10月15日は音楽音響デザインコースのNさんによる「邦楽器でフラメンコの音楽を作ってみよう」というワークショップでした。
邦楽ワークショップ初のフラメンコを題材にしたワークショップでしたが、よく題材研究もされていてスムーズな授業展開となっていました。
やはり音階がはっきりしているので、音楽づくりもしやすかったのだと思いました。
授業内容は以下です。
授業担当:吉原佐知子 記
【邦楽器でフラメンコの音楽を作ってみよう!】
ワークショップリーダー:音楽音響デザイン学生
実施日:10月15日 対象:大学生
使用楽器:箏(十三弦と低音箏)、フラメンコカスタネット、手拍子
概要と目的:間を大事にする、どちらかというと決まったビート感のない日本の音楽と 踊りの伴奏音楽であり拍子感がはっきりとしたラテン音楽のフラメンコは、多くの面で正反対な音楽。この対象的な2つの音楽を組み合せ、自分なりのフラメンコを完成させる。
それぞれの音楽の特徴を理解し、民族音楽に対する興味関心を深めてもらいたい。
ワークショップ内容:
① 導入~フラメンコについて~。フラメンコの成立についておおまかな説明。(地図の画像を用いて)、PC を用いて映像資料を見せる。(本場スペインでの実際のフラメンコの様子、フラメンコギターの演奏映像など)フラメンコ音楽で用いられる用語についても触れる。5分
② アイスブレイク~パルマ(手拍子)、ピトース(指ならし)、を用いてフラメンコのリズムを体験。(初めにパルマの映像資料を提示。その後6/8、2パートに分かれた短い課題を用意し、各自練習した後に2つに分かれて全体でやってみる。)10 分
③ 全体でリズム、楽器練習:箏を用いてトケ(フラメンコギターの伴奏)を再現する練習。 ボディを叩く奏法など、各自で工夫を考えてもらう。全体で箏のみのフラメンコ音楽をやってみる(6/8伴奏の上でソロをまわす)5分
④ グループワーク:2グループに分かれ、音楽作り。20 分 この際調弦は、AB♭C(♯)DEFG(♯)AB♭C(♯)DEA
(C,G はしばしば♯するので押し手しても良い)
各グループ低音箏一面ずつ。(オクターブ低く調弦)
○/8拍子、トケ(伴奏)/カンテ(旋律)/パルマ(手拍子、リズム)の3つの役割が必ず存在するようにする。・・・という縛りの元で音楽作りをしてもらう。
役割は途中で変わっても良いものとする。音楽の構成などを考えている間、各グループをまわり、独特のダイナミクスや、押し手、トレモロ、奏法についてや、日本音楽にみられる掛け合いや、間なども用いてみるようにアドバイスした。
⑤ 発表。各グループ5分ほど。
第一グループ・・・叙情的でかっこいいカンテパート。中間部に日本的な間のある間奏を取り入れ、その後低音箏でのソロやサンバ風な4拍子リズム。
第二グループ・・・3、7音の押し手多用により、1組めよりもよりアラビア的な雰囲気が感じられた。ダイナミクスを付けてくれて良かった。
⑥ まとめ、感想
【まとめ、感想】
今回題材として用いたフラメンコは、スペインのアンダルシア地方の伝統芸能であり、誰もが一度は耳にしたことのある民族音楽だと思います。ですが実際自分でやってみるとなると、馴染みのある日本音楽と異なりすぎて少し難しいのでは?と心配していました。しかし、やってみると皆さん見事に独自のフラメンコを再現していたので驚きました。特にクラシックをやってきた方はビゼーの≪カルメン≫で、フラメンコなどスペイン的な音楽に触れたことがあり、やりやすかったのではとおもいます。また、フラメンコの音階が箏に良く合い、日本的な要素とも上手く絡んだのも、フラメンコ音楽が東洋からやってきたジプシー達の影響を大きく受けている、という成立を考えると頷けます。東洋のオリエンタリズムを西洋音楽に取り入れたドビュッシーやラヴェル、そしてスペイン音楽を取り入れたフランス人ビゼー・・・そして今回のワークショップを通じて、日本独自の音楽に、他国の土俗的なリズムや音階、楽器などを取り入れることによって生まれる音楽の可能性を身を以て感じました。作曲を学ぶものとして、とても勉強になったワークショップでした!
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