2012年7月

2012年7月24日 (火)

実施日:7月18日
担当:山口賢治

前期最後のワークショップでした。
例年は前期が教員や複数年受講している邦楽コース学生が主にワークショップリーダーとして授業を行い、後期から受講学生に各自、原則1枠づつのワークショップを担当してもらっていました。しかし、今年は優秀な学生が集まり、前期から皆にワークショップを担当してもらいました。一部の学生には『計画書の作成→実施→実施後の報告書の作成』までをしてもらっています。
前期に学生が行ったワークショップを改めて振り返り、その中から音楽づくりのテーマを選び発表会を行うことをこの日のメインテーマとしました。
また、この日には荒川区の小学校の先生方11名が見学に来ました。皆さん熱心な先生方であり折角なので、学生と一緒に混じって参加してもらうことにしました。急なお願いにもかかわらず全員快く引き受けてもらえました。普段は仲間内だけでワークショップを行っていることが大半のですが、これだけ多くの外部の方達と一緒に音楽づくりができるのはとても良い機会だったと思います。
四つのグループに分け、前期実施したテーマの中から下記の方法を選んで、音楽づくりの発表会を実施しました。

■「肥後手まり唄」と「重ね」
  https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/06/post-bf21.html
■「春の海」を用いてコールアンドレスポンス
  https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/05/post-5f1b.html
■ 津軽じょんがら節を弾いてみよう
  https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/06/post-b027.html
■古今調子による箏と唄のワークショップ
  https://blog.senzoku.ac.jp/hougaku/2012/05/post-edf0.html


YouTube: 邦楽ワークショップ前期まとめ

荒川区の先生方も積極的に音楽づくりに協力してもらえ、発表後の評価の際もそれぞれの作品のコメントいただくことができました。ありがとうございました。
これからも、開かれた授業展開できれば良いと考えます。

後期も引き続き、学生にワークショップを各自担当してもらう予定ですが、課題として、
 
 ・邦楽コース以外の学生
  邦楽器を使用するかもしくは、日本の伝統音楽やその要素を活用したテーマ
  でワークショップを行う。

 ・邦楽コースの学生
  ワークショップを実施する外部の出先に箏や三味線がまったくない、もしくは
  参加人数に対して極僅かしか楽器が用意出来ない場合(リーダー自身は邦楽器の使用可)
  を想定してワークショップ計画を組む。邦楽器が少ないので、上手く少数の
  楽器を活用したり、声やリコーダー、ペットボトル等の身近な物を使う等の
  工夫を考える。

後期もどんなワークショップを実施してくれるか楽しみです。

2012年7月11日に行われた邦楽ワークショップ授業のご報告です。

今回はジャズ科4年生のNさんとOさんによる、COBRAで音楽づくりをしようという授業でした。2人は授業の事前準備もしっかり行い、授業中も堂々としたリーダーぶりでみんなを指導し、一体感のあるとてもいい授業になりました。

『COBRA』は、演奏者と一人のプロンプター(指揮者)によって行われるゲーム・ピースです。演奏形態を指定する数枚のカード、演奏者のサインによるカード・コールなど、参加者全員の合議制により音楽が進行していく、フリーな集団即興を行うにはもってこいのゲームです。洗足のジャズ科ではこのCOBRAを実際に授業内で行っているそうです。COBRAに慣れている2人も、邦楽器で行うのはもちろん初めてなので、どうなるのか楽しみですと授業前からワクワクしている様子でした。アドリブの力が試され、鍛えられるであろうこのゲーム、和洋ミックスでどのような音楽が生まれたのでしょうか。

授業担当:中香里・記

以下、NさんとOさんによる授業報告書です。

☆実施日:2012年7月11日

☆実施対象:大学生6名

☆授業の目的
和の楽器と洋の楽器をミックスして新しいジャンルの音楽を生み出す。アドリブの創造力を鍛える。

☆使用楽器
箏・三絃(調弦:好きな調子)、尺八、打楽器、自分の専攻している洋楽器 

☆授業の流れ
①アイスブレイク 10分
内容:COBRAのルールの中の1つを使ってアイスブレイク
一回目は、リーダーが指示した人に、テンポに変化をつけながら手拍子回し。
二回目は、アイコンタクトでランダムに手拍子を回す。

②ルール説明 15分

●口のカード
P→音を誰でも自由に出せる。
R→指名された人しか音を出せない。S→その時演奏していない人が演奏する。
SX→フェードイン、フェードアウト。

●目のカード
CO→リーダーが指示した人にテンポに変化をつけながら、音を回す。
CT→目合図で、音を回す。

●耳のカード
M△→ミュージックチェンジ
G△→グループチェンジ
V→ボリュームチェンジ

●手のカード
LAST→演奏終了。

③参考資料鑑賞 8分
実際にジャズ科の演奏会で演奏したDVDを見ました。

④邦楽楽器で曲づくり 15分
ルールに基づいてみんなで2曲演奏しました。


YouTube: COBRAで音楽づくり・和楽器ver.

