、授業案をまとめることができました。授業中は短い準備期間の中でよく自分で消化して授業をこなしていました。学生さんたちも自分で調弦を考えるという今までなかった試みに楽しそうに楽器に触っていました。残念だったのは、せっかくよく進行しているのに声が小さくて聴き取りづらかったことです。大きい声で話すのは授業をする上でとても大事なことなので、最後に学生さんたちに伝えました。
以下、Sさんによる報告書です。

授業担当:中香里 記


タイトル『邦楽器を使って季節の音楽を作ろう』
対象:大学生
目的:箏、三味線を使って音楽作りの楽しさや季節感を感じてもらう。
使用楽器:三味線、箏

①アイスブレイク 10分
・声と手を出しながら右→チョップ、左→チャップ、返し→ワオ、指名→チップと回していくゲーム
・テンポをだんだん早くして行った。

②楽器準備 10分
・箏か三味線どちらかやりたいもの選んでもらう。(箏→3人、三味線→6人で実施。調弦はまだしない。)
・今の季節の秋、これからの季節の冬グループに分ける。

③秋のイメージ、冬のイメージをみんなで話し合い(音階、音、音の強弱なども含めて) 15分
・実施の際出たもの
秋→落ち葉、お月見、だんご、焼き芋、栗、鈴虫、餅つきの音、不安定な感じ
冬→雪、お正月、みかん、お鍋、クリスマス、羽子板、二上り
・これらのイメージをもとに各自で調弦を考えてもらい、発表

④上記のイメージを表現するにはどんな奏法、音ができるか独自の調弦を使って開発 10分
・個人で考えて発表。

⑤独自の奏法でパターン、ソロまわし 5分

⑥実在する秋、冬を表現する奏法 5分
担当:中先生
虫の音、コスリ、スリ、アテハジキ、当てヅメ、グリッサンド、ハーモニクス、ピチカートなど

⑦グループ実習 15分
・2グループ円になってもらい、先程考えたイメージ、奏法、調弦を使って秋、冬それぞれの音楽を作ってもらう。
約束
1、箏、三味線の既存の奏法か独自のおもしろい奏法を取り入れる。
2、始まり方と終わり方を決める

⑧発表 10分

グループ秋





YouTube: 季節の音楽づくり①

グループ冬





YouTube: 季節の音楽づくり②

秋→虫の声(鈴虫)から始まりお月見をイメージ、途中餅つきの音があり最後は虫の声で終了。
冬→箏の羽子板のやりとりから始まり三味線同士対話をしていた。箏の羽子板から三味線の羽子板に変わり終了。

⑨まとめ 5分
計90分

授業を受けた学生からの感想
・題材が今までやったことがないもので楽しめた。
・調弦を自分で考えてから音楽作りをすることがおもしろかった。
注意点
ホワイトボードに書いているときなど声が聞こえづらかった。
声をもっと大きく。

授業をやってみての感想
音楽作りの授業を1からやるのは初めてで緊張していました。
でも先生のサポートもあり、やりたい授業を実施できてよかったです。
また、授業中も受講している子たちが積極的に参加してくれたのでスムーズに手順をクリアできました。
今回の注意点も含め今後の大学生活や仕事をしてからも役立てたいです。

9月18日に行われた授業の模様をご報告いたします。
今回は音楽音響デザインコース4年のOくんとピアノコース4年のTさんによる、リズムに着目した授業でした。
2人は普段の授業から積極的にリーダーシップをとってくれたり、率先して音楽を創造したりと才能あふれる学生さんたちです。先生役となった今回の授業でも、持ち前の明るさと息の合ったコンビプレーでとてもいい授業になりました。それは事前にしっかり準備・打ち合わせを行ったことと、何が起こってもめげずに前向きに学生さんたちを引っ張っていったからだと思います。そのリーダーの素質を大切に、これからも授業をがんばっていってもらいたいです。
以下、OくんとTさんによる報告書です。

授業担当:中香里 記


タイトル『リズム遊びで音楽に馴れよう』
対象:大学生
目的:邦楽器を使い、リズムを通して音楽に馴染む
使用楽器:箏、打楽器

授業内容
①アイスブレイク(10分)   
・円になってもらい、4拍リズムを提示、それを模倣する、を数回
・各生徒と一対一でコール&レスポンス(全員やる)×2 、ボディパーカッションを含める
・円上の隣の人と無拍でのコール&レスポンス×2 、ボディパーカッションを含める

