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2012年8月24日 (金)

コンクールの審査に、佐々木先生と中国に行ってまいりました!

佐藤昌弘
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 中国の電子オルガン・コンクール“Ringway International Electronic Organ Competition”の審査のため、8月19日から23日にかけて、本学客員教授の佐々木昭雄先生とともに、中国江蘇省の常州(Changzhou)に行ってまいりました。常州は、上海の空港から車で2時間ばかり行った大変栄えている地方都市です。
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 コンクールの主催は、中国で唯一、電子オルガンを製造・販売しているRingwayという電子楽器会社で、このコンクールはRingway社製の電子オルガンに特化した隔年開催の演奏コンクールであり、2008年に第1回が開かれ、2010年の第2回を経て、今回で第3回となります。佐々木先生と私を今回のコンクールの審査員に招聘した方は、上海音楽院教授の朱磊(チュウ・レイ)氏です。彼はまだ38歳という若さですが、現在の中国電子オルガン界を牽引している実力者で、当コンクールの総合ディレクターを務めました。下の写真は、コンクール最終日のパーティでのショットです。左端のジャッキー・チェン似のナイスガイが朱磊氏で、私の右隣の二人の女性は、前回のコンクールでそれぞれ第1位、第2位に輝いた若手プレイヤーです。彼女たちは最終日のAward Ceremony & Concertでデュオ演奏を披露し、さらには佐々木先生とトリオ演奏まで聞かせてくれましたが、さすがにとても上手でした。写真について話を戻しますと、彼女たちの右隣が佐々木先生の奥様、佐々木先生の右隣は、今回、佐々木先生ご夫妻と私をアテンドして下さった、中国語も英語も堪能な音楽ジャーナリストの森岡 葉さんです。森岡さん、会期中は本当にお世話になり、ありがとうございました。この場を借りて御礼を申し上げます。
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 下の写真は、Ringway社製電子オルガンの最新機種で、コンクールでも多く弾かれたRS1000です。値段は日本円で30万円強に相当するとのこと。ちなみに日本の電子オルガンを代表するヤマハのエレクトーンは中国ではとてもよく売れているそうで、中国では電子オルガンが近年とみに盛んであること、関心が大変高いことを物語っています。中国でのエレクトーンの一番の売れ筋はSTAGEA miniという、現在のエレクトーンでは最も安価な機種ですが、これが先述のRingway社のRS1000より10万円ほど安い値段となります。
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 当コンクールは、古典曲部門と現代曲部門の二部門に分かれており、前者は、バッハを中心とした、いわゆる通常パイプオルガンで演奏されるレパートリーを、電子タイプのパイプオルガンで演奏する部門であり、後者は古典派以降のクラシックの楽曲、ジャズ・ポピュラーのナンバー、オリジナル曲の電子オルガン演奏を対象とした部門です。20日から22日 の3日間かけて行われた決勝大会では、古典曲部門は、オランダ、ドイツ、イギリス、中国からそれぞれ1名の計4名の審査員が、現代曲部門は、中国から10名、イギリスから1名、日本からは佐々木先生と私の2名の計13名の審査員が、セミ・ファイナルである1st Round、ファイナルである2nd Roundの審査にあたりました。下の写真は、全審査員とRingway社長による集合写真で、前列左から4人目が社長です。
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 現代曲部門の方は、さらに小学生の部にあたるChildren Group、中・高生の部にあたるTeenagers Group、大人の部にあたるAdults Groupといった世代別に分かれて競い合われました。決勝大会に先立ち、4か所の地区に分かれて予選が行われ、全部門を合わせて569名が参加し、そのうち163名が決勝大会へと進むことになりました。決勝大会の会場は広大なChangzhou Grand Theatreで、会場内の大小4つのホールを使って演奏審査が行われました。下の写真は会場のロビーの一部を撮ったものです。
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 一番の注目である現代曲部門のAdults Groupの詳細を記しますと、1st Round では34名が、共通課題曲1曲と演奏時間6分内の自由曲1曲を演奏しました。審査の結果、うち20名が2nd Roundに進み、即興演奏課題と演奏時間8分内の自由曲1曲を演奏しました。結局、ファイナリストとして2nd Roundで最後に弾いた女性が、審査の結果、第1位に輝きました。下の写真は、最終日のAward Ceremony & Concertでの披露演奏のショットで、2nd Roundの自由曲として演奏したラフマニノフの「交響的舞曲」を熱演しました。
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 今回のコンクールで見る限り、中国で電子オルガン専門的に学んでいる若人たちは、日本のレヴェルとほぼ同じとはいかないまでも、かなり高いレヴェルに来ていますし、情熱や発展の可能性は、もしかしたら日本を凌駕しているのではないかとも思えます。それと非常に印象的であったのが、中国古来の五音音階的な響きへの偏愛です。Adults Groupの2nd Roundの即興課題は「蛍の光」でしたが、ほとんどの出場者のハーモニー付けが面白いくらいチャイナサウンドでしたね。オリジナル曲になると中国色はさらに強烈で、中国琴の音色が必ずといっていいほど使われていました。そのくらい五音音階が大好きな中国人ですから、最終日のコンサートでの佐々木先生の模範演奏にリクエストしたのが、五音音階でできた自国の民謡を即興演奏してほしい、という要請でした。「これは困ったなぁ」と苦笑いの佐々木先生でしたが、本番は圧巻でしたね。見事にチャイナ・メロディーをジャジーなハーモニーに仕立て上げ、ジャズオルガンの音色でRingway社の電子オルガンをバリバリと弾きこなして、とってもカッコいいインブロヴィゼイションを展開、演奏後にはホールに万雷の拍手が鳴り響き渡りました。実に素晴らしかった!さすがでしたね。
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 会期中、すべての審査員とスタッフが泊まっていたホテルは、Olympic Mingdu International Hotelといって、コンクール会場から車で2、3分いったところでした。私は、空き時間には自分の仕事=作曲をしたかったものですから、その旨を森岡さんに申し出ると、Ringway社のスタッフが自社の電子ピアノを私の部屋に入れてくれました。
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 ピアノまで用意して下さって、まさに至れり尽くせりでしたが、正直、料理だけは私の好みではありませんでした。せっかく用意して頂いた料理への批判を詳しく記すことはさすがに憚れますが、私が大の苦手としているパクチーがふんだんに使われていたことだけは付記しておきましょうか。
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