2013年12月

2013年12月17日 (火)

10月30日は声楽科のTさんによる「日本の歌で遊ぼう」のワークショップでした。

Tさんは日ごろから邦楽ワークショップの授業に積極的にとりくんでくれて、ワークショップ案も早くから念入りに考えて実施にいたりました。

そのためにとても落ち着いて、良く考えられたワークショップでした。

通常では、参考音源を最初に聞かせてから音楽づくりをさせるのですが、今回は最後に題材にした詩を、違う歌手、アレンジでうたわれた音源を聴かせるという、逆転の工夫も新鮮で工夫が見られました。

以下Tさんの報告書です。

授業担当 吉原佐知子 記

ワークショップ名
日本の歌で遊ぼう(邦楽を用いての音楽作り)

ワークショップリーダー
声楽コース

実施日
10月30日

対象
大学生7名

使用楽器
琴、声

題材
さくらよこちょう(別宮、中田)

授業目的
あまり触れる機会の少ない日本歌曲に触れると共に、日本語の持つ様々な要素や雰囲気を感じ取る。
感じ取ったことを音楽概念に当てはめて表現する。表現をすることで何気無く毎日使っている日本語にもっと興味を持って欲しい。

アイスブレイク
軽い体操と発声練習、簡単な発声概論(10分)

発展
①題材から歌詞の一部を抜き取り、その部分の日本語を分解し、単語ずつに分け、ひとつひとつの単語がどのような性質、特徴を持っているのかを考える(10分)

②その性質、特徴、雰囲気をいくつか発表してもらい、分解した言葉に当てはめて表現の仕方を考え、一文ずつ読んでもらう(15分)
例)元気なイメージ、ふんわりとした感じ、など

強弱は?速度は?高低は?

重ねたら効果が出る?

③グループに分かれて①②でやったことを工夫して表現の仕方を考え、声のみで発表する。その後、琴や三味線も用いた音楽を作る(10分)

10/30 邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう
YouTube: 10/30 邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう

 

④発表(5分)

10/30 邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう
YouTube: 10/30 邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう

10/30邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう
YouTube: 10/30邦楽ワークショップ 日本のうたで遊ぼう


 

 

 


まとめ
さくらよこちょうを聞く(別宮さん、中田さんどちらも)。
自分達の演奏との違いや、別宮さんと中田さんの曲の違いを発表。(10分)

同じ歌詞なのに全然違うことを理解してもらえたら嬉しい。
またドイツ歌曲を例に、言語は違えども、言葉が曲にとってどれだけ大事なのかということが少しでもわかってもらえたらと思う。

反省点
アイスブレイクで折角身体を動かしたのに発声のことは概念しか伝えられず中々実践までいかなかった。
アドリブで話すことが多く焦ってしまい、学生に伝わったかどうかの確認が疎かになってしまった。
また、普段声楽のレッスンを受けていない学生に音楽要素を取り入れて読ませるという点において、難しかったという声があり、自分が手本を聞かせるべきであった。

感想
全体的には良い出来であるワークショップだったと思う。所々に反省点はあるものの、学生から、新たな発見があり自分の専門にも活かせそうだ、という感想を聞けただけで有意義なワークショップであったということが分かった。
私は声楽コースなので、詩を分解して考えることが身についている。普段はイタリア語やドイツ語、フランス語が多いので中々日本語の詩を考える機会がなく、今回のワークショップは私にとってもとても有意義な時となった。
教職を取っているため、教えることは好きである。生徒や学生と対話しながら音楽作りが出来たことはこれから先の自分にとって、物凄い経験値になると思う。

11月13日はクラリネット専攻3年生のKさんによる

「世界の音階」によるワークショップでした。拍の長さやリズムに着目したアイスブレイクの後、世界のいくつかの音階をピックアップして、まずその音階を聴かせてどんなイメージがあるかを話し合ってから好きな音階を選んでメンバーを替えて2回音楽づくり行いました。

箏になじみのない学生だからこそ、難しく考えずにかえって自由にその音階で楽しく音楽づくりをしてくれていると感じました。

また箏だからこそこの音階に着目したワークショップができると気付いたKさんにも感心しました。

Kさんの報告書は以下です。

授業担当 吉原佐知子 記

 

■テーマ
邦楽器で世界の音楽に触れる

■実施日
11月13日

■担当学生
管楽器専攻学部3年

■使用楽器
異なる調弦に合わせた3種類の琴

■実施想定対象
ある程度音楽に対する知識を有する高校生以上の生徒。

■実施概要・目的
・拍の長さの変化による音楽の種類と傾向が有ることに触れる。
・異なる調弦(今回はアメリカ,中近東,エジプトよりスケールを拝借)による印象の違いを楽しむ
→拍の長さによる傾向の変化+世界の異なる調弦による変化+日本の邦楽器である琴=…組み合わせを変えればいくつもの新しい音楽作りを楽しむことができるのでは?という発見をする事が大きな狙いである。

■実施プログラム

①拍の長さを意識した手拍子によるアイスブレイク
→どのような拍の取り方があったか発言をしてもらう
ex)短い、はねてる、重たい、音を引きずるetc…

→発言があったリズムを大雑把に4パターンに分類した後、そのリズムの傾向を解説
・たん たん たん/ロックやラテンに見られる歯切れのよいリズム
・たー たー たー/ボサノバに見られる音を引きずるリズム
・たーん たーん たーん/バラードやジャズにみられる半円のスキップ移動をするリズム
・たっ たっ たっ/タンゴにみられる短いスキップで進行するリズム