②楽器準備(10分)
・箏の調弦はD,F,G,A,C(音を一つに絞ってリズム遊びをするコンセプトだったので、同時に全ての音が鳴っても不協和にならない音列を使用した。)  
・打楽器か箏かを選んでもらい、二種類を混ぜる様にグループ分けが出来る人数配分にする (箏4人とその他打楽器に分けた )

③楽器を使用してのリズム遊び(20分)
・箏担当の人には任意の音を一つ選んでもらう。
・担当の楽器の音からイメージするものを発表(難しすぎた)     
・イメージを生かしつつ上記のアイスブレイクと同じ順でリズム遊び(打楽器でのパターンにのせながら)
・4小節毎のアドリブ回し
・楽器を使う事によって起こったイメージの変化、リズムの変化の感想を聞く。

④グループ実習(15分)
・打楽器と箏が混ざるようにグループ分け    
約束事
1、各班ごとにテーマを決める     
2、有拍と無拍の部分を作る 
3、曲の始まりと終わりを決める

⑤発表(15分)

グループ1





YouTube: リズム遊びで音楽に馴れよう①


グループ2





YouTube: リズム遊びで音楽に馴れよう②

一つ目のグループは「台風からの秋到来」がテーマ、二つ目のグループは 「病院」をテーマに演奏した。どちらのグループも特殊奏法などを駆使してうまく演奏出来ていた。

⑥まとめ(5分)  


授業の感想  
・応用の効く台本を作成でき、大きな問題もなく進行出来てよかった   
・参加者の人たちの反応が少し薄くて不安になったが、話し合いの段階では積極的に参加してくれたのでよかった     
・時間が足りないかと思っていたが実際には想定よりも大幅に早く終わってしまった。時間配分の感覚が難しいと感じた     
・総合的によくできたと思う。

2013年7月18日 (木)

◆テーマ
パターンミュージックの応用 〜各奏者の周期や時間進行の異なる音楽づくり〜
◆実施日:7月17日
◆担当:山口賢治
◆ねらい
音楽創作の基本的手法であるパターンミュージックの手法を発展させて、周期の異なる音楽、音楽的時間軸が複数存在する音楽創作を実践し、その応用を試みた。このワークショップを通じて、音楽的時間の概念を広げ、新たな音空間を創造する参考事例を提供するこを目的とした。

◆実施スケジュール
7月3日の味府先生担当の授業の中の一部を復習した。
スティーブライヒ「クラッピングミュージック」構造モデル図
 Aパート…12345678 │ 12345678 │ 12345・・・
 Bパート…23456781 │ 23456781 │ 23456・・・
 Cパート…34567812 │ 34567812 │ 34567・・・
 Dパート…45678123 │ 45678123 │ 45678・・・
スタート地点をずらして一定のパターンを演奏する構造の説明をした。

次に周期の異なるパターンの同時演奏を試みた。
試行1: 3拍子、4拍子、5拍子でそれぞれ拍子の頭を手拍子で叩いた。





YouTube: 2,3,5 拍子同時リズム演奏

試行2:言葉(花の名前)を当てはめ、下記の通り、4小節単位で f→pでディミヌエンドして繰り返しのパターンを演奏した。(○は休符)
 Aグループ 3拍子の繰返しパターン 
  │キ ク ○│ キ ク ○│ キ ク ○│○ ○ ○│
 Bグループ 4拍子の繰返しパターン 
  │サ ク ラ ○│ サ ク ラ ○│ サ ク ラ ○│○ ○ ○ ○│
 Cグループ 5拍子の繰返しパターン 
  │ヒ マ ワ リ ○│ ヒ マ ワ リ ○│ ヒ マ ワ リ ○│○ ○ ○ ○ ○│
異なる周期の組合せにより自動的に生じる音楽のずれの効果を体験してもらった。





YouTube: 2,3,4拍子 花の名前で同時演奏

打楽器を使用しての2拍子、3拍子の同時演奏。





YouTube: 2,3拍子同時演奏 打楽器試作

作品例として、 松尾祐孝「新譜音悦多」素適譜Ⅲ(現代邦楽研究所委嘱作品 邦楽器合奏)を鑑賞した。 各パートの周期がそれぞれ複雑に異なり、音の編み目模様を紡ぎだしているが、基本的な構造は上記と同じ。

