2014年5月

2014年5月27日 (火)

4月23日は邦楽ワークショップの監修担当の坪能由紀子 先生による授業でした。

①お互いを知るために参加者が歩き回りながら出会った人とペアをつくり1対1で会話を交わした。会話が終了したら再び別のペアをつくり会話を続けた。3名ずつの組合せも試みた。

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② ①と同じことを草野心平「勝手なコーラス」の詩の中にある言葉の断片を使って行った。意味を成さない言葉の断片による会話によって音楽的ニュアンスを含む対話が行われることを期待したと思われる。(例:『ぐのかえる ぐりりあに ぐりりあにぐりりあにぐりりあにぐりりあに』『ぎのかえる ぎゃっぷ ぎゃっぷぎゃっぷぎゃっぷぎゃっぷぎゃっぷ)

③ 円陣を組み、発せられる言葉に身体的表現を加えたり、即興的なメロディーなど表現を発展させた。このステップにおいて繰り返しと積み重ねにより音の構造化を参加者に意識させ、会話や言葉遊びから出発し音楽への橋渡し部分となっていた。

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④ ③のステップを踏まえ楽器による音楽対話を試みた。楽器は邦楽器(箏、三味線、尺八)に加えてキーボード、鍵盤ハーモニカ、クラリネット、シンセ音源その他音具。カフォンのリズムをベースにDドリアンのモードを用いることを原則ルールとした。歩きながらの演奏が可能な楽器は①の同様ペアをつくり1対1での音楽的会話を順次行った。その後は各自が演奏楽器を変えたり、モードをリディアにするなどのヴァリエーションを試みた。

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坪能由紀子 先生を迎えてのワークショップ
YouTube: 坪能由紀子 先生を迎えてのワークショップ

このワークショップでポイントを思われたところは、言葉遊びから音楽への橋渡しをするための題材として意味をなさない言葉を並べた草野心平の「勝手なコーラス」の詩を用いたところにあると感じた。意味のある詩だと発せられた言葉の響きの音楽的ニュアンスではなく、詩の内容に表現が強く影響を受け過ぎてしまう恐れがある。言葉の内容に影響を受けてしまうと音楽的表現ではなく演劇的な方向に表現ベクトルが向かってしまうので注意が必要であろう。またこの詩は言葉の反復やその周期の違いが構造的に反映されている点での音楽づくりの材料として優れている。

楽器による音楽づくりではドリアとリディアの二つのモードで行った。残念ながら動画にはドリアの部分しか収録できなかったが、今度様々なモードによる音楽づくりの機会を設け比較検証を行うことがひとつの課題である。

今年度は各学生の専攻楽器での参加も可としているので、学生が有する能力がより音楽づくりの場において反映されている。クオリティーの高い音楽づくりを目指すと同時に新たな可能性の発見も望まれる。 執筆担当:山口賢治

2014年5月15日 (木)

5月14日は三味線の初回でした!
基本奏法をマスターし、三味線二重奏曲《呼応》を採り上げてみんなで三味線でカノンをしました。
三味線を初めて触る学生さんもよく弾いていて、自分で独自のカノンを作る時は苦戦していましたが、それぞれよく考えながら特徴ある三味線カノンになりました!

授業担当:市川香里 記


「三味線カノン」
対象:大学生10名
使用楽器:三味線(HEH)
目的:三味線の基本奏法を習得する、音楽づくり要素の追いかけっこを三味線でマスターする、三味線の楽しさを体感する

授業内容
①楽器準備
②基本奏法習得→基本バチ・スクイ・ハジキ・ウチ・コキ
③呼応CD試聴
④呼応の始め一行を2人一組になり手拍子で練習。その後、音楽的に工夫するためにどうすればいいか、強弱・速度・間合いなど話し合い、発表
⑤④を踏まえたうえで三味線で呼応を参考に独自のカノン実践
⑥グループ実習
約束:カノンが入っていること、今日習得した三味線の奏法を採り入れること

⑦発表

三味線カノン①
YouTube: 三味線カノン①

三味線カノン②
YouTube: 三味線カノン②

どちらのグループも特殊奏法のコスリまで積極的に採り入れて、奏法盛りだくさんの演奏でした。三味線は構えて音を出すまでが難しいので基本バチだけでも大変だったと思いますが、この一時間でよく頑張ってくれました。音楽づくりするための工夫を話し合う時間を設けたのでグループ実習には入りやすかったですが、いざ実践となるとなかなか思うようにはいかず、特に強弱の付け方はもっともっと工夫が必要だなと思いました。しかし速度やリズムの工夫はさすがだなと感心する場面も多々ありました!

