2020年8月15日 (土)

メトロノームで音楽づくり

■テーマ
音楽づくりオンラインワークショッププログラムの試行
〜 メトロノームで音楽づくり 〜

■実施日
2020年8月12日

■担当
山口賢治

■概要
コロナウィルス蔓延の状況下では、大勢の人が集まるイベントは難しい。音楽づくりワークショップにおいても同様に多くの人が密集し、声を出したり、体を触れ合う場合もあるため対面での実施には慎重を期す必要がある。
通常の講義授業ではオンライン講義でも充分な学習効果が期待できるが、ワークショップの場合には様々な制約(通信のタイムラグ、画質、音質など)があり対面実施と比較してワークショッププログラムの実行に多くの困難がある。具体的にはリズム遊びなど参加者全員がリズムを共有することを前提としたプログラムは現在の通信環境ではできない。
暫く、まだ人の移動や接触自粛の状態が続くと予想されるので、音楽づくりオンラインプログラムの作成が喫緊の課題となる。
今回は音楽づくりオンラインプログラムの一例としてメトロノームを用いたオンライン上での音楽づくりを試みた。

■プログラム
参考作品としてリゲティ 作曲「100台のメトロノームのためのポエム・サンフォニック」や一柳慧 作曲「電気メトロノームのための音楽」を鑑賞した後、これを参考に各自が用意したメトロノームで音楽づくりを試みた。


YouTube: メトロノームで音楽づくり〜オンラインでのワークショッププログラム〜

■課題
ひとり暮らしで大きな音は出せない部屋、家族が同居している部屋、野外やカフェ、駅構内からなどオンラインで受講している学生の環境がまちまちであった。学内のカフェからオンライン受講している時にはメトロノーム音と共に周りの楽器の練習音や会話が入り込んでしまう現象が起きてしまった。プログラムの計画実施に際して、オンライン受講している学生の環境を考慮に入れることが重要であることがわかった。なるべく周りの音が入らない環境で受講するのが理想であるが、逆に周りの環境音も音楽に取り入れてしまう方法論も考えられる。
音楽づくりオンラインプログラム教材の開発はこれからの重要で大きな課題である。

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メトロノームで音楽づくりを参照しているブログ:

コメント

このコロナ禍という状況下で、リモートで音楽を合わせるというのは容易ではないが、そんな中、メロディではなく、メトロノームを使ってリズムのみで音楽を作るという、今の状況でも非常に楽しくセッション出来る内容になっていて、とても素敵です。メトロノームは、目的は同じでも、物によって、音の高さや音の伸びや動きは様々です。仮に、リモートワークの為、少し思っていたリズムとズレてしまったとしても、コード進行なわけではないので、不協和音もなく、それもまた、立派な音楽となり、味となる。リズムは必ずしも一定でなければいけないという事はなく、敢えてズラしていくのが耳に残り面白かった。はっきりしたメロディはなく、基本はメトロノームの音だけなので、夫々のサウンドスケープが逆に面白さを増していて非常に良かったです。メトロノームだけで立派な音楽が作れていて感動致しました。
この授業を受けてメトロノームと音楽の関係性に興味を持ち、始めて知ったのですが、1963年9月13日、オランダで開かれていた現代音楽フェスティバル、ガウデアムス国際音楽週間の一環で、当時の「前衛」作曲家のひとりジェルジ・リゲティの新作《ポエム・サンフォニック Poème symphonique》が披露されました。フランス語で『交響詩』という意味。壮大な管弦楽の響きを連想させるタイトルですが、なんとオーケストラのための作品ではなく、使われるのはなんと100台のメトロノームで、メトロノームが刻むカチカチという音だけを素材とした、恐らく音楽史上初めての作品があるらしいので、近々聞いてみたいと思います。確実にこの授業を取らなければ永遠に知る事が出来なかったので、音楽の幅が更に広がって、とても誇らしいです。

メトロノームはリズムを取るためだけのもの。
と言う固定概念を捨てて、曲の主役にするという斬新な発想は僕にはありませんでした。ですが色んな発想を持って音楽を作っていくことはとても大切な事だと思います。少しずつ増えたり消えたり、リズムもまばらで聞いていて不思議な感覚になりました。今のこの時代でも工夫して音楽を楽しもうと思います。

音楽の中の”ズレ”という感覚は非常に興味深い。
同時に様々のテンポのメトロノームが淡々と音を発しているさまは、まるで人間の社会のような、おもしろさを感じた。
オンライン上での授業として、参加しやすいし、現代音楽や表現を考える良いきっかけになると思った。

オンライン授業の中で自分が一番印象に残った授業です。「時差」というものをマイナス面でとらえるのではなく、こうして「時差」を生かして音楽づくりをできたのはとても良い経験でした。邦楽ワークショップであるが、日本だけでなく世界に通ずる何かを感じ取ることができました。

メトロノームでの音楽作りという案は盲点を着いた面白い発想であると思いました。
楽器を練習するための道具を楽器にしてしまうというと言うことに関心しました。
メトロノームも個体ごとに音色が違うため、それぞれの個性が引き立っていました。
また、違う拍のメトロノームを複数使う事でトリッキーなリズムが生み出される点も面白かったです。

メトロノームをオンライン上で同時に鳴らし、音楽を形成するという非常に斬新で興味深い授業だった。また、オンラインという特性からか音声の圧縮劣化や遅延、それぞれ違った部屋鳴り等、様々なメトロノーム音以外の情報が入り混じり、独特の効果をもたらしている。現代音楽・ノイズミュージック等のジャンルに明るくない私でも、とても楽しく学習できた。

実際にメトロノームを用いてオンライン上で先生の指揮に合わせてメトロノームを鳴らすのは意外と難しく、生徒それぞれネットの環境が違うこともありぴったりと終わらせることが大変でした。もし作品としてオンラインで完成させるのなら、ぴったりと終わらせるのではなく最後はゆったりとフェードアウトさせると多少ずれる人がいても気にならずに良い終わり方になるのではと思いました。環境音や家族の話し声も少しなら良い音楽のスパイスになると思います。