続いて独立した時間軸を持つ音楽づくりに挑戦した。
同じ音形を演奏速度を変えて同時演奏した作品としてスティーブライヒ 「ピアノ・フェイズ」を紹介した。音楽の時間軸を共有していない典型的な作品例である。
分かりやすいモデルを示すために2台のメトロノームを用意し、メトロノーム1の速度♩=100、メトロノーム2の速度♩=104で同時に鳴らし、その原理と効果を理解してもらった。





YouTube: メトロノーム(♩=100&♩=104)同時


これらの事例を元にふたつのグループに分かれて創作、発表を行った。
Aグループは同じスマホのメトロノームアプリを使い、♩=80と♩=90で各人が入力したリズムの刻みを同時に鳴らした。
また、Bグループはスマホのメトロノームアプリと電気メトロノームを組合せ、各人がそれぞれに異なるテンポやクリック音の音色を設定した上で、リーダーの指示で各自がON,OFF操作を行い、音響の変化と立体感をつくる工夫があった。

Bグループは結果的に一柳慧の1960年の作品「電気メトロノームのための音楽」のような音楽になり非常に興味が持てた。この作品の初演当時、電気メトロノームは登場したばかりで、高価な先端機器として、テクノロジーの象徴として受けとめられていたと思われる。しかし、今はスマホの数あるアプリの中のひとつにすぎず、気軽に誰でも使うことができることを考えると、この作品の持つ意味が初演時と今では変わってしまっており、時代の変化を感じさせれた。

◆まとめ
我々はアンサンブル合奏の際、音楽的時間進行は共有することを前提としている。しかし、今回は個々に独立した時間軸にそって音楽を演奏することを試みた。世界を見渡せば、我々が普段接している音楽について常識として認識ししている音楽的時間の概念と異なる世界も存在する。以前、現代邦楽研究所の授業で講義して元国立劇場演出室長の木戸敏郎 先生から次の言葉を聞いた記憶がある。
『100名の奏者の一斉に1小節演奏することと、1名の奏者が100小節演奏することを等価と認識する文化がある。』『音楽時間の概念には”計測時間”と”計量時間”があり、両者の時間概念は異なる。」
様々な文化圏の音楽を聴く時に、音楽的時間の概念にも意識や興味を向けて欲しいとの思いから、その切っ掛けとして、音楽的時間の概念を揺さぶるためのワークショッププログラムを実施した。これを契機に日本の伝統音楽における”間”などの音楽的時間の意識や概念について改めて考えることを期待している。
今回は授業内容から考えて、かなりの戸惑いが学生から出てくると予想していた。しかし実際には柔軟に課題に対して取り組んでもらえ、学生の対応力の高さを実感した。

2013年5月28日 (火)

今回は図形楽譜をテーマに、図形楽譜読解からオリジナル楽譜の作成、演奏までをグループディスカッションに重点をおいて行いました。

授業担当:中香里 記

『オリジナル楽譜で音楽づくり』

実施日:2013年5月22日
対象:大学生13名
使用楽器:箏、三味線、笛、鼓、打楽器など
目的:図形から音を連想し演奏に繋げる。音の解釈の幅を広げる。グループ実習での交流をさらに深める。

1、アイスブレイク
①黒板に曲線を書いて声で表現する。②二分割して上下で同時進行してみる。
③それに好きな図を学生に入れてもらい声とボディ・打楽器を使って表現する。

2、図形楽譜を読む
①2グループに分かれ、既成の図形楽譜(2種類)をどう読解するかディスカッションする。そのあと声と体・打楽器で演奏してみる。
②図形楽譜を交換して読解法をグループごとにディスカッションし、好きな邦楽器を準備して声・打楽器とともに演奏。

3、オリジナル楽譜の作成・読解
①個人で好きな図形を書き、それをグループ内でつなげて一つの楽譜を作る。
②作成した楽譜をどのように楽器で表現するか話し合う。→奏法や調弦、音楽づくり要素も入れられるようアドバイスをしました

