2012年10月

2012年10月19日 (金)

2012年10月3日は現代邦楽専攻のOさんのワークショップでした。

今年度に入って、Oさんと組むのは2回目でしたが、今回のワークショップでは楽器の数が参加者より少ないという制約がありました。箏の代わりになる楽器を入れる、手づくり楽器をつくって用いる、柱の左側(音程が定まらない部分)も使って現代的な音楽をつくるなどのアイディアが出ましたが、Oさんと打ち合わせを重ねるうちに、これらのアイディアは今回はできないよねということになりました。その理由を簡単にまとめてみると、

・箏の代わりになる楽器を入れること→楽器選び(箏以外の楽器)の理由が必要で、今回はその理由がうまく見つかりませんでした。

・手づくり楽器をつくる→箏よりもいい音のする楽器(箏と同じくらい音の出る楽器)をつくることができるか、また、楽器の数が少ないからその分を手づくり楽器にするという理由だけで手づくり楽器と箏を組み合わせることに意味があるかという疑問が出てきたために今回はやめました。

・柱の左側も使って現代的な音楽にする→現代音楽との関わりが本当にあるのかという疑問にぶつかり、また同じようなアイディアの納得いく音楽作品が見つからず今回はやめました。

その結果、他の楽器などは入れず箏だけで複数人(3人以上)が一緒に使って面白いアイディアをもう一度考えようということになり、出てきたアイディアは「1面の箏を4人で使ってさくら」のワークショップです。ワークショップでは、参加したみんなが「面白い!」と声をあげる音楽づくりになりました。

Oさんの報告書で、ワークショップのながれなどご覧ください。

授業担当:味府美香

◆テーマ

みんなで協力して“さくら”の音楽つくり

 ◆目的

 箏の数が少なくても、みんなで楽器に触れることができ、音楽づくりもできる。

 ◆使用楽器と人数

 箏2面用意 、8人(1面を4人で使う

 ◆調弦

平調子をもとに調弦。

Photo

 

Photo_3

◆授業の流れ

1.1面の箏に4人つく

 2.調弦に慣れてもらう

 ・一人の担当する弦は6本か7本。そのうちしっかりと調弦(チューニング)されている弦(2本~4本)がある。しっかりとした調弦の場所は4人それぞれで異なるが、4人に必ず共通してG音とA音が入っている。

 3.ドローン、パターン、メロディーに分かれ、しっかりと調弦されている音のみを使用して4人で音楽づくり

 4.発表①




YouTube: 4人で一面の箏を使う音楽作り1(導入)

5.しっかりと調弦されていない弦も使用し、音楽づくり

6.発表②

 7.4人で協力して“さくらさくら”を演奏する

 ・調弦に慣れてきたら皆で協力してさくらさくらを最後まで演奏する(メロディーを分けて演奏する)

 ・リーダー(O)のパターンにのせて“さくらさくら”を演奏

 8.“さくらさくら”を使って音楽づくり

 《ルール》

 ・皆で協力して弾いた“さくらさくら”のメロディーを生かしつつ、音楽に厚みをつける

 ・調弦されていない弦を使ってもよい

・始め方と終わり方決める

 ・最後のワンフレーズの前にグループの個性をだす(メロディー以外を工夫する)

 ・歌ってもよい

9.発表③




YouTube: 4人で一面の箏を使う音楽作り3(分担してさくらフレーズ)

◆感想、反省

三味線を専攻しているので、箏を使用した音楽つくりは少し難しかったが、皆が考えながらも楽しそうに音楽づくりをしてくれたので嬉しかった。

最初、調弦を理解してもらうのに少し時間がかかってしまったので、伝え方の工夫を今後の課題にしたい。

2012年10月 3日 (水)

2012年9月26日フルート専攻のKさんが「春の海」を題材にワークショップを行いました。以下にKさんからの報告を記載します。

【Kさんからの報告】

◇授業の目的・目標

邦楽しかなかった日本の時代では考えられない楽器のセッション(東×西)を、「春の海」の一部を使って楽しみ、音楽づくりを行う。

 

◇実施対象

大学生以上

 

◇使用楽器

筝、三味線、尺八、フルート、サックス

 

◇授業の流れ

 

①youTube でさまざまな楽器や、アレンジの「春の海」を鑑賞し、音楽づくりの材料を見つける。

・バイオリンと筝 春の海

・春の海 幻想

・Jazzアレンジ  春の海

・サックス4重奏と尺八 春の海

 

②Kと吉原佐知子先生で、「春の海」フルート、筝のバージョンを実演。

 

③アイスブレークとして、「春の海」の冒頭10小節を抜粋し、音楽づくりに生かせるように各自の楽器で演奏できるようにする。

(事前に楽譜を配布。)

・フルート、サックス、三味線、尺八は旋律。筝は伴奏を練習。

 

1 春の海の伴奏をドローンとし、アイスブレークで習得した旋律を生かして、一人ずつアドリブを回していく。

 

2 1のドローンを、ジャズのリズムに変え、旋律もジャズにアレンジしてアドリブを回していく。


YouTube: 「春の海」による音楽づくり1

 

3 A(サックス1、三味線1、筝2)B(サックス、フルート、三味線、筝)の2グループに分けて、音楽づくりを行う。

 

  音楽づくりのポイント!

