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2017年12月

2017年12月19日 (火)

ボディ・マッピングってなんだろう④

声楽コースブログへの投稿も
はや4回目ですね。
今回は「座る」ことについて考えてみましょう。

座ることは、合唱の練習時や楽章待ちなど…
歌にも関係する大切な動作のひとつです。

はっ!
第九の演奏会が多い
12月にはぴったりの話題かもですね。


さて、皆さんは日頃座るときに
何かを意識していたり
気をつけていることはあるでしょうか?
あまりにも日常のことなので、
全く考えたことがないでしょうか。

食事中、通学に乗車する電車やバスの中、授業中、鑑賞中…と
『座る』ことは一日の中で
『立つ』ことよりも長時間行っているのではないでしょうか。

その座ることも、椅子に座るのか、ソファなのか、
床に座る、正座、あぐらをかいて座るのか、体育座り・・・
などと、
色んなシチュエーションで様々な座り方をしています。


今回は学生生活の中でいちばん長時間行っていると思われる
「椅子に座る」ことについて考えてみましょう。


椅子に座る時のチェックポイントは
まず左右の坐骨に意識をむけて、
体重を感じたり確認することから始めてみましょう。

坐骨は 骨盤の底部にあって、
座った時に椅子の座面にゴリゴリっと
感じる骨盤と呼ばれている骨の一部のことです。

202be415a4b74320bbace962601c6e3b「そんなゴリゴリって骨、見つかりません」
と思った人は、
背中全体が丸まって
ねこ背になってはいませんか?

もしそうなら、丸まった背中を伸ばして
腹部にある「おへそ」を真正面に向けてみましょう。

背中やお腹の角度が変わったら骨盤の角度も変化して、
椅子に接しているお尻と座面の感じ方が変わりますね。
「右の坐骨は感じるけど、左が全く感じられない」
なんてこともあるかもしれません。

このように
自分自身の変化を観察することを習慣化していくこと。
これは演奏をする上で、
その時その瞬間の状況に適応していくために
とても大切な音楽のためのトレーニングです。

ある学生が、この観察のことを
【自分カメラ】と名前をつけて
いつも第三者的な目線でもって実践しています。

【自分カメラ】と一緒に過ごして観察することによって、
今の自分に必要な働きかけをしていくことができるようになると、
演奏している時のドキドキ バクバク ブルブル…
といった緊張も少し落ちつくし、
「カメラが作動しているし」と、安心でもありますね。

坐骨のチェックができたら
前々回の「足裏のチェック」もしてみましょう。

坐骨と足裏のチェックで
座っている姿に何か変化はありませんか?

両腕を高くあげて腕の上がり具合を確認してみて下さい。
下半身が安定したことで、
腕は脱力できて軽く上がりやすくなるでしょう。

そして声を出してチェックしてみてください。
いつもの声と、何か違いを感じるでしょうか?
 ・響きかた
 ・音色
 ・強さ
 ・明るさ
 ・息の通り具合
などの変化はありませんでしたか?

もちろん これだけでは
「全然変わらない」という方もいるでしょうが、
変化を感じた人もいるでしょう。


私たちは1日のほとんどを座って過ごしているため、
いっけんラクだと思いこんでいる
「バランスを崩した状態」で長時間座っていると、
腰に負担がかかって、腰痛に悩まされているケースもよくあります。

そんな時には、ぜひ【自分カメラ】を起動して
「坐骨を感じること」と、
「足裏チェックをすること」を試してみてください。

お尻や脚、お腹の筋肉が正常に働いて、
骨盤周辺が整い、上半身と下半身の協調性が高まって、
重心軸が安定します。
重心軸が安定すると、
手や足、そして喉のコントロールもしやすくなる。
このように全身は常に協調しあって好転作用が働きだします。

ただ、腹筋や背筋がとっても弱い人は
苦しくて座っていられないと感じるかもしれません。

そんな時には、1日1回1分間だけ
この座り方を試すことから始めてみてください。
1週間を目安に、少しずつ回数を増やして様子をみているうちに
筋感覚が育って、長時間でも座っていられるカラダに変化します。
(※筋感覚…正確に動くための感覚。筋肉運動感覚とも言われている)


レッスンの時には先生がチェックしてくださって、
妙な癖などを改善できるようアドバイスをしてもらえますね。

だけど舞台の上では、
自分自身で状況を感じとって、
どう対処すればいいのかを判断して、
実行に移します。

日頃から
自分自身を観察する習慣や意識づけは、
演奏することのトレーニングには欠かせないことです。

トレーニングで経験したことや、
体感し成功へ導かれた情報は、
「筋感覚」として脳の中に記憶されます。
この記憶は舞台上で非常事態がおこった時には、
無意識にカラダが反応して使えるようになります。


このように脳の中に新たなボディ・マップを作っていくこと。
そして脳内に描かれている間違ったマップを修正していくことで
練習時間の短縮にもつながります。

ダラダラと長引く練習は声帯にも負担をかけてしまうため
練習は「効率よく!」を目指したいですね。


第九の第四楽章で伸びやかな声で歌うために、
座ったままの長い待ち時間は
緊張感の中でのウォーミングアップとして活用できますように♪

そして素敵な2018年を迎えられますように♪


ナガイカヤノ