4、発表

グループ①


YouTube: オリジナル図形楽譜①

グループ②


YouTube: オリジナル図形楽譜②

グループ①は「美術の歴史」という壮大なテーマをつけて、まるでメロディーが楽譜に書いてあるかのように流暢な音楽を聴かせてくれました。邦楽器の様々な奏法を積極的に採り入れた点もすばらしかったです!本番ではやっていませんでしたが三味線の斬新な弾き方を学生さんが開拓していたので、ぜひ次回実践してほしいと思います!一方のグループ②は全員が順番に指揮者となって時間軸を担当し、箏の調弦も無調、打楽器や笛を駆使しての個性あふれる音楽でした。打楽器を箏爪で軽くたたく新たな方法も採り入れて、お互いの音を聴きながら音楽づくりしているところもよかったです。

今回はグループ実習に重きをおき、学生たちでの話し合いの時間を多くとったため、自発的に音楽づくりしようという意識がより高まったように思います。また、学生同士でお互いの良いところを音楽づくりでどんどん採り入れて活用していたのがすばらしいと思いました!好きな楽器を使っての音楽づくりだったので、鼓や笛なども積極的に採り入れて生き生きと音楽を楽しむ姿がうれしかったです。リーダーとして活躍する洋楽の学生さんも出てきて、とても頼もしく感じました。

上:グループ①図形楽譜、下:グループ②図形楽譜

Photo Photo_2

2013年5月16日 (木)

今回は箏曲の原点である組歌に焦点をあて、組歌に出てくる音型や古典奏法をモチーフに音楽づくりをしました。

授業担当:中香里 記

『組歌をモチーフに音楽づくり』

実施日:2013年5月15日
対象:大学生12名
使用楽器:箏(平調子)
目的:箏曲の原点である組歌に触れる、箏の古典奏法を習得する、古典奏法を音楽づくりに採り入れる

①箏準備・調絃

②基本・特殊奏法復習

③組歌楽譜解釈
☆楽譜資料:八橋検校《雲の上》六歌目
まず箏の楽譜をどのように読むか、自分なりに解釈しながらみんなで話し合い、そのあと正確な読み方を学習しました。

④組歌に出てくる古典奏法・音型の習得
カケ爪、ワリ爪、ワレン、ヒキレン、コーロリン、ヒキイロ、アトオシなど

⑤古典奏法・音型でパターン作り
パターンを重ねて、それにのせてソロまわしをしました。

⑥音楽づくり
1、テーマを決める
2、音階は何でもOK
3、終始を決める
4、組歌に出てくる古典奏法・音型を入れる

グループ①テーマ「春」


YouTube: 春の組歌

グループ②テーマ「夏」
⑦発表

古典奏法の習得ではみんな難しそうにしていましたが、音楽づくりではたくさん採り入れてくれて、お箏を弾いたという充実感が得られた様子でした。しかし組歌の最重要音型であるカケ爪は難しかったみたいなので、展開の例などもっと提示して音楽づくりにも採り入れやすくなるよう指導できればよかったという反省点もありました。
今回は古典の雰囲気満載だったテーマ「春」平調子チーム、現代邦楽チックなテーマ「夏」琉球音階チームと対象的な音楽ができ、声やプリントを小道具として使用するなど、みんなの成長がみられたうれしい授業でした。
次回は色々な楽器を使って音楽づくりをしていこうと思います。
2013年4月25日 (木)

三味線第2回目となる今回は特殊奏法と無拍・対話に着目して、三味線でどんな音が出せるかみんなで探求し、その音を使って音楽づくりをしました。
その様子をご報告させていただきます。

授業担当:中香里 記

『三味線でおしゃべり♪』

実施日:2013年4月24日
参加人数:大学生18名
使用楽器:三味線(本調子、DGD)
目的:三味線で独自の音を創造して音楽づくりに採り入れる、音楽づくり要素の拍と対話を理解し実践する

1、三味線準備、基本奏法の復習

2、特殊奏法の実践
スクイ・ハジキ・スリ・ウチ・アテハジキ・ウラハジキ・コスリ・ケシ・完消音・トレモロ・ソトオサエ・コキ爪
オトシ→邦楽の特徴的な無拍の音型として紹介