→上記の傾向を踏まえた上でもう一度アイスブレイク

[結果:意識のかけかたの違いによってただの手拍子なのにボサノバ感がでたりワルツの様に聞こえたのが面白かった]

②世界のスケールに触れる
→あらかじめ用意しておいた3ヶ国のスケールに調弦した箏の音を聞いてもらい、そのイメージを述べてもらう(この際どの国のスケールかは隠して行った)

ex)アメリカよりブルーススケール/ジャズっぽい、酒場、西部劇
中近東よりペルシアンスケール/あやしい、蛇が出てきそう、沖縄っぽい(?)
エジプトよりエジプシャンスケール/冷たい印象、ファラオ、砂漠、あやしい
etc…

[結果:どの国のスケールか言ってないのにも関わらずなんとなくその国の印象を言い当てるような発言が多く、やはりその国特有の音階にはその国の雰囲気が盛り込まれているのだと思った]

→次に先ほど聞いてもらったスケールの国ばらし

→グループを2つに分け音楽作りをしてもらう

③音楽づくり1
→ブルーススケールチームとペルシアンスケールチームに別れて音楽づくりをしてもらう
この際、授業前半で行った拍感の違いを意識しながらパターンや即興で音楽作りをお願いしたいと説明。

[結果:ブルースチームは軽快なジャズのパターンを重ね酒場の様な雰囲気に。ペルシアンチームはあやしげな雰囲気の曲になり調弦による違いが顕著に出た。]

→チーム代表者に相手チームの感想を述べてもらう。ワークショップリーダーからもチームごとに感想を述べた。

2013.11.13 邦楽ワークショップ
YouTube: 2013.11.13 邦楽ワークショップ



④音楽作り2
→グループを入れ替えエジプシャンスケールチームとブルーススケールチームに別れて音楽づくりをしてもらう

2013.11.13 邦楽ワークショップ 世界の音階
YouTube: 2013.11.13 邦楽ワークショップ 世界の音階

2013.11.13 邦楽ワークショップ エジプト音階
YouTube: 2013.11.13 邦楽ワークショップ エジプト音階



[結果:エジプシャンチームは砂漠の中を静かにあやしく進んでいく様な雰囲気の曲に、ブルースチームは音楽作り1でのブルースチームとは違い少し落ち着きのあるジャズ風な曲になった。]

→チーム代表者に相手チームの感想を述べてもらう。ワークショップリーダーからもチームごとに感想を述べた。

⑤まとめ
→感想を述べて授業概要・目的がなんだったのかを解説した


■感想
スケールの違いによる音楽の違いが楽しめた。各国のスケールから受ける初見での印象がなんとなく的を射ていたのが面白かった。
最初に行ったアイスブレイクでは今までのワークショップでは工夫して身体のどこから音をだすか?という点を考えることが多かったように感じていたので今回は拍を意識してのアイスブレイクを行ったが、手拍子だけでもボサノバやロックに聞こえるのが新しい発見だった。

反省点は少し詰め込みすぎたかな…という点です。拍の長さによる音楽作りのワークショップか音階の違いによる音楽作りのワークショップかどちらかに絞れば良かったかなと思います。でも履修者の皆さんがとても協力的で板書を使いつつスムーズに授業進行が出来ました。ありがとうございましたm(_ _)m

2013年12月11日 (水)

横笛演奏家の西川浩平 先生をゲストに招いて、横笛による音楽づくりを実施していただきました。西川先生は元々フルーティストから日本の横笛の演奏家になり、現在でも両方を演奏し、西洋クラシック音楽と日本の伝統音楽の双方に通じておられます。今回の授業では日本の横笛の基本的な奏法の説明から、日本の笛の音楽たる重要な要素(タンギングをしない、噪音を音楽の中に積極的に取り入れる 等)について実演を交えながらお話していただきました。さらに学生達には笛の唱歌(ショウガ:一定の規則に従って楽器が演奏する旋律を、奏法の情報を含めて、声に出して歌うための体系)を歌ってもらい、簡単な節の演奏を踏まえた上で、最後に即興演奏にチャレンジしてもらいました。

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西川浩平 先生 笛による音楽づくりワークショップ
YouTube: 西川浩平 先生 笛による音楽づくりワークショップ

2013年12月10日 (火)

12月10日は東京成徳大学に出張して箏による音楽づくりワークショップを行いました。邦楽ワークショップを担当していただいている講師の一人 味府美香 先生が勤務なされている学校です。邦楽ワークショップ授業担当の山口賢治、吉原佐知子、中香里 先生に加えて洗足学園音楽大学教育コース教授で作曲家の松尾祐孝 先生と邦楽ワークショップ受講生の洗足学生も参加しました。東京成徳大学には箏が多くはないので、洗足から運び入れました。4名の先生それぞれ1枠(45分)づつ各々の方法論にて音楽づくりを実施しました。

吉原先生…「さらし」による音楽づくり

中先生…「きぬた」による音楽づくり

松尾先生…同音連打とロンクトーンによる音楽づくり

山口先生…微分音程調絃によるトーンクラター

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