邦楽器で演奏したときは、1人1人の個性が見えた感じがしました。みんな、恥ずかしがらずカードを呼んでくれたので、初めは全体的に静かになるかな?と思ってましたが、COBRAのルールを上手に利用していて、とても面白い曲が出来ました。

⑤各自の楽器で曲づくり 20分
ルールに基づいて各自持参した楽器で2曲演奏しました。


YouTube: COBRAで音楽づくり・和洋ver.①


YouTube: COBRAで音楽づくり・和洋ver.②

各自の楽器で演奏したときは、邦楽器と比べて音数が増えました。専門の楽器はいつもの奏法だけなのでキレイにまとまった曲が出来上がりました。
邦楽器でやったときのように、面白い奏法が出てこなかったです。演奏自体すごくまとまっていたので、とてもいい曲が作れました。

⑥まとめ 10分

計78分

 

2012年7月4日の邦楽ワークショップのご報告です。

今回はヴァイオリン専攻のKさんがワークショップを担当しました。

現代音楽に興味を持つKさんは箏の特殊奏法に着目して音楽づくりをすることになりました。

最初はガチガチに緊張していたKさんも仲間に支えられながら少しずつ自分のやりたいことにむかっていけました。

この半期の授業を通して、邦楽ワークショップの受講生はとても頼りになる心強い仲間になっているのだなと改めて感じました。

では、Kさんのワークショップ詳細をご覧ください(報告:Kさん)

*授業の目的

 

普段のワークショップでは普通奏法を使って曲づくりをすすめることが多かったが、今回は特殊奏法だけを使うことでどのような違った音楽ができるのかを味わう。特殊奏法を使った音楽づくりに挑戦。

 *授業の流れ

①アイスブレイク 

4拍の手拍子で好きなリズムをつくり、一人ひとりにまわし。

次に手以外の体全体からでる音を使って最初にやった4拍で一人ひとりが音を探しリズムをつくる。

 →手拍子以外の奏法があることをわかってもらい、楽器を使う上での参考にしてもらった。

 ②2グループにわかって音づくり

2つのグループにわかれ、特殊奏法を使わない普通の奏法で音楽づくり、発表。

③奏法の発展

箏の特殊奏法の復習(押し手、かき爪など)

→実際に使われている特殊奏法

「押す・はじく・叩く」をキーワードに自分たちで奏法を考える

→新しい特殊奏法をつくり出す

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④グループ

箏の特殊奏法+自分たちでつくり出した奏法を使ってグループで音楽づくりをする。

⑤グループの作品

「叩く」奏法を使ったグループは、箏の柱や箏本体を色々なリズムで叩いて出る音の違いを使って音楽をつくっていたのが効果的だった。ひっかいて音を出すだけではなく打楽器的な奏法が生きていた。

YouTube: 箏の特殊奏法による音楽づくり

「押す」奏法のグループは、押すスピードや回数、強さを様々に変えて微妙で不安定な感じの音で音楽をつくっていた。調性のない音楽づくりがとても不思議な音楽をつくりだしていた。

YouTube: 箏の特殊奏法による音楽づくり②

⑥まとめ

特殊奏法を使うこと、それを使って音楽をつくることなど、私の説明不足で皆さんには申し訳なかったです。ですが、どのグループも私が考えていたような音楽づくりよりも、もっとレベルの高い音楽をつくってくれて、驚きもあり新しい発見もでき、私自身とても楽しかったです。たくさん協力してくれた皆さんにはとても感謝しています。そして、事前準備の段階で分からないことだらけの私を助けてくださった先生方、ありがとうございました。

 

2012年7月11日 (水)

6月27日は、フルート専攻4年のKさんとMさんが、それぞれのテーマで40分ずつワークショップをしました。

2人は、去年1年、私の通年の箏講座をとってくれていて、まじめで優秀な生徒で、学級委員のような存在です。

よって予想道り落ち着いた素敵なワークショップをしてくれました。

2人とも、ホワイトボードを上手に活用していました。また、アイスブレイクから本ワークショップへの流れも上手にできていたし、視聴するCDも自分で購入したりしてみんなを驚かせていました。

2人とも教育実習直後というのもあり、堂々としていて内容も良く、みんなの様子をよく見ながら立派にやってくれました。ワークショップの時間が短くてかわいそうでした。後期は是非2人とも1コマずつ使って、今回のテーマを深めるのも良いとおもいました。

以下、2人に作成してもらった報告書です。

授業担当 吉原佐知子 記

~Kさんによるワークショップ報告書~

★授業テーマ★「ケチャのリズムで和楽器を演奏しよう。」
★使用楽器★筝、打楽器
★授業の目的★普段、親しみのない諸外国の伝統音楽に興味をもってもらい、そのリズムを日本の楽器で演奏するとどのような音楽になるのか感じてもらいたい。

