2012年5月30日(水)の邦楽ワークショップのご報告です。
今回は現代邦楽コース4年の三味線専攻Oさんによるワークショップでした。
2年生のときからこの授業に出はじめたアイディアマンのOさん。今回のワークショップでは、自身の専門である三味線を
使って音楽づくりをしました。三味線特有の「サワリ」の音を音楽づくりに取り入れたら面白い、ということでした。
初心者にとって、三味線で即興的に旋律をつくったりするのは難しいかもしれないと思ったのですが、「サワリ」に着目
したことで、使う音が限定され、それがかえって自由な旋律づくりにつながっていたのではないかと思われます。
Oさんのワークショップ進行も落ち着きがあり、中先生との迫力の演奏に学生も聴き入っていました。
今回、一つもったいなかったのは、活動の最初にあったアイスブレイクがそれ自体はとても面白いアイディアなのですが、
本活動とつながりにくかったことです。しかし、このアイスブレイクによって新しい音楽づくりのアイディアがうまれた
ので、次回のOさんのワークショップにご期待ください。
授業担当 味府美香・記
<授業報告(Oさんによる報告)> 実施日:2012年5月30日
◆目的
・三味線の特徴であるサワリというものを知ってもらう。
・そのサワリの特徴を活かして音楽づくりすることにより楽器に親しんでもらう。
◆用意するもの、実施人数
・三味線6丁(DGDの本調子)、学生6名
◆内容
・アイスブレイク
・三味線を出す所から調弦、奏法の確認
スクイ、ハジキ、スリ、ウチ、ケシ、カエシ撥、ウラハジキ、アテハジキ、トレモロ、
ソトオサエ、コスリ、オトシ、スリ上げ、スリ下げ、重音
・サワリの説明
三味線には、「さわり」と呼ばれる独特の構造がある。これは、一の糸だけをあえて本体に触れさせ、その音とともに
軽い雑音を生じさせるものである。この構造により、その音の4度・5度・8度(1オクターブ)上の音で、雑音が共
鳴する仕組みになっている。三味線が、良く鳴る・鳴らないは、この「さわり」の調整によることが大きい(サワリの
仕組みについて、東サワリ、サワリがよく響く勘所)。
・サワリを生かしたソロまわし
サワリがよく響く勘所{4、6、10}を使用してソロまわし、終わり次第開放弦のドローンにうつる。
・模擬演奏 ジャワリ/玉木宏樹作曲
ジャワリのⅠ章を演奏、インドのシタールという楽器にも三味線のサワリと同じ効果がありそれをジャワリという。こ
の曲はサワリがとても活かされた曲なので選択した。
・音楽づくりの説明(3つのルール)
①サワリのつく音のドローン、1音または重音を入れる
②DGAD(ジャワリによく使用される音のパターン)のパターン又はメロディーを入る
③強弱の差をしっかりつける
*調弦のポイント
調弦が変わりやすいので、サワリをよく響かせる為に演奏前にしっかりと調子をそろえる
・2グループに分かれて音楽づくり、発表
3人×2グループ
◆ワークショップを実施してみて
私の説明でサワリの構造について学生さんたちに理解してもらえたのか不安でした。それでも学生さんたちなりに、構造を
理解し話し合って沢山の奏法を用いて音楽づくりをしてくれました。今後三味線に触れる機会はあると思うので、少しでも
サワリについて意識してもらえたらうれしいです。
コメント