2017年7月

2017年7月14日 (金)

◎タイトル「ソーラン節による音楽づくり」

◎題材と音楽づくりについて

今回は民謡の「ソーラン節」を題材に箏を使った音楽づくりを行った。

ソーラン節は5音の民謡音階で構成されており、箏をその構成音で調弦すれば容易にメロディーが弾け、節づくり、即興なども、どの音を弾いても違和感なくなじむため、容易に音楽づくりができる。

学生には箏に親しみながら、五音音階のよさ、音楽づくりに取り入れる意義などを実感してほしい。

今までの音楽づくりのシーンでは、楽器に対する自信がないせいか、邦楽器に向き合うときに効果音や、場面を想定した擬音に走ることが多々あったが、今回は擬音に走らず、音楽的、構造的に音楽づくりができるように指導したい。

◎内容

1、荒川区の小学校4年生が同じ「ソーラン節」を題材にした箏による音楽づくりをしているDVDをみせて、子供たちがどんな工夫をしているかをみんなで意見交換をする。(音楽的、構造的な工夫に気付かせる)

・速さや音量の工夫・はじめ方、終わり方・音のない場面があった・役割分担の工夫

など

2、箏の調弦を楽調子(レソラドレミソラドレミソラ)にして一人1面用意する。

十七絃が好きな学生が一人いたので十七絃は1面(ドレミファソラシド~)用意

3、ソーラン節の節を弾いてみる

4、色々な技を練習(合わせ爪、押し手、輪連、トレモロ、ピッチカートなど)

5、色々な技を使いながら、パターンを重ねていく。

6、色々な技を使いつつ、即興で節づくり。

7、無拍のドローンの上で対話してみる

8、3つのグループに別れて音楽づくり。(2つ以上の場面を音楽的な工夫をしながらつくってみる)

9、発表、講評

まとめ

今回は3つのグループ全部が擬音に走らずに確実に音楽と向き合って作品をつくっていた。

特に良かったグループの作品を以下に挙げる。

やはり五音音階、特にテーマが簡単に弾けるものを題材にするとそれぞれは箏が初心者であるにも関わらず工夫次第で厚みのある素敵な作品ができるということが、学生自身も実感できて、達成感もあったようである。実践してみて、五音音階だと本当に簡単に音楽づくりができるんだな、と気付いてくれた。

これからも今回の経験を生かし、擬音に走らずに自信をもって音楽づくりをしていってほしいと思う。

授業担当 吉原佐知子


YouTube: ソーラン節による音楽づくり

2017年7月 6日 (木)

■テーマ

声、ボディーパーカッション、ピアノによる音楽づくり

〜山根明季子 作曲「水玉コレクション」を参考に〜

 

■担当:山口賢治  ■実施日:2017年7月6日

■概要

パターンミュージックのヴァリエーションとして 山根明季子 作曲「水玉コレクション No. 6」の構造形式を流用して音楽づくりを行った。


YouTube: Dots Collection No 06 - Akiko YAMANE 《水玉コレクションNo.06》山根明季子

リズムや音列を動機単位として反復循環させるパターンミュージックの概念を発展させて、音響ユニットを単位として、漸次紡ぎ出される音響を変容させる音楽づくりを試みた。

 │A│休│A’│休│A’’│休│A’’’│・・・・

様々な音の重なりが全体として音響Aになる過程を体験し、音響Aを変容させながら音楽として導き、構成するひとつの方法論を示すことを目的とした。

 

■実施プログラム


YouTube: 声、ボディーパーカッション、ピアノによる音楽づくり


① 0:00〜0:34

 │ピアノ│休│ピアノ│休│ピアノ│休│・・・・

ピアノが鳴っている枠内に声やボディーパーカッションの音を漸次的に重ねて音響を作った。

 

② 0:34〜1:48

1人ずつ音を重ねてゆき、全員の音が重なったら、次に1人ずつ抜ける音の変化を試行した。

 

③ 1:48〜3:26

全員の音が重なった状態から1人ずつ音を変えて少しずつ音響を変化させてみた。

 

④ 3:26〜4:27

各人が約50%の確率で音を出す(音を出さない)ことにより、音響に変化をつける試みを行った。

 

⑤ 4:27〜6:10

a,bふたつのグループに分け、aグループのメンバーは音を出す確率を100%→75%→50%→25%→0%、bグループのメンバーは0%→25%→50%→75%→100%と変化させた。全体の響きの動きとしてaグループの音響から始まり、次第にaにbが混じりながらaの響きが減じてゆき、最終的にbグループの音響に収斂する様を意図してみた。

 

⑥ 6:10〜9:40

 │A│休│A’│休│A’’│休│A’’’│・・・・の響きの中で、一人のみ独立して自由に声を出す声部を加えた。

 

⑦ 9:42〜

言葉による応答の要素を加味した。前の人から投げかけられた言葉に対して、次の人にその言葉に対する応答を回していくこととした。

 

■まとめ

今回の試みでは音響を単位として音楽をつくったが、参加者が10名のため、もう少し参加人数が多いと、より音楽的効果が音響群として表出するのでなないかと思われた。音響をつくる際に、ピアノの和音の性質や音響を構成する各人の発音の発想の共通のベース(例:怖い暗いなどの抽象的なイメージ、鳥のさえずりなどの具体的な題材)をコントロールすることにより音楽の性格が様々な様相を示せるのではないかと感じた。

授業の最初は学生に戸惑いが感じられていたようだが、こちらのコンセプトを理解してくれてからは様々なアイディアを出し合うようになり、最後は大いに盛り上がった。今度はこの方法論を活用して楽器を使った音楽づくりに挑戦してみたい。