2014年7月
六段調にチャレンジ
前期のまとめ
7月16日は前期の最後の授業ということで、これまでの邦楽ワークショップを振り返りつつ、後期に学生自らがワークショップ案を作成し、それを実践していくので、そのヒントとなるようなワークショップを実施しました。
吉原の論文「音楽づくりにみる箏の教材化の可能性についてー邦楽ワークショップ授業の分析を通してー」で記載されているワークショップ一覧の表を分析し、音楽づくりに必須の、題材、調弦、構成を振り返った後、それらを駆使して、夏らしい全音音階の調弦の上で、オリジナル奏法、特殊奏法を駆使しつつ、様々な構成にチャレンジしました。
作品は以下です。
曲名は「Summer 2014」です。
YouTube: 邦楽ワークショップ 2014.7.16 全音音階による音楽づくり
反省点としては、まず邦楽器だけでつくってから邦楽器以外の楽器を加えて作った方が、構成に着目した音楽づくりがしやすくて邦楽器での音楽づくりの特徴が実感できたと思いました。
いつもの音楽づくりでは学生に丸投げ状態が多い感があったので、今回は構成をしっかり考えて音楽づくりをさせたかったのですが、それが学生に浸透していないため、なかなか音楽が構築されず、学生たちはてこずっていました。このワークショップを実施して、音楽を構造的につくるという手法がよく理解されていないのがわかりました。もっと前期の最初の段階でパターンミュージックの手法などを手拍子などで実践するべきだと反省しました。後期の初めにもう一度手拍子から音楽づくりをしていこうと思いました。
また、後期は音楽づくりの段階でもう少し講師が音楽的な構造を考えてつくれるようにうまくアドバイスしていきたいと思います。
以上
授業担当 吉原佐知子
以上
箏でブルース
■実施日:7月2日 ■担当:山口賢治
■テーマ:箏でブルース
■概要 箏を使ってブルーススケールでジャズのアドリブ演奏の雰囲気を楽しむことを試みた。今回は履修2年目のクラリネット専攻(4年生)の学生が計画を立案しワークショップリーダーを務めた。ジャズ実習の授業で取り上げた教材を箏に適応することによってどんな音楽がつくり出せるかを試みることが狙いとのことだった。
■アドリブの構造
1)使用モード C E♭ F F♯ G B♭ C(箏の調弦に適応)
2)コード進行 C7 C7 C7 C7 F7 F7 C7 C7 G7 F7 C7 C7
(12小節)
3)バッキングとして十七絃で容易に C7 F7 G7のコードが演奏できるように
調弦を工夫した。 下記の写真のように四本づつの糸のグループに分け、
二〜五はC7、七〜十はF7、2〜5はG7のコードを割当て(わかりやすように
間を糸1本分空けて配置)、各割当部分の糸を弾けば自動的にコードが
奏でられるようにセッティングした。
■実施プログラム
・ブルーススケールとコード進行の基本説明
・リフの紹介とリフの練習演奏(ジャズらしい演奏にするコツの習得)
・12小節の循環コードに乗ってアドリブ演奏試演
・尺八、キーボード、リズムボックスも活用して演奏
■まとめ 過去にブルーススケールを用いた音楽づくりはあるが、今回はバッキング用に十七絃の調弦を工夫した点が画期的であった。通常の音高の順番に並んだ調弦にてコードを正確に演奏することはある程度の演奏訓練が必要であるが、上記のようにコード別にグルーピングにより誰でもコード演奏の担当ができる。 今回、リズムの刻みにより正確に合わせてアドリブができればさらに良い演奏になったと思われるが、経験が浅い奏者にとって困難な課題である。使用する糸を制限し(例えば2音や3音程度)、限られた音でリズム主体の音楽づくりの段階を設定し、使用音高数を徐々に広げていく手順を加える方法が考えられる。