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2011年1月16日 (日)

大学はどこまで現場主義であるべきか。

ジャズコースには教員専用のメーリングリストがあります。
専用アドレスにメールを送ると、メンバー全員に配信されるシステムですね。
これ、ジャズコース内では、疎密の波こそあれ、結構活用されています。
しばらく前には、「スタンダード・ナンバーの信頼できるコード進行の載った本がない!」
という話題で盛り上がり、
「ホントそうだから洗足ジャズコースがそれを示そう」
「そんなの自分で考えていくのが勉強でしょ」
「元祖のコード進行と、よく使われる進行、どちらが"スタンダード"なのか」

などという意見が飛び交い、とにかく生まれたのが、
納浩一先生による「ジャズ・スタンダード・バイブル」なわけです。
News004
これ、その存在意義についてはまだじゅうぶんな結論が出ていないんでしょうけど、
学生の間では「信頼できる本」として早速重宝がられているようです。

さて、つい今日になって、「学生ベース・プレイヤーたちが、
あまりにもオタマジャクシを読む初見ができない!」
という意見がだされ、表題の命題も提示されました(これも納先生から)。
(もちろん初見が弱いのは他の楽器についてもそれなりに言えると思います。)

その命題とは、詳しく書くとこうなります──
「最近、現場でもベーシストがオタマジャクシを読む機会が少なくなっている。
 果たして現場で実際あまり使わないものを学生たちに教育するのはどうなのか。
 "教える"という狭い視点からそのような空虚な内容を押しつけることになりはしないか。
 しかし、音楽大学を出ていて、この程度の譜面も読めないでいいのか?
 という気持ちになるのも事実。」

というわけです。

ここに私(香取)個人の意見を書かせて戴き、
メーリングリストが配信で溢れかえるのを防ぐためにも(笑)、
よろしければこの記事にコメントを頂戴する形で皆さんのご意見を頂戴したいと思います。

まず、私が日頃ジャズ・ポピュラー系業界内でずっと感じてきたことを書きますと、
楽典のような基本音楽素養を身につけずに業界でプロ活動をしている人たちが、
とーっても多い、ということです。
もちろん、音楽を職業にするのに資格なんて要りませんし、
じゃ楽典できない人の音楽のなかに素晴らしいものが無いのかと言われれば、
そんなことは当然ありません。

しかし学んだ者から言わせますと、これぐらい知っててもらった方が……汗
なんて場面に出くわすことがよくあります。
先に書いたように、音楽性とは別物、という考え方がありますから、
まあ、見て見ぬ振り、あるいは適当にこちらで解釈して演奏したりしますね。

ここで、「音楽大学を出たのに……(教育者側からは)教えたつもりなのに……」
という恥論がありますが、これは私には副次的な要素に思われます。
まず1つ思うのは、楽典はコミュニケーション・ツールだということ。
料理人たちが宴会料理をみんなで作るのであれば、
レシピをツーカーでやりとりする必要があります。
その意味で、いつでも円滑なコミュニケーションがそれなりにできることは、
とても重要であり、特定の機会が減っても、
そのチャンスがあるかぎり、必要なものだと思います。

今一点重要だと思われることを書いてお終いにしたいと思います。
"テンション"が楽典に属するとはあまり思いませんが、
象徴的なので一例として出させて戴きますと、
ポップスでもテンションの考え方で物事を見ると良い結果が得られるときがあります。
しかし、系統だったテンションの仕組みについては、
やはりジャズコースのようなところで勉強しないと身につきません。
現場でも、きちんとした理解をしている人たちばかりではないわけです。

さて、ここでいい音楽ができつつあるとき、
『テンション知らなくてあたりまえ、でもいい音楽できてる』
→『だから、業界標準としてはテンションについてはそんなに知らなくていい』

という考え方になるとしたら、それは悲しいことです。
私としては、
『そこにテンションの明快な見方が存在したら、もっといい音楽ができる可能性がある』
と思い、
それこそが音楽大学教育の1つの意義なのではないかと考えます。
つまり、業界標準は、大学の目指すところの目標値ではない。
業界標準を持ち上げる意気込みで、大学教育の目指すところを設定すべきだ
ということです。
もちろんアカデミックな内容が、机上の空論ではしかたありませんが。
(mosquito)

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