3、独自で奏法開発、発表

4、邦楽におけるパターン「地」の紹介
さらし地・砧地・虫の音など。
特殊奏法を採り入れながら展開していく例も提示。

5、対話の実践
例として玉木宏樹作曲『ジャワリ』の冒頭部分を中と三味線の学生で演奏。
前出の地にのせて無拍の対話を実践。

6、3グループで音楽づくり
独地(自)でおしゃべりしよう
約束①オリジナルの地を作る
約束②
特殊・独自の奏法を入れる
約束③無拍の部分を作る
約束④対話する
7、発表


YouTube: 三味線でおしゃべり①


YouTube: 三味線でおしゃべり②


YouTube: 三味線でおしゃべり③

独自奏法の開発では特殊奏法同士を組み合わせたり、絃の裏をコスってみたり、バチを絃に挟んで指でかき鳴らしてみたりと、今までにない斬新なおもしろアイデアがたくさん生まれました!

音楽づくりでは地も凝っていて、おもしろ奏法を採り入れながら楽しくおしゃべりをしてくれました。有拍部分の導入をもっとアドバイスすればよかったかなという反省点もありますが、素晴らしかったのはアイコンタクトでお互いをよく聴きながら対話していたところです。自分が弾くので必死になりがちですが、相手がどんなことをやっているのか、相手の音を聴きながら音楽づくりしようと前回から伝えていたのがアイコンタクトに現れて、その分どのグループも団結力が前回に比べ格段に上がっていました。

次回は山口先生による尺八の授業です!お楽しみに〜♪

2013年4月19日 (金)

今回から本格的にワークショップ授業が始まりました。
三味線を使った授業としても1回目ということで基本中の基本を学ぶべく、最近では機会のあまりなかった三味線での『さくら』をテーマに行いました。はたしてどのような授業になったのでしょうか。。。

授業担当:中香里 記


『音楽づくりスタート編~三味線で自分のさくらを咲かそう』

実施日:2013年4月17日
参加人数:大学生17名
使用楽器:三味線(三下り、HEA)
目的:三味線に親しむ、音楽づくりの基本要素を実践を通して理解する

1、アイスブレイク
①4拍と3拍でリズムまわし→反復
②4拍のリズム重ね→パターン

2、楽器準備・基本奏法

3、三味線で有拍リズムの反復・パターン探し

4、さくらの音型で拡大・縮小・逆行

5、さくらでパターンを作成
①さくらの冒頭4拍をモチーフにパターンを探して1人ずつ発表
②パターン組・メロディ組・合いの手でさくら合奏

6、2グループで音楽づくり
オリジナルのさくらを作ろう
約束①さくらが聞こえていること
約束②今日学んだ音楽づくり要素を入れること
約束③終始を決めること

7、発表


YouTube: さくら2013バージョン①


YouTube: さくら2013バージョン②

各グループとも今日学んだ要素だけでなく、来週行う予定の特殊奏法を入れてくれたり、合いの手に果敢にチャレンジする学生さんもいてステキなさくらが咲きました♪

三味線に初めて触る学生さんがほとんどでしたが(経験者は2人)、みんな楽器が弾きたくてウズウズしている様子で、基本奏法を教えただけでなかなか様になっていました。グループ実習では積極的に意見を出して早くもリーダーの片鱗を見せてくれた学生さんたちもいて、みんな楽しくも真剣に授業に取り組んでいました。
次回の三味線2回目では特殊奏法と無拍に着目して、三味線でどんな音が創り出せるのか探っていきたいと思います!

2012年12月30日 (日)

2012年12月19日に行われた今年度最後の授業の様子をご報告いたします。

今回はジャズ科4年生のTくんによる、拍子に着目した授業でした。
最後ということもあってTくん自身気合を入れて授業に臨み、Tくんの明るいキャラで最後の授業を楽しく締めくくってくれました。しかし、やりたいことや思っていることが自分の中だけでとどまって学生さんには説明不足でうまく伝えられず、学生さんも何をすればいいのか終始戸惑ってしまいました。そこで私がうまく誘導できればよかったのですが、授業前に充分な打ち合わせを行えなかったためにTくんの意図をよく理解できず、吉原先生の的確なアドバイスで音楽づくりまでたどりついたという授業でした。今回、事前準備と理解してもらえるようにわかりやすく話す難しさと大切さが身にしみてよくわかりました。Tくんとともに私も反省点の多い授業でしたが、今回の授業を来年度に生かしていければと思います。
一年間、どうもありがとうございました!