①アイスブレーク

リーダーが単純なリズムパターンを4拍子でたたき、リーダー以外のメンバーは、その逆のリズムパターンをたたく。(常に八分音符に聞こえるように。)
リーダーを変えて数回行う。

②実際にインドネシアの伝統音楽であるケチャをCDで聴いてもらう。
ケチャを聴いた後に、数人に感想をきき、それをもとに音楽づくりのヒントを導き出す。(間合い、強弱、速さ、・・・などの特徴)

③あらかじめホワイトボードに書き込んでおいた、ケチャのリズムをパートにわけ、手拍子で実際に演奏してみる。
できたら、手拍子したところを「チャ」と言葉にしてやってみる。
できたら、リーダーの指示に合わせて強弱をつけてみる。

④音楽づくり。
人数が少なかったため、いつもと違い、1グループで行ってもらった。邦楽コースの方を中心に、グループで話し合ってもらい、「間合い、強弱、速さ」を意識して、ケチャのリズムをつかった音楽づくりをしてもらった。使用する楽器は、自由に選択してもらった。




YouTube: 邦楽ワークショップ ケチャ

★まとめ★
今回の授業は二人でW,Sを行ったため、普段より時間が少なかったため、アイスブレークや音楽づくりで、ゆっくり時間をとることができませんでした。
音楽づくりの発表の際、とても新しく楽しいものがつくれましたが、もっと時間をかけて、グループの中で深く話し合いや練習ができていたら、もっといいものができていたと思います。
そこが皆の実力を全力で出してあげられなかったのが、残念でした。
しかし、ケチャを初めてしった人、久しぶりに聴いた人、様々な人がいた中、積極的に楽しんでケチャに親しんでいただけたのでよかったです。

~Mさんによるワークショップ報告書~

実施日:6月27日水曜日4限
◇授業の目的・目標
 
・今までのワークショップで得た知識や経験を使い、グループごとに“カノン”を用いた曲を作り邦楽器で表現すること。
◇実施対象
・大学生以上
◇使用楽器
・琴 8面 調弦:ドレミ調弦 
 
◇授業の流れ(45分)
 
プログラム実施の前に、楽譜と奏法を書き出しておく。
 
①アイスブレイク (楽器不使用、歌で行う) 5分
・「カエルの歌」を輪唱する。
誰でもやったことがあるだろう、かえるの歌で輪唱を行い、輪唱を短に感じてもらうのが目的。本当は、ただ楽譜通り輪唱した後に、強弱の変化等1人1人工夫をしてもらい、再度輪唱を行いたかったが今回は省略した。
②CDを聴き、音楽づくりの参考にする 5分
・「パッハベル」のCDを聴き、“カノン”のイメージを掴む。
今回のテーマとなる「パッハベルのカノン」の琴での演奏を聴いてもらった。曲の流れを知るのと同時に、弦楽器の曲というイメージがあるが、琴で演奏することで、また違った素敵な演奏になることを感じてほしかった。
③音楽づくりの準備 10分
・「パッハベル」の3つのフレーズを琴で演奏し、みんなで輪唱?させてみる。
ホワイトボードに書いてある楽譜を、邦楽コースの方にサポートしてもらいながら行った。
④音楽づくり 20分
・2グループに分かれて、約10分間音楽づくりを行う。(実際は、音楽づくりに約20分かかってしまった。)
・できた音楽を発表し合う。 
<音楽づくりのルール>
◆“カノン”を必ず用いること。
◆琴の様々な奏法を取り入れること。

◇邦楽ワークショップの計画・実施をした感想   
今回の反省点としては、音楽づくりの前に、奏法の確認や、何か違うフレーズを使って、強弱の変化やバリエーションの仕方を考える等の場面を設けることで、よりスムーズに音楽づくりを行うことが出来たのではないかと思います。また、みなさんが熱心に音楽づくりを行ってくださっている中で、どこで時間を切ればいいか悩んでしまいました。 今回の反省を次回に生かすことができれば…と思います。 今年度、初めて邦楽ワークショップを履修し、様々な邦楽器に触れ、奏法を学ぶと同時に、普段当たり前のように演奏したり、聴いたりしているはずの「音楽」についても考えさせられています。ワークショップを通して、有拍と無拍の音楽や対話、模倣、バリエーション等、音楽の要素をピンポイントに取り出して音楽と向き合うことで、曲を演奏する時に生かすことが出来ています。  今回は、対位法の授業で、丁度カノンやフーガについて学習していて、これをワークショップで行うと面白いのでは?と思い計画しました。ワークショップでは、色々な場面で私が勝手に焦ってしまい、計画通りではなかったですが、先生方、邦楽コースの方、そしてみなさんの音楽性に助けられ、思い描いていた以上にすばらしい“カノン”が教室中に溢れました。本当にありがとうございました。
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