10月31日は現代邦楽コースで津軽三味線専攻3年生のIさんが担当しました。前期は「津軽じょんから節を弾いてみよう」をテーマにワークショップを実施してくれました。
https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/06/post-b027.html
今回はさらに自分の専門を活かして、 「阿波おどりの音楽に触れよう!」としてワークショップを行いました。
以下は Iさんの実施報告です。
◆テーマ
阿波おどりの音楽に触れよう!
◆目的
濃厚民族が多かった日本において、阿波おどりのような騎馬民族型のリズムは珍しいことである。今回はそのリズムに触れ、日本の珍しい文化を知ってもらう。また、太鼓の手や三味線の手にアドリブを入れてより身近に感じてもらう。
◆教具
三味線3丁(D一の三下がり)
カンカン(打楽器になるもの)
◆対象者
大学生以上
◆プログラム内容
1・阿波おどりの説明
徳島県徳島市が本場。三大盆踊りと言われていること。かさや下駄を実際に見せながら説明。youtubeで若駒連、天水連の映像を鑑賞。
2・鳴り物の役割を知る
太鼓の手を手拍子で叩いてみる。
鉦の手を手拍子で叩いてみる。
三味線の手を弾いてみる。
役割を決めて合わせる。
役割を替えてまた合わせる。
3・踊り方を知る
基本の中腰、膝の動きを習得する。
足を動かす。前かがみ体制で踊る。手の動きを習得する。(途中休憩を入れながら)
掛け声を入れる。
1かけ2かけ3かけて
4かけたおどりはやめられぬ
5かけ6かけ7(しち)かけて
8っぱりおどりはやめられぬ
ヤットサー ヤットヤット
4・鳴り物組みと踊りを合わせる
鳴り物にアドリブを入れる。
例:(太鼓の手)どどんどどん→どどどどどどどど…など
役割を替えて演奏。
5・踊りの動き方を知る
一回転する、『くるっとぽん』、90度ずつ動く『ちょんちょんちょん』
以上のことを踏まえた上で全員で合わせる。
◆まとめ
今までのワークショップで体を動かすということはほとんどなかった。わたしが阿波おどりをやっているということもあり、今回この題材に設定したが、踊りのワークショップになってしまうのではと危惧された。最終的には音楽があって踊りが入るという形にまとめた。授業を終えてから「踊りがあって音楽のイメージが掴めた」と言う意見が出たので、結果的に踊りも取り入れて良かったと思う。今後の課題として、阿波おどりとは違った音楽、例えばジャズやクラシックなどでも阿波踊ることが出来るのかワークショップの中でできたらと思う。
【担当教員からのコメント】
Iさんは高円寺の阿波踊りのグループに属しており、毎年開催される高円寺阿波踊り祭にも参加する程なので「阿波踊り」を題材にしたのことは良い着眼点でした。踊りが披露される祭りの現場や、踊りの種類、音楽と踊りの対応関係、装具やその身につけ方等について、経験者ならではの話が聞けたのはとても興味をひきました。
本人のまとめにもあるように、このワークショップ案について、計画段階では音楽づくりではなく踊りのワークショップになってしまう心配がありました。しかし、ジャンルによっては踊りや舞と密接に結びついた音楽もあるので、むしろ踊りの要素を除外する方が不自然な場合もあると思われます。なので、音楽とのかかわりに結びつけながら踊りについて触れるのであればテーマから外れることはないと判断しました。
今回は「阿波踊り」の音楽から入り、踊りも加えられたましたが、逆に踊りから入り音楽へ繋げる方法も考えられます。近年、中学校において武道と合わせてダンスを必修課題としている点や若い世代でダンス文化が浸透している現状を考慮すると、踊りを入口として日本の伝統音楽に触れる機会をつくる方法論として、Iさんのワークショッププログラムはひとつの手がかりになると評価できます。(担当:山口賢治)
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