三味線をやりたいという学生さんもいるので、今後の三味線ワークショップがますます楽しみです♪

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2014年5月13日 (火)

5月7日の授業は世界の音階をテーマに行いました。

お箏の弾き方がだいぶ様になってきて、パターン作りにも慣れた様子です。少人数だったのでグループ分けはせず、琉球・中近東・ブルースそれぞれの世界を
テーマにみんなで音楽づくりをし、箏による世界の音楽の広がりを存分に感じながらの授業になりました。おもしろいことをやってくれているからこそ、弾く時
はもっと堂々と弾いてもらえたらと思います。また専攻楽器を採り入れての音楽づくりでは学生さんが専門で学んでいる音楽について今後もどんどん教えてもら
いたいなと思いました!

授業担当:市川香里 記


世界の音階で音楽づくり

対象:大学生5名
使用楽器:箏
目的:世界の音階を箏を通して学ぶ、音楽の広がりを学ぶ、洋楽器とのセッションで箏の可能性を模索する

①箏準備
琉球音階:C・E・F・G・H~に調弦
②奏法復習
③琉球音階でパターン重ね、即興、対話の実践
④中近東系音階:C・D♭・E・F・G・A♭・H・C~で音楽づくり
テーマ「あやしげでヒヤッとする蛇使い」
テーマを表現するために強弱や弾き方、特殊奏法で飾りを入れるなどの工夫をみんなで話し合い、発表

中近東系音階
YouTube: 中近東系音階

⑤ブルーススケール:C・E♭・F・G♭・G・B・C~で音楽づくり
ジャズコース学生さんのピアノによるパターンにのせて、箏と三味線でジャズ風に音楽づくり、発表

ブルーススケール
YouTube: ブルーススケール



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2014年5月 1日 (木)

 4月30日は吉原による、箏の特殊奏法の習得を目的とした、「砧」を使ってのワークショップでした。

「砧地」とは古来より日本に伝わる布を川などで打つ作業を象徴する、シンプルな音型です。今回はそれをベースに鳴らした上で、箏のたくさんある特殊奏法を伝授し、その奏法を入れ込んで作品をつくりました。

流れは以下です。

1、箏の特殊奏法の練習

・合わせ爪(ここで砧地練習、五十 十~)

・すくい爪(ここで砧地練習、二ス~、七ス~)

・平爪、かき手、割爪

・流し爪、弾き連、グリッサンド

・トレモロ、裏連

・すり爪、散らし爪、輪連

・かけ爪各種

・押し手各種

・スタッカート、ハーモンックス、ピチカート、無調音   etc.

2、砧地の上で参考楽曲として、吉原が宮城道雄作曲「砧」を演奏して聴かせる。

3、1で習った特殊奏法を使って、パターンをかさねたり、即興でメロディをつくったり、対話したり、全体ワークショップ

4、2つのグループに分かれて箏のみで「砧」の音楽つくり

4/30邦楽ワークショップ、砧筝のみ
YouTube: 4/30邦楽ワークショップ、砧筝のみ

4/30 邦楽ワークショップ 砧筝のみ2
YouTube: 4/30 邦楽ワークショップ 砧筝のみ2

5、全員で他の楽器を加えて「砧」による音楽つくり

4/30 邦楽ワークショップ 砧3
YouTube: 4/30 邦楽ワークショップ 砧3

 以上でした。

 この日は箏を使って二度目のワークショップでした。学生たちはつたないながらも果敢に習ったばかりの技を駆使して音楽づくりをしてくれました。

 砧というシンプルで単調な音型は音色に特化した邦楽器ならではのものなので、ピアノなどではさまになりませんでした。そういう点においても邦楽器の良さを学生たちに気付いてもれえたら嬉しいです。もっとしっかり音が出せるようになったら、さらに良い作品が出来ると思うので、今後のワークショップでもなるべくたくさん邦楽器に触れて、なじんでもらえるようにしていきたいと思います。

授業担当:吉原佐知子 記