10月22日(水)は音楽音響デザインコースのUさんによるワークショップでした。
以下Uさんの実施報告です。
■テーマ
和太鼓でサンバ
■実施日
2014年10月22日(水)
■対象
大学生4名
■準備
和太鼓専攻2名、和太鼓、立ち太鼓、アゴゴベル、ボンゴ、摺鉦 、その他打 楽器、PC
■概要と目的
和太鼓を通じて海外のリズムを取り入れる 和太鼓という邦楽器にふれ、和太鼓専攻のゲストの学生から基本の叩き方を教わ り、和太鼓の基礎知識を学んだ上で『祭』という共通点からブラジルのサンバのリズムを取り入れ、リズム楽器を主体に即興し一曲をつくりあげる。
■授業内容
1、楽器準備 (10分) ゲストの学生を迎え、和太鼓と立ち太鼓をセッティングした。
2、まずは、ゲストの学生(二人)に短く和太鼓の演奏を披露してもらった(5分) 。
3、受講者の学生に一人一人和楽器奏者の指導のもと実際に和太鼓に触れ、を叩いてもらった(10分) 。
4、和太鼓の紀元を歴史を辿って手短に説明した後、和太鼓と今回題材にするサンバ について、なぜブラジルのサンバを持ってきたのか両者の歴史を紐解いて、共通点 『祭』について説明した(10分) 。
5、サンバのリズムについて、持参したPCの作曲ソフトと配布したレジュメを使い、 ひとつひとつのパーカッションの音を聞き確認するとともに、実際に手拍子で受講 者に叩いてもらい、手拍子で叩けるようになったら用意したパーカッションで叩いてもらった(20分)。
6、ゲストの方も含め全員で和太鼓をつかったサンバの音楽作りを全体の進行だけ軽く指示し、皆に進めてもらった。(10分)
7、一回目発表(5分)
8、一回目の反省を生かし、メロディ楽器の専攻楽器や琴などを増やし、和太鼓をベ ースとした音楽づくりをした(10分) 。
9、二回目発表、感想、まとめなど(10分)
■まとめ
私自身和太鼓に初めて触れ、授業を行うため勉強したことで知らなかった事がたくさんしれました。 そもそもサンバのリズムを取り入れたのは最近私がラテン音楽を好んでいた事が要 因で、なんとかしてサンバのリズムを取り入れられないかと調べていくうちに、日本とブラジル、国は真反対といえるほど離れていますが、神を信仰してお祭りを行 うという共通点と、そこで神々に捧げる音楽において打楽器を使うという共通点が あり、思い切って和太鼓でサンバを叩いてもらい、面白かったです。 そもそも今多くの音大生が学んでいる音楽は西洋のもので、西洋の楽器が流通して いなかった頃は邦楽器などで西洋のメロディやリズムを演奏してた頃もあったので はないかなと思いました。 そう考えると今回の試みは、原点にかえって異文化を取り込むという形になったの かもしれないと思いました。 わざわざきてくだっさったゲストのお二人と受講者の皆さんありがとうございまし た。
■担当講師からのコメント
当初の予定では、教室内に一時保管してある和太鼓を使うこと前提としていたが、事情により学生による使用ができなかった。従ってサンバを題材に和太鼓を体験し、親しむことを狙いとしていたが、実施プログラムの修正を余儀なくされた。しかし、和太鼓の使用に制限があったとはいえ、ゲストの和太鼓奏者のアドバイスの元に和太鼓に触れる機会を交代で設けることは可能だったので、後半の音楽づくりについては工夫の余地を感じた。
評価できる点としては、
①ゲストで和太鼓奏者を招き、短時間とはいえ実際の演奏や演奏法を学べたこと。
②サンバの音楽的特徴をDTM音源を使って分かりやすく説明したこと。
③和太鼓とサンバの異なるジャンルを結びつけたプログラム。
が挙げられる。
学校や公民館などの施設には備品として和太鼓があるところがあり、その活用法として和太鼓を用いた音楽づくりのプログラムが有効であると思われる。また、近年は、住民の何割かが日本人でなく移民系の人達が占める地域が増えてきている。今後もこの傾向は強まるので、異なる民族や文化の同居や橋渡しが大きなテーマになるであろう。例えば南米系の住民が多い地域で、日本の和太鼓に親しんでもらうための切っ掛けづくりとして今回のワークショップ案は応用できるかもしれない。異なる文化の橋渡しや融合を念頭においたワークショップ研究は今後、重要なテーマのひとつである思われる。【担当:山口賢治】
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