2014年9月 7日 (日)

「みだれ」による音楽づくり

9月3日は後期最初の授業ということで、「みだれ」を題材に基本的なワークショップをしました。

後期は10月から学生によるワークショップをしますので、自分たちなりのワークショップ案を考えてもらえるようにワークショップをしながら手順を説明しつつ進めました。

ワークショップ内容は以下です。

ワークショップ名「みだれによる箏の音楽づくり」

ワークショップリーダー 吉原佐知子

題材 筝曲「みだれ」

使用楽器 箏7面(一人一面)

調弦 平調子

題材説明 「みだれ」は「六段」と同じく八橋検校作曲の段物の一つである。

「六段」は6つの段からなり、どの段も同じ拍数でつくられ、除々に速くなり、六段目の最後だけゆっくり弾いて終わるようにつくられているが、「みだれ」は10段である上に各段の拍数もばらばらで、段の途中でもゆっくりになったり、早くなったり、演奏も奏者によって様々であり、六段より音楽的で自由に演奏されている。

ワークショップの目的

1、箏の代表曲「みだれ」を知り、箏の基本的手法を身につける。

2、日本の音楽と西洋の音楽の違いを発見する。

3、「みだれ」の構造(よく使われている音型をちりばめる。だんだん速くなったり、突然ゆっくりになったり、間に注目)に着目した音楽づくりをする

ワークショップの流れ

1、アイスブレイク(手拍子回し)

・円になって手拍子で一人1回ずつ手拍子を回してだんだん早くしてみる。

・2人組になって手拍子でだんだん早くしたり、だんだん遅くしたりしてみる。最後は間をとって掛け声を入れて一発たたく。

2、吉原のよる「みだれ」の実演を聴く

3、「みだれ」をきいて、自分たちが普段やっている西洋音楽とどこが違うかを一人づつ発表する

「みだれと西洋音楽との比較」生徒の意見

・ベース(一と二のシャン)がずっと一緒

・エンディング(コーダ)がない(ように聞こえる)

・テンポが演奏者まかせ

・主題がない(ように聞こえる)

・一定のビート感がない

・間の取り方

・コーロリンがよく鳴ってる

・自由な感じに聞こえる

・掛け合いみたいなところがある。

4、全体ワークショップ

・「みだれ」の冒頭練習

・よく聞こえてきた手法やフレーズの練習(コーロリン、シャンテンシャンテンシャンテン、テントンシャンなど)

5、グループに分かれて音楽づくり

約束

・だんだん早くして途中で一度ゆっくりする。また早くしてゆっくりしておわる。

・ベースは一と二のシャンをどこかにいれて自由に考える

・よく聞きあって自由に音を重ねる

・3で気付いた、日本らしい音型や間合いを取り入れる

6、発表

みだれによる音楽づくり① 邦楽ワークショップ
YouTube: みだれによる音楽づくり① 邦楽ワークショップ

みだれによる音楽づくり② 邦楽ワークショップ
YouTube: みだれによる音楽づくり② 邦楽ワークショップ

7、講評、感想

 一つ目のグループはリーダーのベースの上で他の3人が掛け合いをしたり、まねっこしたり、メロディーを重ねたりと、とてもよく聴きあって、速さの調整も上手にできていて、しっかりとした、構造が見える作品になっていた。

 一方、二つ目のグループはリーダーがしっかりベースを弾いてだんだん早くしたり遅くしたりしているのだが、その上で他の二人はそのリーダーの速さに合わせてそれぞれがパターンやメロディーを重ねているだけにとどまり全体を聴いての音楽づくりまで出来ていないように聞こえた。ベース以外の二人がお互いをもっと聞きあって構造を考えて掛け合いをしたり少し相手のまねをしたりと、よく聞きあって音楽づくりをしてくれればさらに良い作品になったと思う。最後もみんなで一と五のシャンで終わる約束だったが、ベースの子のみで終わってしまったのは、自分のことで精いっぱいで回りが聞こえていない証拠なので、今後はもっとよく回りの音を聴いて音楽づくりをしてもらうように導いていきたいと思う。

また、学生たちは全員、洋楽器などの邦楽以外の生徒達であり、後期の1回目で久しぶりに箏に触れての音楽づくりだったため、音もまだしっかり出せていない学生もいるので仕方ないところもある。これからの授業でもどんどん邦楽器に触れて、良い音が出せるようになれば、余裕も出てきてまわりの音も聞こえてくると思うので、今後もたくさん邦楽器に触れてもらえるように授業を進めていきたいと思う。

以上

授業担当 吉原佐知子 記

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