授業担当:中香里 記

以下、Tくんによる授業報告書です。

さくらの楽曲を元に拍子を変えた音楽づくり

☆対象:大学生6名
☆使用楽器:箏6面、打楽器
☆授業の目的:いつものような自由な拍での即興ではなく、拍子をはっきりとし、拍数をかえて発展させ音楽づくりを行う。
☆授業内容
①アイスブレイク
・グループごとにリズムの違うパートを重ねていき、全員入ったつぎの小節で同じリズムを叩くと言うもの。
②参考資料を聞く
・バレエサクラを参考にリズムパターンや拍数を考えて曲づくりに挑む
③箏の基本奏法の復習
④グループ実習
さくらを元にした音楽づくり
さくらのメロディをはじめは三拍、次を雰囲気を変えるため四拍にしテンポもアップする。
四拍時は打楽器を取り入れて雰囲気を変えました。
☆感想
当初とは全く違う目的になってしまい、曖昧な順序で困惑させてしまいました。
人数は少ないにしろ、1グループで音楽づくりができたことはよかったと思います。
最後の授業だったので本来は楽器をもっと使いたかったです。
今までの授業があまり拍子をはっきりとしてない即興だったので、それについてはできたのではと思います。
そこに今までのような拍のない即興をとりいれたらもっと面白くなったのではと言うのが反省点です。
2012年11月30日 (金)

2012年11月28日に行われた授業の様子です。
今回は担当予定だった学生さんがお休みだったため、急遽私が授業を行いました。

授業担当:中香里 記

テーマ:図形楽譜で音楽づくり~三味線ver.

対象:大学生

使用楽器:三味線6挺(本調子)

目的:三味線の基本奏法の見直しと同時に、三味線でどんな音が出せるのか、独自の音を見つける。また図形から様々に連想して音に結びつけることで、音の表現の可能性を模索・追求する。

①基本奏法の復習
三味線の構え方・弾き方の基本を見直し、基本奏法(スクイ・ハジキ・ウチ・コキ)を確認した。

②特殊奏法の復習と新たな奏法の紹介
今までに授業で採り上げて学んだ特殊奏法(コスリ・アテハジキ・ウラハジキ・コキ爪・スリアゲ・スリサゲ)を復習し、新たにソトオサエ・消音・完消音の特殊奏法を紹介し、練習した。

③特殊奏法が効果的に使われている作品の試聴
参考資料として杵屋正邦作曲《浮拍子》の動画を試聴し、奏法の使われ方を一例として確認した。

④独自の奏法を発見・発表
三味線でどんな音が出るか自分で開発し、発表してもらった。
☆三味線に慣れていない学生さんほどユニークな発想をして、みんなを驚かせていました。

⑤図形を声や体、三味線で表現
ホワイトボードに学生さんに好きな図形を書いてもらい、スタート地点と進行方向を決め、私が時間軸を担当してまずは声と体を使って全員で自由に表現してもらった。次に、この図形のこの部分は三味線ではどんな音で表現できるかをみんなに意見を出してもらい、それから三味線で図形を演奏した。
☆同じ図形でも人によって連想するものが違うため、お互いの意見や音を興味深そうに聴いていました。

⑥グループ実習
3人1組の2チームに分かれてチームごとに紙に好きな図形を書き、進行方向や表現方法などを話し合ってもらった。

⑦発表
まずは自分達で書いた図形楽譜を演奏した。
グループ1:図形A


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり①

グループ2:図形B


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり②

そのあとお互いのチームの図形楽譜を交換して演奏してもらった。
グループ1:図形B


YouTube: 図形楽譜で音楽づくり③

グループ2:図形A

この部分はどのような表現をしたか、図形から連想したものは何だったのかをみんなで発表し合い、授業終了。(80分)

両チームとも今まで学んできた奏法や独自で編み出した奏法を存分に生かした演奏をみせてくれました。同じ図形楽譜でも他のグループが演奏すると全く別物になり、表現は無限にあるんだということをみんな再認識したようでした。しかし、三味線でどんな音が出せるかを追求するあまりに発表では奏法に偏った演奏になってしまったので、ドローンや対話などの音楽づくりの要素も採り入れられるようにもっとアドバイスをすべきでしたし、音楽づくりというよりは音づくりの授業になってしまいました。ここからどのように音楽づくりへ結びつけていくかを今後の私の課題としようと思います。
ありがとうございました。
上:図形AA_3  下:図形B                               
B_3
2012年11月 5日 (月)