  グループの中で、旋律、伴奏、アレンジ(飾り)に分担をわけてもらい音楽づくりをする。

 

 ◎1、2でやったようにアドリブをまわしたり、ジャズのリズムに変えたり、特殊奏法を使ったり、班の中で話し合いを行ってもらった。

 

⑤各グループの発表会。


YouTube: 邦楽ワークショップ 春の海(jazz風)


YouTube: 邦楽ワークショップ 春の海(jazz風)

 

◇邦楽ワークショップを実施した感想

今回のワークショップでは、「東と西の音楽の融合」に着眼点を置き、発展させたものを内容にしました。邦楽曲を、洋楽器で。はたまた、洋楽曲を、和楽器で。

邦楽器しかなかった時代に生まれたら味わえない程の、音楽や楽器がある今だからこそできる音楽体験をし、音楽づくりを行いたいと思ったからです。

今回は「春の海」を使用して行いましたが、ほかの有名な日本の曲でも応用して行える内容だと思います。

実際に授業をするときは、前々回、前回とJazz科の方が行っていたので、Jazzの要素も入れました。今回の授業のメンバーだからこそ、即興的なアドリブやジャズアレンジで果敢に挑戦できたと思います。

ほかの場面で実施するときに、誰もができるように、ジャズのアレンジの仕方のレクチャーの時間もいれるとさらに取り組みやすい課題になると思い、反省点となりました。

音楽づくりでは、AグループとBグループで、対極の音楽ができ、どちらもとても素敵でした。

前期では、グループ活動に入ると邦楽科の方が中心で行うことが多かったのですが、後期に入ってからは、邦楽科以外の人も積極的に自分の技術を生かして参加してる様子がみられ、一年を通して行う授業だからこその成長があり、とても嬉しいです。

先生方のフォローや、生徒のみなさんの音楽性に支えられ、無事授業を終えることができてよかったです。ありがとうございました。


【担当講師からのコメント】

「春の海」を題材としたワークショップは過去に何度か行われましたが、今回は「春の海」のオリジナル形式(箏、尺八)以外の様々なアレンジを活用することに着眼した部分が注目点でした。


評価出来た点として

①ヴァイオリンと箏、箏合奏群、ジャズアレンジ、サックスカルテットなど様々な様々な参考音源資料を集め、音楽づくりに役立たせた。

②吉原先生(箏)の協力を得て、自らフルートで「春の海」の見本演奏を行った。

③「春の海」の旋律から参加者各自が技量に応じて、即興演奏を導き出すことに成功した。

④箏、「春の海」という日本の伝統音楽要素や題材に、サックスやフルートによる邦楽器以外の楽器が加わるためのプログラムを提供することができた。

ジャズコースの学生が2名(サックス)おり、グループ別の分かれる際に、それぞれのグループにひとりづつ配置できたので、その後の音楽づくりが円滑に進みました。ジャズコースの学生の能力を上手く引き出せた点で良い結果が得られたと思います。実施対象者てして大学生以上を想定しているので、参加者それぞれの専門能力をどう組み合わせて活かすかが重要になりますが、その点では成功したと思います。ただ、本人の反省にもある通り「春の海」をジャズ的に扱うに際して、ジャズ足らしめる具体的な音楽的要素(スイング、テンションなど)の説明や演奏上の工夫についての言及がまったく無かったので、雰囲気や感覚のみに頼る結果になってしまいました。限られた時間の中でも、その点について分かりすく簡単に触れることができれば、さらに充実したプログラムになったでしょう。

今回は冒頭分のモチーフを活用しましたが、中間部の掛合の箇所など、別の部分から要素を抽出することもできるので、音楽づくりの題材として「春の海」は様々な応用の可能性があることを実感しました。

担当:山口賢治

2012年10月 1日 (月)

9月19日はジャズ科4年のOさんによる、コブラのワークショップでした。

今回で3回目となるコブラでしたが、Oさん一人でリーダーをするのは初めてでしたが、とても落ち着いたリーダーぶりでした。

最初のアイスブレイクでマジカルバナナをして頭を柔らかくしたり、実際のコブラの映像をみんなに見せたり、小道具のバンダナを買ってきたり、いろいろ工夫や努力がみられました。

全体の音楽を聴いて自分たちで音楽を作っていくコブラはいつもの音楽づくりと共通するところがたくさんあり、とても意義深いワークショップでした。

それぞれの専門の楽器に移って音出しをした瞬間はとてもシビレました。

以下、Oさんによる報告書です。

授業担当 吉原佐知子 記


★実施日2012.9.19日
★実施対象大学生
★授業目的、自由に表現して音楽を楽しむこと。
★使用楽器、琴・三味線・尺八・自分の専攻している洋楽器
★授業の流れ
アイスブレイク15分
マジカルバナナゲーム
頭を柔軟にして次々に変わるお題を連想してリズムに乗りながら答えていくゲームなので音楽にも繋がるところがあると思い選びました。

コブラ
コブラについて、、
アメリカNY出身のサックスプレイヤーのジョンゾーン発明のカードを使った音楽ゲーム。
演奏者が自分達で音楽のストーリーを決めながら演奏していくという音楽です
またカードの詳細、ハンドサインについてはジョンゾーンにより厳しく守秘義務がある。

コブラの実践

先週までのルールの復習の後、新しいルールを加えて実践

まずは全員、邦楽器で実践




YouTube: 洗足学園音楽大学 邦楽ワークショップ コブラ3

次にそれぞれの楽器に移ってコブラの実践




YouTube: 邦楽ワークショップ コブラ3 様々な楽器による

★感想
ワークショップを終えてみて三回目のコブラゲームだったのでみなさん慣れていて積極的にカードコールをしてくれました。
>新たにカードを増やしゲリラというコブラの中でもリーダーになれるものまでチャレンジしてもらい、更にコブラの楽しさをわかってもらえたと思います。
>実際にプランプターになってみてアイディアがたくさんあって、あっと驚くようなカードコールをしてくれてすごく勉強になりました。
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