10月31日は現代邦楽コースで津軽三味線専攻3年生のIさんが担当しました。前期は「津軽じょんから節を弾いてみよう」をテーマにワークショップを実施してくれました。

https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/06/post-b027.html

今回はさらに自分の専門を活かして、 「阿波おどりの音楽に触れよう!」としてワークショップを行いました。

以下は Iさんの実施報告です。

◆テーマ

阿波おどりの音楽に触れよう!

◆目的

濃厚民族が多かった日本において、阿波おどりのような騎馬民族型のリズムは珍しいことである。今回はそのリズムに触れ、日本の珍しい文化を知ってもらう。また、太鼓の手や三味線の手にアドリブを入れてより身近に感じてもらう。

◆教具

三味線3丁(D一の三下がり)

カンカン(打楽器になるもの)

◆対象者

大学生以上

◆プログラム内容

1・阿波おどりの説明

  徳島県徳島市が本場。三大盆踊りと言われていること。かさや下駄を実際に見せながら説明。youtubeで若駒連、天水連の映像を鑑賞。


2・鳴り物の役割を知る

  太鼓の手を手拍子で叩いてみる。

  鉦の手を手拍子で叩いてみる。

  三味線の手を弾いてみる。

  役割を決めて合わせる。

  役割を替えてまた合わせる。


3・踊り方を知る

  基本の中腰、膝の動きを習得する。

  足を動かす。前かがみ体制で踊る。手の動きを習得する。(途中休憩を入れながら)

  掛け声を入れる。

   1かけ2かけ3かけて

   4かけたおどりはやめられぬ

   5かけ6かけ7(しち)かけて

   8っぱりおどりはやめられぬ

   ヤットサー  ヤットヤット

4・鳴り物組みと踊りを合わせる

  鳴り物にアドリブを入れる。

  例:(太鼓の手)どどんどどん→どどどどどどどど…など

  役割を替えて演奏。


5・踊りの動き方を知る

  一回転する、『くるっとぽん』、90度ずつ動く『ちょんちょんちょん』


以上のことを踏まえた上で全員で合わせる。

◆まとめ

今までのワークショップで体を動かすということはほとんどなかった。わたしが阿波おどりをやっているということもあり、今回この題材に設定したが、踊りのワークショップになってしまうのではと危惧された。最終的には音楽があって踊りが入るという形にまとめた。授業を終えてから「踊りがあって音楽のイメージが掴めた」と言う意見が出たので、結果的に踊りも取り入れて良かったと思う。今後の課題として、阿波おどりとは違った音楽、例えばジャズやクラシックなどでも阿波踊ることが出来るのかワークショップの中でできたらと思う。


YouTube: 邦楽ワークショップ「阿波踊り」

【担当教員からのコメント】

Iさんは高円寺の阿波踊りのグループに属しており、毎年開催される高円寺阿波踊り祭にも参加する程なので「阿波踊り」を題材にしたのことは良い着眼点でした。踊りが披露される祭りの現場や、踊りの種類、音楽と踊りの対応関係、装具やその身につけ方等について、経験者ならではの話が聞けたのはとても興味をひきました。

本人のまとめにもあるように、このワークショップ案について、計画段階では音楽づくりではなく踊りのワークショップになってしまう心配がありました。しかし、ジャンルによっては踊りや舞と密接に結びついた音楽もあるので、むしろ踊りの要素を除外する方が不自然な場合もあると思われます。なので、音楽とのかかわりに結びつけながら踊りについて触れるのであればテーマから外れることはないと判断しました。

今回は「阿波踊り」の音楽から入り、踊りも加えられたましたが、逆に踊りから入り音楽へ繋げる方法も考えられます。近年、中学校において武道と合わせてダンスを必修課題としている点や若い世代でダンス文化が浸透している現状を考慮すると、踊りを入口として日本の伝統音楽に触れる機会をつくる方法論として、Iさんのワークショッププログラムはひとつの手がかりになると評価できます。(担当:山口賢治)